喪失の虚、胸の裡。
楽園の外、憎悪の地。
■喪うを知る木偶、復讐に燃ゆ。
□威を知る修道女、混迷を縫う。
どこから来たのか。
どこへと逝くのか。
知恵ゆえに、人は楽園を追われたという。
知恵ゆえに、人は原罪に問われるという。
されど訊く。幸福なるはいかなるものか。
されど訊く。楽園なるはいかなるものか。
そして訊く。知恵持たずして、幸福たるを、楽園たるを、いかに識るのか。
与えられた楽園は、そも意義をどこに持つのか。
与えられた地獄は、では恩讐にて覆せるのか。
神の嘘、教えの空虚、
失い喪い、亡きに泣き。
奪い奪われ、報い報われ、
連鎖と怨嗟が渦を巻く。
力で押せど、
謀り落とせど、
奪うに違いがあるでなし。
憎悪を向ければ憎悪が返る。
糸を引くなら手繰られる。
牙には牙を、謀には謀を。
呪い呪われ穴二つ。
与えた者が、冷ややかに見下ろす。
されど訊く。そも与えた者は、どこから来たのか。
されど訊く。そも与えた者は、どこへと逝くのか。
そして訊く。そも与えた者は、答えを知るのか。
例え外から救われど、
救いを識らねばただの仇。
裡なる救いを求むなら、
無為を壊すか、意義を築くか。
■ブラックスワン(ノベプラ版)□
手は手でなければ洗えない。
登録:2022/7/30 20:55
更新:2022/7/30 20:55