王の短剣
最終更新:2018/10/6
作品紹介
五年前、大陸南方に位置する騎士と魔術の国、ブレスティア王国は、四方に隣接する国々から宣戦布告を受けた。 後に大戦と呼ばれるその戦争は、四方を守る四人の英雄たちにより、僅か三年で終結した。 南を守った『英雄王』は、その呼び名の通り、ブレスティアを治める国王その人である。 我が身を賭して国を守る王の姿に、民は忠誠を捧げる。しかし家臣たちの心労は如何ばかりだったであろうか。 然れど、王に不安はなかった。彼は傍らに、王を守護する一振りの短剣を忍ばせていたのだから。 戦争は終わった。それで、平和は訪れるのだろうか? 否。盗賊に身を窶した傭兵、犠牲者の成れの果てであるアンデッド、人と人が争う間に力を蓄えた魔物。終戦の後にこそ、王は頭を悩ませる。 心せよ。国を荒らす者共よ。 夜に眠るなかれ。背後の戒めを怠るなかれ。見慣れぬ者を、安易に受け入れるなかれ。 物陰から、闇より昏い瞳が汝を覗く。 王の短剣は嘯き嗤う。隙あらば、その喉笛を掻っ切ると。
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