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作:小波ほたる

Thinking of you

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未評価

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最終更新:2021/12/2

作品紹介

クリスマスシーズンのイギリス、ロンドン。現地に留学中の脚本家、舞子は完成しない作品を前に焦りが募る。 友達で同居人のケイティは無理をしないように言うが、ライバルが気になりすぎてる舞子は聞かず、大丈夫だ、心配はかけまいと一人書き続ける。 締切後に見たクリスマスライトに、舞子が感じて、思い出したことは…… 何かを作ってる、何かを頑張ってる、大切に思う人がいる。 孤独になりがちな季節、そんなあなたに贈りたい一編です。 しのき美緒さん主宰のエブリスタアドベントカレンダー2021に参加しております。担当日は12月2日。 作中に登場するある風物詩を描きたくて、参加表明時にこの日付をと挙手しました。気になる方は本編読了後に検索してみてください。 しのきさん https://estar.jp/users/129588319 企画の作品・牽引はここから https://estar.jp/novels/25879925 ちなみに… イギリスを舞台にした短編は他にもあります。気になった方はぜひこちらも。 「us against the world」 https://estar.jp/novels/25890225

友情青春・ヒューマンドラマヒューマンドラマ

評価・レビュー

舞子とケイティの物語

ヒロインの舞子は脚本家。勉強をし直すために、ひとりロンドンに来ている。 好きな男性も脚本家。しかも成功を手に収めている。そのひとと同等でありたい、自分を対等と認めさせたい、実績を作りたいと肩ひじ張って頑張ってしまう舞子が痛々しい。 ルームメイトのケイティは励まそうとするが、その親切すらおせっかいだと切り捨ててしまう。 ケイティのほうはわが道を行くスタイル。焦って実績を求めようとはしていない。それがまた舞子には癇に障ってかなりとげとげしい。 そのとげとげしさが感情的で当たり散らして発散されるのであればまだしも、脚本家という性質上、なんでも分析してしまって――自分の行動に隠れた心理とか、あざとさとか――どんどん身動きが取れなくなっていく。 孤独に苛まれていく。めんどくさいひと、舞子。 けれど根気強く舞子を励ますケイティのおかげで舞子は立ち直り、舞子の明るい未来が(少なくとも恋愛においては)暗示される。 ところで、表向きは舞子の物語なのだが、本編の隠れた主役はケイティである。嫌がられていることくらいはわかっているだろうが、舞子を慰めようと声をかけ、外に連れ出し、恋を応援する。この寛容さはお国柄の違いによるものなのか人柄なのかははっきりとはわからないが、彼女の存在が始終、暗くなりがちな作品を明るく照らし、ほっとさせてくれる。 美しいロンドンのクリスマスの光景と、ホットワイン、それによって次第に舞子のかたくなな気持ちが溶けていく場面は静かで美しい。

5.0

しのき美緒@BEKKO BOOKS

私の場所は遠く、異国にひとり

 作中で語られているように、グリニッジ標準時と日本の時差は9時間。  ひと昔前と違って、今はSNSでもメールでも一瞬でつながる。けれども、つながった相手は9時間先の未来を生きている人のようで、誰もがそこに距離を感じずにはいられないだろう。  景観を維持するため、建物の造りは昔のままで、白い壁の建物にチムニーポットの乗った屋根が並ぶロンドンの街並み。そういった風景ばかりを見れば、たしかに「世界が止まっている」かのように感じるかもしれない。心象としては、日本との距離がさらに遠のいていくように思えるだろう。  本来なら主人公・舞子が属している場所・居たい場所は日本の、彼のいる環境と思われるのだけれど、今はロンドンにひとり、切り離された状態だ。 「私は遊びに来てるのではない」  舞子の述懐は暗に、この場所にいるのは「学びに来ている」自分だけであり、「遊んだり恋したり人生を楽しんだり」する自分はどこか別の場所にいるのだ。ただそれは日本でも英国でもなく、どこでもない場所を彷徨っているのだろう。  舞子は懸命の努力をしている。しかし目的を達成するために、自分を含む「余計なもの」を削ぎ落としていけばいくほど、彼女の居場所はなくなっていく。冒頭の時点で、すでに学校とノートPCの置かれた机の前だけ、という状況だ。  彼女は空間的にも時間的にも、そして人との繋がりも孤独である。つまり居場所がないのだ。  そこからどうやって自分のあるべき場所を見つけ、そこに至るまでケイティがどのような役割を果たすかは、本文を読んでいただきたい。またエブリスタの方では、ももたろう さんが詳しいレビューを書かれていらっしゃって、そちらを読んでいただいた方がいいと思うので、あらすじについてはここでは述べない。  私が作品から感じたのは、人はやはり独りで生きられない、ということであり、個人の強さや才能は必ず周りの支えがあって発揮される、ということだった。  未読の方はぜひ、読んでいただきたい。  本文中の味志ユウジロウさんが書かれたページコメントではないけれど、作者ノーコメントの部分に想像力を掻き立てるものがある。続編は考えられているのだろうか。主人公の名前からして、ちょいと気になるところだ。 はやくもよいち

5.0

はやくもよいち