スキル：読書家は外れスキルなんかじゃありませんっ！

―…その世界には、魔法の残滓が残っていた。それを、人々は、「スキル」と呼んだ。 ある名家に生まれた少女、アビスのスキルは、「読書家」と言った。人々はそれを外れスキルだと言ったが、アビス当人は、「出世街道を突き進むためのレア中のレアスキル、しかもあたり中のあたりだ」と内心喜んでいた。 何せこの少女、前世はバリバリのキャリアウーマンであった。 死因は悪意のないアドバイスによって殺意を漲らせた部下に殺されると言う、悲しい”事故”。 今度こそは生きて生きて生き延びて、出世街道を歩き、文官になってやる。 ―アビス・アザトート、１２歳の決心の話である。