旦那様、そろそろお髭を剃りませんこと?
最終更新:2020/5/21
作品紹介
結婚ですか? わたくしが? 貴族の娘は十二になると女学校の寄宿舎に入れられて、十六歳の卒業後には社交界デビューがあり、結婚はその結婚市場に並んでからがお決まりのコースです。 ただし、私は自宅で家庭教師という箱入り娘という触れ込みです。 何のことはありません。 我が家は伯爵家でもお金がなく、寄宿舎に娘を通わせるどころか家庭教師も雇えない家なのでございます。 よってわたくしには学も教養もありません。 そ、そんなわたくしに降ってわいた結婚話ですって? それも、お父様が私の嫁ぎ先だと言い放ったのは、なんと、フォルス・アルマトゥーラ伯爵様だったなんて! 勇猛果敢にして公国の要とも言われる東を守る若き将軍様ではございませんか。 でも、私は驚きながらも喜んでいました。 だって、私はアルマトゥーラ伯爵様とはたった一度だけ面識がありますの。 彼はとっても優しい人だった。 体の大きなグリズリーのような男と言われているけれど、だから次々と婚姻話が流れていると聞いているが、私は、平気です。 うん。 たぶん。 毛深い人は苦手なんだけど、ね。 でも、彼が大丈夫だって言ってくれるのだから、うん、大丈夫。 彼とは一生結ばれる事など無いのだから、彼が私を助けてくれると言った人との結婚ならば幸せになれるだろう。
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