巡り求めて

　年老いた男、入間聡慈が最期を迎える前に願うのは、若き頃派兵された戦地へ慰霊に行くこと。 　だがある日、火災に巻き込まれた彼は、気づけば見知らぬ場所にいた。鬼が闊歩するそこは彼の罪を償うべく送られた地獄なのか。 　抑圧と虐待が続き、しかし際どいところで死を免れる日々を送る内に、彼は様々な才能の種を宿す。やがて鬼の住まう地から脱出した聡慈はその世界で何を為すのか。 　異世界の歴史に大きな影響を与える、老いた旅人の物語。