【連載版】結婚の約束をした幼馴染と再会しましたが、陽キャになりすぎていて近寄れません。
最終更新:2024/3/31
作品紹介
子供の頃の「いつか○○と結婚する」といった約束は、得てして守られないものである。大抵の場合、そういうものは幻想であり、いつの間にか別に好きな人ができるというのが普通であるだろう。無論、例外はあるのかもしれないが、少なくともそれが自分に適用されないことだけはわかっている。 引っ越しによって別れる際、俺は幼馴染である由佳とそんな約束をした。 だが、それから彼女とは一言も話していない。連絡先すら知らなかったため、その約束は決して果たすことができない約束になったのだ。 そんな由佳と再会したのは、俺が高校に進学した時だった。 色々とあってかつて暮らした町に帰って来た俺は、入学式で彼女の姿を認識したのだ。 しかし、由佳は俺が知っていた頃とは大きく変わっていた。年月を経て成長することは当然のことではあるのだが、ピンク色の髪や着崩すされた制服は、彼女が俺とは違う世界の住人になったことを表していた。 だから、俺は彼女に近づかなかった。 今更再会して、いいことはない。そう思っていたからである。 それから一年が経った頃、俺は由佳と同じクラスになった。 その際、由佳は驚くべき反応をしてきた。 「ろーくん?」 「……」 「ろーくんだよね?」 そうやって俺との再会を喜ぶ由佳は、昔とちっとも変わっていなかった。 見た目は派手になったが、彼女はあの時の由佳のままだったのである。 だが、俺の方はあの頃とは大きく変わっていた。外見ではなく中身が、すっかりと捻くれてしまったのだ。 こんな俺と仲良くしても、いいことなんてない。 そう思った俺は、由佳を拒絶するのだった。 しかし、由佳はそんな俺に対してぐいぐい迫ってくる。 彼女の中では、俺はあの頃の俺と変わらないらしい。 ※この作品は「カクヨム」にも掲載しています。 ※以前短編で投稿した作品の連載版となります。第1話から第9話までは短編版と同じ内容ですので、短編版を読んでくださった方は第9.5話からお楽しみください。
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