地上を夢見る人魚姫は、仮面の伯爵様に恩返ししたい
最終更新:2024/1/7
作品紹介
「君に興味はない。さっさと帰ってくれ」 仮面の伯爵のそんな言葉に、ニネミアは呆然としていた。 彼女は人魚族の姫だったが、掟に背いて地上に出てきていた。しかし人間のふりをしていた彼女は、いきなり人さらいにさらわれてここに連れてこられたのだ。 この伯爵が自分を買った。それなのに彼は、自分を追い払おうとしている。 訳も分からないままニネミアは考える。帰りたい。けれど帰れない。ここは海から遠く、故郷がどこにあるのか分からない。故郷を見つけるまでの間、人間の世界でどうやって暮らしていけばいいのか分からない。 だから彼女は伯爵に頼み込んだ。故郷が見つかるまで、ここに置いてください、と。 伯爵は困惑しながらも、彼女をメイドとして雇ってくれた。 そうして、ニネミアの地上暮らしが始まった。何もかもが新鮮で、楽しかった。 自分がこうしていられるのは伯爵のおかげだ。そう考えたニネミアは、伯爵に礼をしたいと考えた。それをきっかけに、二人の距離が近づいていき……。 これは、人間が気になる人魚姫と人間嫌いの伯爵が、種族を超えて手を取り合うお話。
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