聖女には向かない理由

　高校生の木崎アキラは、目覚めると異世界の「聖女候補」の身体の中にいた。 　「聖女候補」は近々開催される「聖女試験」に参加しなければならないという。 　しかし、アキラの入り込んだ身体の持ち主は、女性の肉体でありながら記録上「男性」であるとされていた。候補として擁立されたときに、誰かの、なんらかの思惑があり、試験を辞退するように仕向けられていたらしい。 　これ幸いとばかりに「男性」を理由に試験をおりる旨を申し出たアキラ。 　 　会場を後にしようとしたそのとき、「聖女」の有力候補である令嬢とすれ違う。 　アキラはふと、気付いてしまった。 　彼女は、高校でいじめの首謀者であったクラスメイトではないか？　と。 　派閥を作り、自分の手は汚さず、巧みに周囲を操り、人を追い詰めていく―― 　ここで見過ごしてしまえば、彼女はまたあのやり口で候補者たちを分断していくかもしれない。 　危機感を覚えたアキラは「男性である」という嘘を撤回できないまま、聖女試験への参加を表明する。 　それが想像以上に過酷なデスゲームとも知らずに……。 （現実世界でもアキラは女性です。男装女性の中に女性の意識が入っている状態です） ※内容の進行によりタグに変更が入る場合があります。 ※タイトル一部変更、悪役令嬢タグ外しました。（2019.8.20） ※←印のある章には挿絵があります。（提供：汐の音さま　userID 1476257)