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@オノログ
作:きょうじゅ
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最終更新:2019/12/26
ロイ・フォンテーン、本名アーチボルド・ホール(1924~2002)は、英国犯罪史にその名を刻む連続殺人犯であり、その表の職業は執事であった。
とある執事の半生を綴った物語。あるいは、彼の犯した殺人を活写したお話。 なにやら実話っぽい語り口、と思いながら読んだのですが、どうやら本当に実在の人物でした。 ロイ・フォンテーン、本名アーチボルド・ホール。作中の殺人事件も実際にあった出来事のようで、つまりは伝記ということになるのだと思います。 わりとネタバレになってしまう感想なのですが、最後の一文が好きです。 あの一文でくっきり話の核が見えるというか、主人公がロイさんから一気に英国そのものになる感じ。加えて、実はそれがキャッチコピーの時点でネタバレされていたこと。 “斜陽の大英帝国に彼は現れた。執事という幻想の燕尾服を纏って。” 執事という燕尾服が幻想と化してしまうほどに、斜陽化した大英帝国のお話。ロイ・フォンティーンという人物を通じて描かれる英国の衰退。いや、彼自身はしっかり主人公しているのですが、でもそれを結びの一行で全部丸ごと『英国』に飲み込んでしまう。あの一瞬の、世界がぐわっと広がる感じ。物語のスケールの上書きをたった一文で完了させる、しかもそれが最後の最後にくる、あの瞬間の快楽がもう本当に最高でした。
和田島イサキ
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