最強の『睡眠魔導士』である私、体目当てのパーティーメンバーに寝込みを襲われたので、【反・絶対睡眠魔法】で古代迷宮に封印されていた厄災の魔王を目覚めさせて、元仲間の寝首を掻こうと思います

　私――リーファ・アイリスは『睡眠魔導士』として、世界でも有数の冒険者パーティーに身を置いていました。 『絶対睡眠魔法《アブソリュート・ラホリー》』 　私の唯一にして最強の魔法。 　対象者を絶対、１００％、例外なく眠らせることができる禁呪です。 　私はこの魔法のおかげで、世界有数の冒険者パーティーに入れてもらうことができました。 　身寄りも、行く宛ても、生きる目的も無く、ちょっと魔法と容姿に恵まれているだけの私を拾ってくれたこのパーティーに、私は骨を埋める覚悟をしていました。 　私を拾って家族同然に扱ってくれた皆に恩返しをしようと……そう思っていました。 　ただ、パーティーの皆は私のことを家族同然とは思ってくれていなかったみたいです……。 　ある日、私はパーティーメンバーに睡眠薬を盛られました。 　私はこの時全てを理解しました。 　彼らの狙いは最初から『私の体』だったのだと……。 　決死の思いで目を覚ました私は、パーティーメンバーに絶対必中の禁呪『絶対睡眠魔法《アブソリュート・ラホリー》』を唱えます。 　一人……また一人と膝から崩れ落ちていく男達。 「絶対……絶対に許さないんだから……」 　私は呪詛のようにそう呟いて、枕元に置いてあった短剣を手に取ります。 　これは、家族だと思っていた仲間に裏切られ、失意のまま『古代迷宮』の地下５０階層に辿り着いてしまった少女の出会いと復讐の物語です。