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作:香澄 翔

喋る黒猫とうそつきの麦わら

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未評価

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最終更新:2023/5/2

作品紹介

高校には行かずにひとりずっと旅をしている少年、謙人。 廃線になった路線の線路上を歩いていた時に出会ったのは、自らをありすと名乗る少し変わった麦わら帽子の少女だった。 変わっていたのは彼女だけでなく、ありすの飼い猫のミーシャは唐突に皮肉めいた台詞を話し始める。 猫が喋るというあり得ないはずの事実に謙人は少し混乱していたが、ありすはそんな謙人をよそに、ずっと出来ていなかった自分の村のお祭り「春渡し」に参加してほしいと願う。 謙人は混乱しつつもそれを受け入れて、数日間だけ村に滞在する約束をして、訪れた村の中でありすの友人の女の子たちも含めて交流を深めていく。 だけどその中で皆はそろって「最後の夏だから」と気になる事を告げていた。 どうして最後の夏なのかは、誰も答えない中、「春渡し」は始まっていく。 祭りが進むにつれて、謙人は一つの村の、そしてありすの秘密を知っていく。 うそつきの麦わらのついていた、たった一つの嘘の秘密を―― 彼女の秘密とは、うそとは、最後の夏の意味とは何なのか。 謙人は意味を知ると共に、探していた旅の目的を見つけていく。 このお話は少しだけ不思議な、切なくて、だけど優しいお話です。 完結済みです。 イラストはテンさんにいただきました! テンさん、本当にありがとうございます!!

ほのぼの男主人公ハッピーエンド青春・ヒューマンドラマ現代日本ボーイミーツガール

評価・レビュー

彼女が麦わら帽子を脱ぐとき、二人の本当の旅が始まる。

 物語は、主人公である謙人(けんと)が、あてのない旅をしている場面から始まります。  彼が線路を歩いているとき出会ったのは、麦わら帽子を被った少女、有子(ゆうこ)と、どういうわけか人間の言葉を話す黒猫、ミーシャでした。  有子は謙人に対して、「私の村に来ませんか?」と告げるのですが……?  ◆  本作の魅力は、「ほのぼのとした人間関係」、「どこかノスタルジックな雰囲気漂う世界観」など様々あるのですが、ゆったりしたヒューマンドラマだと思っていると、たびたび入り込んでくる「異物 (謎)」に、はっとさせられます。 ・なぜ、ミーシャは人間の言葉を話すのか。 ・なぜ、有子は「ありす」という呼ばれ方にこだわるのか。 ・春渡しという祭りが行われる意味とは? ・村人がたびたび話す、「これがきっと最後の夏だから」という言葉の真意は? ・そして、なぜ二人は出会ったのか。  等々。これらの謎は、わかりそうでわからない、という絶妙な匙加減をもって、物語の中に配置されていくのです。こういったミステリー要素こそが、むしろ一番の魅力でしょうか。  これにより、ちょっと不穏な空気も漂うのですが、かといって重くなることは決してなく、 「有子って言わないで。ありす。ありすって呼んでよぅ」 「はいはい、ありすね」  というミーシャと有子ありすの軽快な掛け合いや、『巨乳好き』『ロリコン疑惑』など、村の人たちと交わされるお約束のやり取りが、上手く緩和してくれるのです。  ほのぼのとしたコメディと、見えそうで見えない謎。二つの要素に牽引されてページをめくり、たどり着いた『春渡し』の当日。  ここから始まる伏線の回収は、もはや圧巻の一言。全ての謎が一本の線となり収束していく様に、感嘆するほかありませんでした。  有子がついていた嘘のあまりの優しさと切ないラストに、きっと涙することでしょう。  ボーイミーツガール特有の甘酸っぱさと、ミステリーのような謎解きとが一緒に楽しめる本作。ぜひ、お手に取ってみてください。青春恋愛モノが好きな方と、ミステリーが好きな方に特にオススメします。  有子が麦わら帽子を脱いだそのとき、二人の本当の意味での旅が始まるのです。  謙人と有子の未来に、幸多からんことを──。

5.0

木立花音(こだちかのん)