私が最期に見た景色はとても綺麗でした
最終更新:2021/8/28
作品紹介
――魔王が|流星《ほし》を降らせた。 その日、その時……人類が詰み、敗北が決定した瞬間だった。 世界最強の軍事国家の大軍も、世界最高の魔法王国の究極呪文も、世界最大の宗教国家の至上法術も魔王を滅ぼせず。 最速の剣聖の刃も、最狂の賢者の最大呪文も、最優の聖女の神聖術も魔王には届かず。 そんな絶望に抗うべく異界から喚んだ勇者さえも、魔王は止められなかった。 ただただ世界に絶望し、最愛のヒトを奪った世界に破壊のみを齎さんと魔王が放ったその究極呪文は十三の流星を生み出した――否、落とした。 夜になると明るく地上を照らす、至高神の象徴であった十三の月を自らの場所まで引きずり落としたのだ。 中心の至高月に先んじて、その眷属たる十二の流星が大地に触れた時点で……もはや地上に文明というモノは残されてはいなかった。 生き残った人々はただ絶望し、ゆっくりと迫る最期の星を見上げては自らの終わりを指折り数えるしかない。 ――どうして自分達はこんな目に遭っているのか? ……その疑問に答えてくれる神は、もう居ない。 ただ生き残った人々はしきりにこう口にする――〝勇者が逃げたせいだ〟と。
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