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@オノログ

葛藤と揺らぎ、従属物としての日本の女

4.5
0

ドイツのクリスマスマーケットの美しい光に満ちた情景と、主人公がさまよう道の暗さをたっぷりと楽しんだ。

主人公がドイツ人の恋人との別れを決意したのは、自分が対等ではなく

愛玩動物のように愛されているのではないかという猜疑心から。

しかし、電話で帰国を促し日本で相応の大学院にいれてやる、という父親の言いぐさに従うことにはいささかも矛盾を感じていない。恋人の従属物であることは我慢できなくても、父親の従属物であることは受け入れるというこの精神の幼さ、依存心の強さこそ、日本人女性そのものだと感じた。だからウサギと呼ばれるのだがそこには気づかない。

ふらふらと帰国を決め、恋人に「愛している。もうウサギと呼ばない」といわれると唯々としてそれを受け入れる。

非常に面白い人物造形だと思う。主人公が愛玩動物をやめるのはいつか、よろめきから破壊へ移行するのかしないのか、そんな興味を持った。ぜひこの先を描いてほしい。


自立したいが結局庇護なくしては生きていけない、否を言えない女をはっきりと造形したのでなく、おそらくは父の言に従うことはさらっと書いてしまったのだと思われる。そこをマイナス0.5した。

しのき美緒@BEKKO BOOKS

登録:2021/12/16 20:28

更新:2021/12/16 20:29

こちらはしのき美緒@BEKKO BOOKSさんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。

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5.0
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