嘘に感謝する日
最終更新:2021/4/1
作品紹介
桜の花びらが舞い散る庭園。 私はそこで、婚約者である王太子殿下とお茶を飲みながら、二人の時間を過ごしていた。 とはいえ、元来無口である殿下は、先程から一言も発さず黙々と紅茶を口に運んでいるばかり。 そして私もあまり人と話すのが得意な方ではないので、殿下につられてつい無言になってしまう。 まあ、私達は所詮政略結婚で婚約者になった間柄だ。 殿下は私のことなど、露程の興味もないのだろう。 ――たとえ私が殿下をどれだけお慕いしていたとしても。 「……そういえば、今日は『嘘に感謝する日』だったな」 「……え?」 が、殿下は不意にそう言うと、今から噓をつくと宣言し……!?
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