婚約破棄なら先程なさったばかりですよ
最終更新:2021/4/17
作品紹介
あらあら、いけませんね。つい正直に指摘してしまいましたが、こういう時は出来るだけ相手に寄り添うように対応しなければいけないのでした。 「それで、どうして婚約破棄をお望みになられたのですか?」 「それは、お前が一番分かっているだろう! ……それは……ええっと……ああ……そうだ! お前が朝食をいつまでたっても用意してくれないからだ!」 朝食を既に召し上がったことまで忘れていらっしゃるようです。 そもそも彼の頭の中で、私はどういう関係として認識されているのでしょう。妻? それともただの料理人? まさか、あの泥棒猫と勘違いなさっているわけではございませんよね? ……とにかく否定せずに、出来るだけ意図を汲んで差し上げるのが肝心です。 「では、今から朝食を準備してまいりますので、こちらで淹れたての紅茶でもお飲みになってお待ちくださいね」 「ああ! 分かってくれればいいんだ!」 満足そうに頷いて席に着くアラン様。すぐにお食事の支度を致しましょう。彼がこうなってしまったのは私のせいでもあるのですから。
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