アリウムは手折られた
最終更新:2021/5/3
作品紹介
肉は人類の敵である。 それがクロッシェン王国における美の基準だ。 無駄な肉が付くのは怠惰でだらしない人間である証。逆に、無駄な肉のつかない細い体は勤勉で誠実な証とされていた。 確かに、日頃の運動不足や贅沢が祟っての肥満であれば話はわかる。けれど、クロッシェン国は少し行き過ぎていた。 数代前の、圧政を敷いた愚王が余分な肉を蓄えブクブクと丸く肥えていたからその恨み辛みもあるのだろうけれど、とにかく肉に対する嫌悪が半端ではない。 そのせいで、付かない方が良い肉と付いていなければならない肉の区別も付かないのだ。そんな歪な美意識が出来上がってしまったのである。 つまり、女性は胸や尻に丸みを帯びているほど、男性は逞しい筋肉を育てるほど悪なのだ。 「行きますよ、お嬢様!」 それはおかしいとベロニカ・ベルドットが気付いたのは、15歳には不相応なたわわに実ったバストを親愛なる侍女に締め潰される真っ最中の事だった。 ■R15、残酷な描写は保険です。美醜逆転、体格差が書きたかったのにあまり活かせなかった…… 短編の予定で書いていたのですが、長くなったので小分けに投稿しています。
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