ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

検索条件

Episode253

Page438

条件をリセット
詳細条件で探す

龍の愛し子たち

キャラクターひとりひとりが生き生きとした、時代物風の優しいファンタジー

綺麗にまとまったお話であり、また、キャラクターの一人一人が生き生きとし、体温が感じられる素晴らしい作品でした。 特に、キャラクターはとても良くて、一人一人の心模様がしっかりと伝わってきました。 個人的なことですが、子どもの頃に観ていたアニメ『るろうに剣心』を大人になってから見る機会があり、このお話に登場する弥生くんが『るろうに剣心』の弥彦を彷彿とさせるキャラクターで、なんだ勝手に嬉しくなってしまいました…。 小さい体で、それに似つかわしくない虚勢を張って、必死に何かを守ろうとするところが、すごく弥彦な感じがして好きです。 登場する重要なキャラクター、鴉(雅)の境遇や、それゆえ男たちの卑しさになんとか溶け込もうとしてしまう気持ちの悲痛さも、よく伝わってきます。 それが卑しいことだとは分かっていながらも、そうするしかない、むしろ辛くとも自分でそうやって居場所を作ることを、強くなる、ということだと考えているのがよく分かりました。 主人公である桜に関しては、これだけ「良い人」であると、どうしても作品として嫌味な感じが出てしまうことが多いように思いますが、読んでいて全くそういう風には感じられませんでした。 彼女だけが正しく、優しい訳ではない、他の人物の言い分や感じ方にもしっかり寄り添える筆致だからだろうなと思います。 構成面も、とてもお上手です。 冒頭の守護神の龍のくだりも(タイトルにもなっているので当然かもしれませんが)終盤で、桜がなぜ人々に親切にせずにいられないのか、という重要な点でしっかり掬いあげられていましたし、冒頭の何気ない場面が終盤に繋がってくる、というのも良かったです。 ここはちょっと綺麗すぎる、というか、予定調和かなという気がしないでもないのですが、それでもやっぱりそうなってくれるよね、という安心感、王道としての良さがあったと思います。 賭けの流れも何となく読めてしまいましたが、これも、ほらやっぱり!というカタルシスがあり、むしろ気持ちよく読めました。 お話として、隙なく、よくまとまっています。 文章もたいへん読みやすく、長さは全く感じませんでした。 難しい言葉は使われていませんが、語彙も表現も豊富だし、リズムも良くて心地よく読めます。 キャラクターひとりひとりに温かさを感じる、優しく、けれど洞察にも優れた素晴らしい作品です。

5.0
0
ぞーいー

きんきらきん

「きんきらきん」にまつわる様々な痛みを描き出した切なく美しい物語

きんきらきん、という無垢なイメージの言葉が、けれど、これでもかといういたみを伴って発せられるその感じに、心をつかまれました。 きらきらしているものを羨み妬む心のやり切れなさが、ものすごい破壊力を持っていて、最初に「きんきらきんだねぇ」と口にした、擦り切れたわらじを履く名前もない男の心に、ひどく気持ちを揺らがせられたように思います。 だからこそ、物語の中で起こってしまった悲劇にも、ただ犯人が憎いと言うよりももっと、複雑で悲しいような思いがわいてきて、やはりやりきれない。 ストーリーは、途中復讐の方向に向かうのかとも思わせつつ、そうはならないところが、個人的にはポイントなのかなと思いました。 恨みを晴らす、というありがちな方へ向かわずにも、読み手を満足させる仕掛けがなされていたと思います。 そして、最初に差し出された「きんきらきん」にまつわる色んないたみを、最後までずっと大事にされていて、きんきらきんであることも、きんきらきんを外から眺めることも、どれも辛いのだということが、広い視野からよく表現されていたと思います。 そして、それぞれのいたみをいとおしむようなラストは心が震えるようでした。

5.0
0
ぞーいー

蝶を吐く

蝶を吐く、という幻想的な画を通して描かれる、憧憬や嫉妬などの心の有り様

「蝶を吐く」という、それだけで妖艶かつ幻想的な画と、蝶吐師オリエの魅力。 それらが憧憬や嫉妬や虚勢といった心の有り様を芯として描かれる物語と、美しいハーモニーを織り成していました。   冒頭の蝶を吐くパフォーマンスから、読み手をぐっと引き込む美しい雰囲気が作られています。 薄く開いた口から蝶の翅の鮮やかな色が覗く様がとても艶めかしく、物語への期待が膨らみました。   オリエの人物造形もとても魅力的です。 才能のある人間特有の傲慢さと、だからこその愚直さ、そしてその裏にちらつく脆さが、序盤からありありと伝わってきました。 そういう彼に、一番近いところから憧れを抱く語り手の心に、読み手がはっきり寄り添えるくらいに、オリエが魅力的に描かれていたところが、また素晴らしいです。   その語り手であるジェラが、カマラという女性の登場で揺らぎ始め、そこから彼の心が少しずつ見えてくるところがポイントでしょうか。 胸にしまっていた気持ちから、自身さえ気づいていなかった本心までゆっくりと読み手を誘ってくれます。 そして、その過程がとても切ないです。   ですが、迷っていた、悩んでいたのが彼だけでないのが分かった瞬間が、私には最も切なく愛おしく感じられました。 オリエが独りよがりとも言えるような自身の思いをぶつける瞬間。 誰かの中で一番でありたいと思う彼らしい傲慢さと、けれどきっとその「誰か」は誰でもいいわけではなくて、彼の中で大切な人物にだけ抱く彼なりの愛情なのだと感じられました。 感情の種類は違っても、お互いに大切に思いあっている二人の、けれどこれ以上一緒にいられないという現実が、切なかったです。   それでもそういう悲しさだけで終わらなかったのも良かったです。 そのトリガーとなるものも、きちんと提示されていて、納得のいく変化でした。 後は、はじめは憎まれ役とも思われたアジャイが、強欲(というか商売人)ではあるけれど決して悪人ではなく、それなりの器の大きさを持ち合わせた人物だと感じられたのも嬉しかったです。

5.0
2
ぞーいー

最近の「いいね!」

小説家になろうファンタジー短編完結

魔法少女になるからわたしと契約してよ

法律ヤクザな魔法少女

オチにニヤッとするが、私もこんな魔法少女はイヤだ。 短編小説に定評のある燦々SUN氏の作品で、安定した文章と構成は安心して読める。 「わたし、魔法少女コントラクターまりん! 父は弁護士母は詐欺師。愛読書は六法全書! 今日も、無法地帯出身の蛮族達に契約の恐ろしさを教えちゃうゾ☆」(本文より引用)

カクヨムファンタジー連載:98話完結

林檎と甜橙、女奴隷とその主人

まだ転がり続けるの? 意外な展開でぐんぐん読まされる

異世界からきた、とある男性の面倒をみることになったレティクラタ。彼の世話のため女奴隷を買うことにした。  …という感じで始まるこの作品。導入部は男性との恋愛もの?と思っていたのですが、話は思わぬほうへ転がり続けます。最後まで!  長短にこだわらないエピソードの区切り方や、直接的な表現をすることなく関係の変化を匂わせる描写など。いろんな箇所に効いている技やシリアスとコメディの緩急も見事で飽きさせず、どんどん読めてしまいます。 本当に面白かった。  設定もしっかり練られているようで、この先のエピソードや登場人物たちの細かい背景まで気になってしまう魅力的なストーリー。  軽い読み口が好みの方、少し深めの考察が好きな方、どちらにも楽しめる作品です。ぜひいろんな方に読んでみてもらいたい。おすすめです!

小説家になろう恋愛連載:154話

絶対呪ってやるからな!【番外編更新中】

暴走沸騰系女子・メイジーによる!拳で☆母を探して。 第一の手段候補は呪いのモトを手に入れる事から

下町で元気に給仕に励む母子家庭の子メイジーは、サバサバした赤毛美人。だがある日突然、下町を謎の高級馬車が走り去った後、家の部屋は血だらけで、もぬけのから。どうも母は攫われたらしい?メイジーは誓う。絶対許さない!下町の隣人たちの諫言をお供に、ちょっぴりニワト…たんじゅ…激怒したメイジーはノンストップで暴走を始める。貴族にツテ?下町にあるわけないじゃ無い!そんな時は呪いがマストって聞いたわ!材料を取りに行くわよ!← これは、たいがい拳で解決しようとする(注・うら若き女性です)メイジーをひょんな事で知り合った美麗な兄と妹が必死に止める?物語。 竹を割りまくってもうスパーン!スパーン!言ってそうなメイジーが爽快。 悩んでる事が小さくかんじる…よしがんばろ!と思わせてくれる、ストレスが飛んでいく小説です。2024年3月中旬の更新ここ数話で、お母さまと再会した今が読み始めるチャンス!