月のない夜、命は仄青く光る
最終更新:2023/1/29
作品紹介
17歳の少女、矢辻 由美(やつじ ゆみ)は、新月の夜に現れる怪物を狩る使命を与えられていた。由美は5年前、目の前で家族を喰われた過去がある。 はっきりとその記憶を残しているのは、それと戦う力を持っているからだ。 これ以上被害者を増やさないため、そして復讐のため彼女は夜の中を駆けていた。 怪物の名は荒魂(あらだま)。 荒魂に襲われた者は命だけでなく、人々の記憶から記録からも消えてしまう。 消えた人を覚えていられるのは、荒魂を認識できる一部の者たちだけだった。 ある時由美は、戦いの中でひとりの少年を救う。 由美と同じように、眼前で家族を失った少年の名は霧崎 哉太(きりさき かなた)。 天涯孤独となったことを自覚できる彼もまた、由美と同じく戦う力を持っていた。 戦うことを決意する哉太は、由美と同じ家に引き取られることとなる。 同時に、由美の通う高校への転校生ともなった。 奇妙な共同生活と激しい戦いの中で、2人は互いに信頼関係を築いていった。 相棒としての感情は、やがて男女のそれに変わっていく。 そして、2人は荒魂の真実と逃れられない運命を知ることとなる。 由美は消えゆく哉太へ向かって叫ぶ。 「運命なんて知らない。私を救った責任は必ず取ってもらうから」 「私は1人でも戦う。私は意地でも忘れない。だって、君に救われたから」 作者:日諸 畔