濡れ衣を着せられ婚約破棄された聖女は、不義の魔女を断罪する
最終更新:2020/10/22
作品紹介
幼い頃から王子の婚約者になるべく育てられたナターリエ。 十二歳を期に正式に王子の婚約者に選ばれた。 表面上王子との仲は悪くなく、このまま順調に王妃の道を歩むと誰もが思っていた。 ところがある日、王室主催の舞踏会に一人の伯爵令嬢が現れた。 伯爵令嬢は王子に近づくと、色目を使って誘惑しだした。 ナターリエがたしなめると、伯爵令嬢は露骨に甘えた声で「誤解です~」などとのたまう。 その後もたびたび伯爵令嬢は王子に近づき、そのつどナターリエは礼儀をわきまえるよう注意をした。 ナターリエの我慢も限界に達しようかという頃、ある噂が王宮に流れ始めた。 ナターリエが伯爵令嬢に悪質な嫌がらせをしているのではないか、と。 ナターリエは否定するものの、王子との間に隙間風が吹き始めた。 その頃から、王子と伯爵令嬢が密会しているとの噂が、ナターリエの耳にも入ってくるようになる。 ――でもわたくしは、殿下を信じております……。 婚約者としての立場が揺らぐようなことはないと、ナターリエは愚直に信じていた。 そして、ついに運命の日を迎える。 大聖堂で、衆目の中、王子の婚約者として聖なる祈りを捧げる日が。 ナターリエは祭壇にひざまずき、女神の前で祈りを捧げた。 ところがその瞬間、突然ナターリエの全身は黒いもやに覆われた。 「あの女は闇の魔女よ!」 伯爵令嬢の金切り声が響き渡る。 「君との婚約は、今この場で破棄とさせてもらう! 魔女との婚姻だなんて、あり得ないからなっ!」 王子の怒声を聞き、ナターリエは全身から力が抜け落ちた。 魔女だなんて身に覚えがない。いったい自分の身に何が起こっているのか。 王子にしなだれかかり、自分を見下しながら薄ら笑いを浮かべる伯爵令嬢……。 ナターリエはようやく悟った。 罠にはめられ、婚約者を寝取られたのだと。 近衛兵に引きずられながら、ナターリエは誓った。 いつかきっと真実を暴き、あの憎き女を魔女裁判にかけてみせると。 今、ナターリエの戦いが始まる――。 【カクヨムにも投稿中】
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