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公正な抽選

極限状態で明らかになる人間の本質

隕石衝突による地球滅亡まで一年、宇宙脱出のために足掻く人類のお話。 二部構成(幕間除く)のパニック劇です。前半と後半でかなりはっきりとお話が分かれる、その構成が実に特徴的。前半であんなにがっつり主人公していたキャラクターが、いきなりすぱっと退場してしまう。この瞬間の衝撃というか思い切りの良さというか、いきなり突き放されるような感覚がとても好きです。 後半の展開、特に結び付近の流れはもう圧巻でした。 すでに航行中の宇宙船内部、次々語られる権力者たちの醜聞。視点保持者の主観においては「最低に利己的」としか言いようのないそれらに対して、でもその当人もまた同罪である、という現実。呉越同舟、同じ穴の狢であることを知りながら、胸の内で他者を断罪することで自らを〝正しい側〟に置こうとするそのエゴイズム。なにより、そんな人間が個人の価値観で、命の選別を行おうとしている――その権利が自分にあると自然に思いこみつつあることの、まるで背筋が凍りつくようなこの恐怖! エグいです。宇宙船という限定空間における人の正気の脆さ。いち科学者(医療従事者)が己の持つ知識や技術を、なんらかの権威と錯覚してしまう瞬間。個人の中の倫理観が腐っていく様を描いた、非常に痛烈なSFサイコスリラーでした。

5.0
0
和田島イサキ

観覧車、廻る、馬鹿みたいに

回り続ける呪いの永久機関

観覧車に自縛しちゃった悪霊と、それを説教する死神、そしてそこに現れるひとりの女の子の物語。 不幸とか恨みとか悪意とか不条理とか、そういうのがぐるぐる煮詰まっていくようなお話です。 特筆すべきはキャラクター、というか、彼らの立場やものの見方の違いです。悪霊と、死神と、いろいろしんどい女の子。まさに三者三様といった趣で、それぞれの立場に感情移入したり、あるいは反証を考えてみたりと、読み進めながら脳内でごちゃごちゃやる感覚が楽しいです。 中でも一番惹きつけられたのは、やっぱり視点保持者であるところの悪霊さん。彼の物事の考え方、存在の希薄さをそのまま表したような、なんとも悪霊らしい地の文の描写が好きです。 何もかもが無価値、と断ずるわりに、人間の幸せに対して強い執着を見せる。観覧車に留まりながら訪問者をただ機械的に呪う、その完全にパターン化された行動様式。きっと外から見たなら希薄で曖昧な状態であろう、この悪霊という存在そのものを、でも地の文を通じて内部から活写してみせること。 この〝もしかしたら曖昧かもしれない自律意思〟を、でもしっかり言語化した状態で読まされる、という、この読書感覚がとても新鮮でした。いわゆる「信頼できない語り手」、とは少しニュアンスが違うのですけれど(大目的という面では全然違う)、でも構造的な面白みとしてはそれに似ている部分があると思います。 そして、この感覚をたっぷり味わった上での、終盤の展開。主人公の内面の、その小さな変遷が楽しい作品でした。

5.0
0
和田島イサキ

あなたの星を読むために

一万字の中に長編一冊分の満足感

両親を亡くし親戚の家に引き取られしんどい日々を送る少女と、いつもその傍にいる犬のお話。 個人的にはもう王道も王道、ライトノベル的な異世界ファンタジーとしては、まさにど真ん中といった風格の作品です。 この〝王道〟というのは主として話の筋のことなのですが、でもそれをここまで殊更に強調してしまうのは、その王道を最初から最後まで、長編一冊分をフルセットでやり切っているからです。それも、たった一万字の分量で。なにこれすごい。どうなってるの。 お話自体は間違いなく一万文字、つまりは短編の長さなのに、欲しい要素が全部ある。舞台設定に人物造形、ストーリーとお話の構造。きっとどれかは犠牲にしなきゃいけないはずのものが、でも何ひとつ欠けていない。その上で、駆け足感や無理に展開を急いだような感じもない。何がなんだかわかりません。 全然わからないのでもう個人的な趣味に走ったアホの感想を書きますと、キャラクターが好きです。犬と白の魔法使い。特に魔法使いさんが本気の殺意を丸出しにしているのと、そのおかげでこのふたりがバチバチやり合うところ。よかったです。なにも考えずただアホの顔で「いい」ってなった場面でした。好きです。

5.0
0
和田島イサキ

山桜の怪

魅せられてはいけないものに囚われた子供の行く先

不登校の小学五年生の男の子と、漢服姿の謎の少年の交流を描いたお話。 ホラーです。ホラーへの持って行き方というか、この物語をホラーたらしめる要素がすごいです。 この世のものとは思えぬ美しさ、なんて言いますが、まさにそれ。少年の容姿が美麗であること、この一点で恐怖を表現してしまう。 特に中盤、うすうす正体を疑問に思いながらも、でも美しさに惹かれてのめり込んでしまう。このあたりの描写、惹かれてはならない存在に魅せられている感覚が、まさにホラーという感じで(しかもまだ何ひとつ不吉な要素があるわけでもないのに!)最高でした。 呪いやいわくのような噂もなく、また何か事故が起こるといったこともなく。いかにもな怖い要素はまだ何もないのに、でも物語がしっかりホラーの顔をしている。ちゃんとその先が『開けてはいけない扉』だとわかる。 そして、そのまま読み進めた終盤、いよいよその姿を表す明らかな怪異。その恐ろしさが、でも今度はそのまま彼の美しさを補強する材料になる。恐ろしいものに美しさを見出してしまう。この恐怖と美を渾然一体にしてしまう手法の、その手際にうっとりしてしまう作品でした。

5.0
0
和田島イサキ

デリリウム・デリュージョン

自己認識の不安定さを追体験させられる

自分で書いたバトルもの現代SFファンタジー小説の世界に、なぜか主人公として入り込んでしまった人の物語。 あらすじ(作品紹介)にもある通り、既知の創作物の世界に入り込む、ある種転生ものにも似た構造のお話です。と、その前提で読み始めると、まず度肝を抜かれるのがその『バトルもの現代SFファンタジー』部分の骨太さ。 作中の自作小説にあたる部分の設定を、決して等閑に済ませない。中身自体は決して手を抜かず、といってやりすぎることもなく(やりすぎると多分「こっちだけでよかったのでは?」ってなる)。ケレン味の大盛り感でそれっぽさをしっかり演出し、しっかりお話の軸をぶらさない。 このバランス感覚。こういうの好き、なんて余裕こいて読んでいて、そして実はそれが巧妙に仕組まれた罠でした、と、そう気づいたのがだいたい中盤くらい。 どっちなのこれ!? 実は結構シビアというか、実際に身を投じてみるまで絶対に答えのわからない、この背筋の凍るようなハラハラ感。 やられました。日常パートの軽妙さが見事に煙幕の役割を果たし、気づけばとんでもないところに誘い込まれていたこの衝撃。もはや完全に掌の上、なんか一方的にボコボコにされるような感覚で読みました。 メタ構造をただ便利な道具として、あるいは枕や土台として使うのではなく(というか、使うと見せかけて)、メタそのもので殴りかかってくる荒武者のような作品でした。

5.0
0
和田島イサキ

幸せの青い鳥

甘さともどかしさのフルコース

ふとしたきっかけで職場のハイスペック顔良男性と仲良くなるアラサー女性の恋と日常のお話。 仲良くなっていくその過程というか、ほぼ接点ゼロの状態から思いが結実するところまで一式、いやなんならおまけにその後のいちゃラブな一幕もつけちゃう的な、そんな甘味のフルコースみたいな作品でした。好き。 リソース配分の思い切りよさ、きっちり的を絞ったお話づくりの姿勢が好きです。 登場人物は最小限に、舞台背景もできるだけ簡素に。その分ふんだんに描写されるのは、やはり時谷さんの魅力とあと主人公の内心。揺れ動く心や距離感の変化。やっぱり恋愛ものはこうでないと的な部分にきっちり注力してくれる、このエンタメ性というかサービス精神が嬉しいです。 その上で、というか、だからこそ、というのか、『鳥』の存在が目を引きます。 唯一はっきりと組み込まれた題材。出会いのきっかけであり、『幸せ』を象徴するものであり、またふたりの存在そのものを代弁するものであったり。場面によって様々な役割を担いながら、物語の全体に通底するモチーフ。この『鳥』のおかげで話にビシッと筋が通るというか、物語そのものの『顔』のように作用しているところが魅力的でした。

5.0
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和田島イサキ

1センチメートル

巨大娘/丸呑み一点突破の作品

ゲーム開発会社に勤める女性が、同僚の女性に秘めたる想いを抱いた結果なんかGiantess/Vore展開に突入するお話。 ある種の特殊性癖に完全特化した物語です。実は正確には「シュリンク」というらしい、というのをこの作品のタグのおかげで知りました(ありがとうございます)。 おそらく実質的にストーリーは無くても構わないタイプのお話なのですが、でもちゃんとパニックホラー風の展開をきっちり組み立てている辺り、非常に仕事が丁寧です。結びのループ的な余韻なんかはとても綺麗でした。 内容はもう本当に、巨大娘(正確には小人化)による丸呑みそのもの、といった趣。 といっても性的な描写はほぼなく、そのぶん痛みや苦しみのような描写に特化しています。残酷描写、といえばそうなのですが、スプラッタ的なグロテスクさではありません。どちらかといえばリアリティ重視の味付けというか、嗅覚や痛覚などの五感に訴える、その描写の鮮烈さが印象的です。 個人的に好きだったのは、「岩」「湿ったマット」といった表現からうかがえる、〝スケールが違いすぎて全体像を把握できない感覚〟への忠実さです。非常に映像的というか、この体感的に伝わるPOV感。作品そのもののコンセプトに対し、一人称体の特性(視点保持者の主観を通じて描かれるところ)をうまく活用する、この技巧というか芸の細かさが好きです。

5.0
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和田島イサキ

殺人執事ロイ・フォンテーン

本物の、偽物の執事のお話

とある執事の半生を綴った物語。あるいは、彼の犯した殺人を活写したお話。 なにやら実話っぽい語り口、と思いながら読んだのですが、どうやら本当に実在の人物でした。 ロイ・フォンテーン、本名アーチボルド・ホール。作中の殺人事件も実際にあった出来事のようで、つまりは伝記ということになるのだと思います。 わりとネタバレになってしまう感想なのですが、最後の一文が好きです。 あの一文でくっきり話の核が見えるというか、主人公がロイさんから一気に英国そのものになる感じ。加えて、実はそれがキャッチコピーの時点でネタバレされていたこと。 “斜陽の大英帝国に彼は現れた。執事という幻想の燕尾服を纏って。” 執事という燕尾服が幻想と化してしまうほどに、斜陽化した大英帝国のお話。ロイ・フォンティーンという人物を通じて描かれる英国の衰退。いや、彼自身はしっかり主人公しているのですが、でもそれを結びの一行で全部丸ごと『英国』に飲み込んでしまう。あの一瞬の、世界がぐわっと広がる感じ。物語のスケールの上書きをたった一文で完了させる、しかもそれが最後の最後にくる、あの瞬間の快楽がもう本当に最高でした。

5.0
1
和田島イサキ

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