花嫁はすでに、死んでいる。～元妻との思い出を、亡霊の恋人から隷属ハネムーンで塗り替えられていく、愛と過ちと赦しの“オトナの”おとぎ話

　──恋人が、殺された。 　恋に対して自由奔放すぎるがゆえに、他の男に殺されてしまった僕の恋人、ハルカ・リコリコ。 　生前からの彼女の望みは、僕が元妻と新婚生活を送ったハリラーン共和国での思い出を、全部、自分の思い出に塗り替えることだった。束縛、共依存。僕とハルカの関係はとても歪なものだった。 　ヒューマンの国から、デミ・ヒューマンの国へ。亡霊・ハルカとの強制的なハネムーンの中で、僕らは様々で奇妙な、エルフ、ドワーフ、ゴブリンたちと出逢い、摩訶不思議な場所を旅することになる。 　そんな僕の目的は、僕に取り憑いているハルカを天国へ送ること。 　亡霊として僕と一生一緒に暮らしたいハルカと、ハルカを天国へ向かわせたい僕との、チグハグなハネムーンが今、始まった──。 　お互い欠点だらけ。ダメダメな僕たちの、愛と過ちと“赦し”の幻想物語。