蝉が鳴いていた、雲が流れていた、僕は動けなかった。 夏休みに入ってから何回目か分からないほど夢に見るあの日の情景。たぶん僕の時間はここで歩みを止めて動けないでいる。 そして、いつだってこの夢は彼女の哀しげな笑顔で終わる。 だけれど世界は、僕の時間が止まろうとそんなに変わらない。 この時期の水道水の出始めはぬるいし、蝉はうるさいし、ご飯はおいしいし、夏は暑い。 そう、僕のとなりに彼女がいないだけ。 日常は平穏だ。 でも、僕を置いていった世界は、そんなのは嫌だと前に進もうとしたら背中を押してくれた。 キィーーッ ドンッ 訂正、背中をぶっとばしてくれた。
更新:2015/8/6
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