人の住まう平原の最果て 西の果てなる人智の境界で 数多の死地を戦い抜く英雄ら 人の世の守護者たる彼ら 城砦騎士団の勇者らの育んだ 新たな命を「城砦の子」と呼ぶ。 生まれながらに人智の境界で 戦い死すべき運命を負った 哀しき子らの覚悟は澄明 いつの日か父や母のように 荒野の城砦で平原の人の世を護る 誇りと共にそう誓い日々生きていた。 城砦歴106年、冬。 人魔の大戦の最前線たる 異形の巣食う荒野に孤立する 西域守護中央城砦へとまた一人 城砦の子が旅立とうとしていた 剣聖ローディス、筆頭軍師ルジヌ 城砦の子が名高き英傑となる例は多い 時を超え世を超え人の世を照らす 新たな英雄、その名はシラクサ 天は星月の囁きに充ちて 人と異形、希望と絶望 地に在る総てを慈しむ 儚く生きる夜の子は 荒野の闇に何を見るのか
更新:2022/5/3
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城砦暦107年、初夏の頃。 平原西域、騎士団領ラインドルフへと 早馬が駆けた。もたらすは、領主ライナス 戦死の訃報。中央城砦で人の世を守護してきた 英雄の死は余りにも重く、多くの代償を伴った。 領主を継いだ若きサイアスは、父の遺した 全てを護るべく自ら代償たる事を決意した。 すなわち父の死した地、荒野の只中へ。 陸の孤島、囮の餌箱、人魔の攻防の最前線。 中央城砦へと赴いて命を賭して人の世を護る。 後世数多の言の葉で燦然と謳われる不朽の物語。 サイアスの千日物語は、こうして幕を開けた。 力なき一人の少年が覚悟一つで死地へと赴き 出会いと別れ、多くの助力を得て戦い抜き 遂には魔を討ち騎士となる。これはそんな物語。
更新:2020/1/25
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