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カクヨムSF完結非公開

正しい遠さで

 2020年の春に広がりはじめたコロナウイルスによるパンデミックは、私たちが「あたりまえ」と思っていた日常を一変させました。今までごく普通にしていた、会食、旅行、イベントなどには制限が課され、人々は口元を覆い、触れあうことを控えねばならない。  本作は、そんな「今」に戸惑う方、順応しつつある方、孤独を感じてつらい気持ちになっている方……、いろいろな立場や思いを持つ方々の心に、間違いなく何かを残してくれる作品です。  ウイルスより強力に確実に他者を殺す「呼気毒」。三歳と十二歳という線引きで、人は共に過ごせる相手が決まってしまう。耐性のある相手でなければ、素顔で触れあうことも、本当の声を聞くこともできない。  そんな風になってしまった世界で生きる人々の、願いや想い、孤独と愛を描いた、短編連作の群像劇です。  各章の主人公たちは、年齢も立場も違い、呼気毒に対する向き合い方もさまざまです。一人一人の心情が丁寧に描かれているので、それぞれの抱える悩みや孤独が胸に迫ってきます。  各章は独立した短編として読めますが、細い糸で綴じられるように、誰かの物語が別の物語へとつながってゆく、そんな構成です。  誰かの主観が、他の誰かの視点によって塗り替えられる。誰かの孤独は、他の誰かにとっては憧れ。叶わぬ想いに身を焦がし、あるいは孤独に溺れそうになり、美しく見える死を願いながらも、誰かが灯す光に救われる。  そういった繊細な心の機微が、丁寧でやわらかな文章と瑞々しい描写によって脳裏に広がり、気づけば没入しています。  人によって共感できる主人公が違ってくると思いますが、どの人物も懸命に今を生きていることが伝わってくるので、読後はとても爽やかなものでした。  完結しており、全体の長さも文庫本一冊程度です。ぜひ、ご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2021/1/18
  • 投稿日:2021/7/26
カクヨムファンタジー連載:52話完結

お昼寝カフェ【BAKU】へようこそ!~夢喰いバクと社畜は美少女アイドルの悪夢を見る~

 人生にくたびれたアラサー営業マン・遠原昭博と、白い大型ネコのようなあやかし・夢見獏。リーマンとバクがバディを組んで、人気アイドル・愛沢マイの悪夢に挑んでいく――という、あやかし系の現代ファンタジーです。  主人公の昭博は、仕事に人生に疲れ果てたアラサー独身サラリーマン。ある日、ふいに見かけた『お昼寝カフェ【BAKU】』という奇妙な看板に惹かれ、店内に招き入れられます。  店長を名乗る人物は、眼鏡をかけたゆるふわおっとりな青年でした。  疲れを癒そうと一時間の利用を決め、柔らかなウォーターベッドに沈んだ昭博は、夢の中で、白く大きな青い目のネコ科っぽい何かと出会い、――。  現実と悪夢を行き来するストーリーで、昭博は夢見を手伝い、とある人気アイドル女性の悪夢に何度か潜ることになります。夢を通して彼女の本心を、過去を知り、やがては自分の過去とも向き合ってゆく。  ファンタジー要素が散りばめられてはいますが、登場人物たちどれぞれが持つ悩みは、現代人にはよくあるものです。  猫のようにマイペースな夢見さんに癒され、一筋縄ではいかない悪夢に挑む昭博さんに勇気づけられ、悩みを押し隠しながら強く生きるマイさんに共感しながら、楽しく読むことができる物語。  番外編では、あやかしたちが人間に想いを寄せるようになった経緯も描かれ、涙を誘います。  文庫本二巻分ほどの文量で完結済み。一気読みにもちょうど良いです。ぜひご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2020/12/31
  • 投稿日:2021/8/8
カクヨムファンタジー連載:42話完結非公開

幻想人外の床屋さん ~ハーサミュエル=カットマンの珍客百人斬り物語~

 一話か二話ごとに読み切れる、日常系の異世界ファンタジーです。  伝説的な切れ味のハサミを振るい、普通なら「毛」とは言えないモノも整えながら、いろいろなお悩み相談もこなしちゃう。ちょっとめんどくさい性格が可愛い床屋のおじさん、ハーサミュエル=カットマン。  はい、店主の名前からもわかるように、ユーモアたっぷりのライトファンタジーですよ!  お茶の間アニメのようにテンポ良く進むストーリー、ライトでコミカルな語り口、人情味あふれる人外たちとのドラマ。各話どれもWeb小説にぴったりな文量だと思いますので、どんな方にも楽しんでいただけるかと。  一口つまんでオチでニヤリ。ぜひご一読くださいませ。

5.0
  • 作品更新日:2021/4/2
  • 投稿日:2021/8/7
カクヨムファンタジー連載:49話完結

借金3億・ウーパールーパー(!?)、妄想OLと暴走中💘

 二次元の推しをこよなく愛する妄想女子・あぴ子ちゃんと、もふもふ(マシュマロ感)ウーパールーパー(?)のうぱまろが織りなす、ちょっと不思議な日常を描いた、読み切り型の連載です。  バブル時代に一世を風靡した「ウーパールーパー」をご存知でしょうか。  ぽかっと間が抜けたお顔、寸胴なピンクの身体、顔の横で動くピロピロ。そんな生き物が、まるでぬいぐるみのような姿で、突然に話しかけてきたら。あぴ子ちゃんはそんな未確認生物を連れ帰ってしまうような、優しい女子なのでした。  彼女には二次元の最愛の彼・タマキさんがいて、お仕事や人間関係で疲れた時には「彼との甘い日々」を妄想し、乗りきっていたのですが、そこに謎ウーパールーパーうぱまろが加わり、ビターだった毎日が少しずつ優しくやわらかく変化していきます。  妄想の中の「タマキさん」、不思議だけど現実にいる「うぱまろ」。ふたりの優しさは、読んでる側の心もふんわり癒してくれるように思います。  さて、愛らし謎生物のうぱまろには「三億円の借金」があるらしく、時々チラ見えする哀愁漂う過去が気になってなりません。  まずはご一読、癒しが欲しい方にもぜひお勧めします。

5.0
  • 作品更新日:2021/5/25
  • 投稿日:2021/7/27
カクヨム歴史・時代完結非公開

【完結】朔の風

 繊細な描写と緻密な調査が光る、古代日本を舞台とした歴史ファンタジー。邪馬台国という名は誰もが聞いたことあると思いますが、それが九州にあったという説をベースに、日本神話の神々の末裔である人物たちが描かれてゆきます。  風読の力を持つ夕星は、彼女の能力を欲した者たちの襲撃により故郷と許婚を奪われてしまいます。許婚の青年が彼女の護りにと託してくれたのは、姿のない近衛・葉隠。途中、海を越え、悪漢に襲われ、道なき道を進み、辿り着いたのは日向大王の統べる大きな国でした。  先見の力を持つ大王に迎え入れられた夕星は、そこに身を寄せることになりますが、やがて熊襲国との戦いに巻き込まれてゆくことに――。  日本神話と史実、九州地方の風土特色などが巧みに織り込まれており、邪馬台国と熊襲国(人によっては狗奴国という名称に馴染みがあるかも?)の戦いや、神々の末裔が持つ不思議な能力が、オリジナリティ豊かに編みあげられています。  軸になる夕星姫と葉隠の、多くの制約に縛られた関係性も、非常に胸を揺さぶるものとなっており、二人の想いの先を見届けたいと思わせられます。  風読の姫に科せられた呪いとは何か、葉隠の「姿がない」とはどういうことなのか。  ぜひとも本作を読んで、確かめてください。

5.0
  • 作品更新日:2021/12/3
  • 投稿日:2021/7/27
カクヨム恋愛連載:51話完結非公開

令嬢クレイアの華麗かつお菓子な回想録

 薄幸なヴァパイア(作中用語:スペリオール)の令嬢クレイアリージュが、最悪な環境から救いだされ、皇太子に見初められて後宮入りし、そこでさらなる陰謀愛憎劇に巻き込まれてゆく――というほのぼの(?)シンデレラストーリー。  生家では義母に虐待され、後宮ではしょっちゅう爆撃が起き、夏の日には血の雨が降り……と聞くも語るも凄惨な日々なのに、クレイア嬢のどこかぽやーっとした雰囲気のせいか、物語の雰囲気はほのぼのです。  この、何とも言えないギャップとテンポが癖になります。  寡黙で胸ぺたの令嬢と、失言癖のある苛烈な暴君皇太子。  でも、ちゃんと恋してます。二人のふわふわとした関係の進展は、可愛らしくて危なっかしい。でも周りがもっと危険地帯なので、相対的に安心感があるのが不思議。応援したくなります。  物語は、さらなる陰謀へと進んでゆく……のか?  華麗で過激な後宮ラブストーリー、ぜひご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2022/8/19
  • 投稿日:2021/8/7
カクヨム恋愛連載:44話完結

今宵の夜伽は、君に捧げる。

 中華ベースの異世界宮廷で織りなされる、溺愛系恋愛ファンタジーです。  気質の違う三人の皇子、そして美しい妖鳥が想いを向けるのは、宮仕えをしているしっかり者のヒロイン。三者一羽の愛情はまっすぐでわかりやすく、反面、ヒロインの朱衣の心は序盤ではあまりわかりません。  皇子たちを一人一人掘り下げて描いていくうちに、彼女の想いと宮廷の現状が少しずつ紐解かれていきます。  乙女ゲームや少女漫画のような王道のストーリーラインですが、朱衣の父親である「先生」との日々を三人の皇子たちが回想する流れは、この物語のもう一つの軸のように思います。  幼いときの思い出と今の朱衣との関わりが、彼らの生き方をどう変えてゆくのか。国の在り方にも関わるその変化も、見どころかなぁと。  甘い恋にほんのり苦い毒が混じる恋愛劇、ぜひご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2020/1/31
  • 投稿日:2021/8/7
カクヨムファンタジー連載:43話完結

魔法使いの師匠は友だちを作りたい

 チート級の魔法使いである「師匠」と、高い魔法の素質を持つ「僕(ぼく)」との、ハートフル×バトルファンタジー。各区切りごとにストーリーが完結してゆく連作形式なので、気軽に読めます。  生きることに疲れ、死を望んで魔の森に踏み込んだ「僕」は、森に住む魔法使いに出逢います。人智を超えた魔法能力を持つ相手に警戒を募らせる「僕」でしたが、彼が言ったのは意外な一言。 「ワシの友だちになってくれないか?」  こうして、「僕」と「師匠」の忙しく賑やかでちょっと不思議な日々が始まったのでした。  ともに本名は語られず、年齢や性別といった詳細な点も伏せられており、二人の呼称は各パートごとに変化します。そんな、どこか童話風な雰囲気を醸し出しつつも、魔法の詠唱や演出は鮮やかで迫力のあるファンタジーテイスト。  二人は、村での事件を解決したりドラゴンなどの人外種族と交流したりして、少しずつ互いの絆を深め、友情の縁を広げてゆきます。そしてそれは、「僕」の成長にもつながっていくのでした。  これは、孤独な超高位魔法使いが人間の子供によって孤独を癒されてゆく物語であり、同時に、心を閉ざしていた子供が少しずつ感情を取り戻し熱い想いを抱けるようになってゆく物語、でもあります。  中盤以降のドラゴンとのタッグバトルは、格好良くそして愛おしい。  魔法使いの師弟モノがお好きな方、ドラゴンライダーと聞いてワクワクする方、ド派手な魔法バトルファンタジーを読みたい方に、ぜひ読んでいただきたい作品です。

5.0
  • 作品更新日:2020/6/21
  • 投稿日:2021/7/26
カクヨム恋愛連載:60話完結

狼将軍の生贄の花嫁

 封建制度の強い王国で政治的な思惑に振り回される令嬢と将軍の、政略結婚から始まる恋愛ストーリーです。  私生児ゆえに虐げられてきた良家の令嬢エリーゼは、婚約者の死を悼む猶予も与えられず、政略的な生贄として、残虐で野心的と名高い将軍ヴォルフリートと結婚させられることになります。  憂鬱な想いと募る恐怖を押し殺しながら将軍の家へと迎え入れられた彼女は、そこで彼の意外な一面を目にすることに――。  丁寧に心情を描きだしつつ進む物語は、読者にやるせなさともどかしさを想起させてくれます。  貴き家名を誇る人々のはけ口とされてきたエリーゼには、自分が優しく大切に扱われる価値があるとは考えられません。自分自身の価値を軽く思い、向けられる愛情を受け取ることができない彼女ですが、夫となった将軍の内面に触れることで、少しずつその考えが変化してゆきます。  ヴォルフリート将軍もまた、強すぎる罪の意識に苛まれ、正しく優しさや愛情を受け取ることができない人物です。  互いが、互いの傷に気づいたとき、その関係性は形だけの夫婦ではなくなっていくのですが、同時に二人の周りでは陰謀も蠢いています。差し向けられる悪意を乗り越えて、二人は幸せをつかめるのでしょうか。  本編は完結しており、後日談と番外編もあって、一気読みにもちょうどいいサイズです。ぜひご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2021/1/31
  • 投稿日:2021/8/8
カクヨムファンタジー連載:64話完結

ハズれギフトの追放冒険者、ワケありハーレムと荷物を運んで国を取る!

 パーティ追放系の定番、でしょうか。私は普段あまり読まないので詳しくはないのですが、丁寧に堅実に練られた世界観と、個性的なキャラが織りなす、味わい深いストーリーです。  ギフト持ちが優遇される世界で、ハズレギフトの烙印を押されてしまった【運び屋】のベアさんは、最高ランクのパーティから追い出されてしまいます。パーティリーダーがめっちゃ意地悪で、女性ヒーラーは気にかけてくれる、……という背景が後々までも効いてくる構成となっております。  ソロになりながらも細々と、それなりに楽しんで大迷宮を探索していたベアさんの前に、アミノと名乗る少女が現れたことから始まる、激動の探索ライフ。誰かの危機を救ったり、自分が危機に陥ったりしながら、ギフトと知略を尽くして道を切り開く展開は、読んでいてワクワクさせられますし、バトルシーンもかなりの迫力です。  アミノを始めとした新たな仲間たちがとても可愛くて、ベアさんの真面目さと人の良さと上手く噛み合っていて、応援もしたくなりますね。個人的なお気に入りはねこみみな魔法使いさんです。  第二章の「戦争」編では、国家間の権益を巡る陰謀に巻き込まれてゆくのですが、他の冒険者たちとも交友の輪が広がる中で、各自が持つギフトとアーティファクトを駆使してピンチを切り抜けてゆく畳み掛けが非常に面白いです。  お人好しのベアさんは、仲間を守り抜き冒険者の矜持を守れるのか? 完結作品です。ぜひご一読ください。

5.0
  • 作品更新日:2020/11/16
  • 投稿日:2021/9/7