無明探偵 ―天狗に育てられた男の翻弄される日々―
最終更新:2023/8/6
作品紹介
――そうだよ、私は約束を守るのがモットーだからね。 女癖が悪く強欲な社長の元で雇われ探偵をしている辰巳は、複数いる社長の恋人のひとりから新しく囲ったとされる女性の調査依頼を受けた。 それとほぼ同時に、社長からも高級料亭に関する調査をしろと指示も受け、辰巳は相棒である化け狸の藤吾と共に軽い気持ちで捜査を始める。 全く関係がなかったふたつの調査依頼の内容は、調査を進めるうち思わぬ関わりを持っていることが分かって…… 震災も戦争も体験しなかった大正時代。 人間と八百万の神々が共に暮らす日ノ本で起こるちょっと不思議な物語。 *** その国はヒトと異形の者が共に暮らす国。 姿形は似ていても、全く違うその者たちはそれでも折り合いを付けて暮らしている。 折り合いが付く事もあれば、付かない事もあり。 結果、残酷な結果となったとしても……それはこの国では当たり前の事。 老いも若きも、男も女も、ヒトも八百万も、皆同じ。 強さ、弱さ、狡さ……そして優しさ。 それら様々な気持ちを身の内に内包し、見せたり隠したりしながら、自らが消えていくまでの限りある時間を生きている。 日ノ本は、ヒトと八百万の神と呼ばれる異形の者が共に暮らす国。 どこにでもあるごく普通の生活が営まれている。 この世の中は常に……愛すべき、ろくでなし達の生きる世界なのだ。
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