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作:白胡麻もち

僕に優しくない世界

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未評価

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最終更新:2020/2/4

作品紹介

自分と同じ画家の卵であった友人の死を、未だ引きずっている男・御手洗。 彼のアトリエには、今日も彼女である蝶子の姿がある。 カンバスに闇を描き続ける若き画家は、陽の下の蝶か、それとも人工灯に集う蛾か。 ※個人サイトに上げていたものを手直しした作品です。

日常シリアス現代日本純文学画家泡沫

評価・レビュー

果てに待つ光景は――。

 とても素敵な掌編に出会ってしまった……のですが、本作をネタバレなしで書くのは難しい。でも、この作品は事前情報は持たずに読むほうが絶対良いタイプの作品だと思います。なので、できるなら、まず本作を読んでから、こちらに戻ってくるのをお薦めします。  ネタバレフィルタは付けましたが、今回はすべて明かすわけではなく、多少踏み込みつつも、できる限りネタバレには気を付けながら書きますが、たぶん勘の良いひとはちょっとの情報で構成、展開を察してしまうかもしれない。だから、もう一度言いますが、まず本作を読んでから、こちらに戻ってくるのを強くお薦めします。  良いですね。後で絶対に文句は言わないでくださいね。 〈桐島蝶子(ルビ きりしまちょうこ)、僕の彼女だ。……と言っても最近付き合ったばかりなので、「画家の卵なんて」といつ愛想をつかされないか、毎日冷や冷やしている。彼女持ちであると胸を張れない僕は、蝶子さんが言う通りの心配性なのだろう。〉  本作は〈現実〉という空虚さを嗤うように、あいまいさの上で成り立つ虚構の魅力に満ちた物語です。後書きにて、作者さん自身が〈泡沫〉という言葉に想を得たと書いていますが、いま見ている光景は本当に確かなものなんだろうか、と読者と語り手は物語の途中から不安な感覚を共有していく中で、まさしく泡沫の夢という情景が弾け、驚きとともに浮かび上がる〈確かに(見える)〉世界。でも……その〈確かに(見える)〉世界こそが泡沫の夢、あるいはそれまでと地続きにある世界の中……なのかもしれない、と世界は揺らいだまま、幕だけが閉じていく。素晴らしく好みの作品です。  読後、ふと蝶子の名前のモデルについて考えてしまいました。確信犯なんだろうなぁ、と思いつつ、読後の余韻を楽しみながら、このレビューは終わらせることにします。

5.0

サトウ・レン