道化師と騎士団長
最終更新:2017/6/4
作品紹介
ミケーレ騎士団長は、三年ほど前からこの王城に棲み着いている道化師のことがひどく気にくわなかった。 自分のことをすぐに揶揄ってくるけれど、本心を見せてくることはない。地声だとしている柔らかいハスキーヴォイスだって、本当に素の声かどうかは分からない。 真っ白な化粧は厚く、目元を覆っている仮面は曜日ごとに違う色とデザインで、今日は太陽の日である黄色だ。よくふくらんでどこまでが身なんだかもよく分からないダボダボの服と厚底の大きな靴で、風船のように跳ね回り、軽快にタップダンスを踊る。孔雀の尾羽のようなカツラをつけて、実際の身長も、男か女かも分からなかった。 ある日、尊敬する陛下がいきなり「少し遅れての新婚旅行と洒落込もうではないか」と、憧れの王妃とともに、ミケーレと、謎の少年従者のみを連れて城から抜け出した。 追ってくる怪しい男たちの目的は? そして少年従者――道化師の正体は?
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