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作:岩永和駿

チョコレート パニック!

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未評価

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最終更新:2023/9/22

作品紹介

バレンタインデーを激しく呪うデブ&オタクの俺。 深夜のテンションで得体の知れない呪術の真似事を行うが、それがトチ狂った仕儀なのは承知の上だ。 ところが翌朝俺の前に美しい悪魔が顕現する。

ファンタジーコメディ悪魔現代日本チョコレートソロモン72柱

評価・レビュー

甘く、刺激的な世界の果てで、俺は。

 物語後半の内容に触れるため、ネタバレフィルタを付けました。まだ読んでいない方は、まずはぜひ作品のほうを。  良識のある清廉な男女ばかり集まったそこそこの進学校に通う、デブでオタク(本人評)な〈俺〉は、周囲の自分への要らぬお節介にも等しい視線を含んで迷惑なバレンタインデーを呪う気持ちから悪魔を呼び出す儀式の真似事をして自己嫌悪に陥ってしまうが、そんな冗談めいた遊びは、本当にソロモン72柱の魔神のひとりである、吟詠公爵ゴモリー、異国情緒あふれる妖艶な美女を召喚してしまう……というのが、物語の導入で、「チョコレート パニック!」なるタイトルに似合いの騒動を経て、その先にある少年のひとつの成長への共鳴が胸を打つような作品になっています。  あれが嫌だ、これが嫌だ、と何かを憎んだり呪ったり、とする感情は多かれすくなかれ、ほとんどのひとに備わっているもので、今回の語り手にとって、それはバレンタインデーであり、類似するようなイベント事だったわけですが、すくなくとも私には他人事のようには感じられず、語り手の感情を卑屈だ、と笑うことはできませんでした。  それがバレンタインデーになるかは別にしても、誰もがどこかに身に覚えのある普遍的なものなのかもしれません。だからこそ語り手が存在自体に憎しみを向けるのではなく、見方、心の持ちようを変えていくことで一歩前に進んでいく姿が、自分事のように嬉しく感じて、読者自身も語り手に自分を重ねて、いまの気持ちの在り方を再確認しながら先に進んでいけるような、そんな気持ちになれる小説でしたし、そういう読み方はしなくても、爽やかな印象が残る青春エンターテイメントとして楽しい作品なので、ぜひ幅広くお薦めしたいな、と思いました。

5.0

サトウ・レン