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魔術師の小指

やはり魔術師であった彼女の物語

きっと事実としてはお義父さんの言うことが正しいのです。 「せいぜい『世界びっくり人間』か『一発屋芸人』ぐらいのもの しかし、絵里子はその一つきりの能力で、多彩な効果を生んできました。まるで彼女が思いのままにいくつもの魔術を行使する魔術師であるかのように。いいえ、その限られた力が限られていることを(抜けているとか言われるけれど、あまり)感じさせず、周囲を魅せたという点において彼女はまさしく彼女の名乗る通り魔術師でした。 その彼女が電話をかけてくるときの様子は、描写が巧いという以上に、そして圭一のことを愛しているのだろうというのが分かる以上に、どこか独特の空気感を持っていて、物語を最後まで読んでしまった後読み返せば、ああそういうことだったのかと分かります。 小指との生活もそう。恋人の一部とのどこかツンツンした可愛らしい生活かと思えば、実際のところは――(それでも可愛らしいのですけど)。 三月中旬に彼が受け取った知らせも、圭一たちや読者にとっては衝撃的でしたが、読み返せば彼女が編んだ魔術の糸が集まる結節点であり、また違った意味でのターニングポイントです。 つまるところ、物語を読み終わって、その魔術の正体を知るまで、読者も魔術師絵里子の掌の上にあります。 余談ですが、終盤、圭一と知子が語るシーン、圭一の誤解と執着は男性的であり、知子の縋り方は女性的であるように思われました。こういう場面できちんと性差を描くのだなと思いつつ、そのことによって彼等がまだ生きている人であることが浮かび上がっているような気がして感嘆しました。 これはやはり魔術師であった彼女の物語。どうぞ幻惑されてください。

5.0
0
辰井圭斗

桜の咲く頃、梅は散る

幼く仄暗い性

特別いい作品を読むと世界が明るくなったような気がします。 いえ、私も書き手なので嫉妬なり焦りなりは抱えるべきはずのところ、なんだか救われたような気がして。この世界は広くて、こんなに素晴らしい作品があって、だから君はおよそその点において絶望しなくてもいいし、これから往く先君は孤独ではない、と。こんな感慨を持つのは甚だ傲慢ではあるのですが、そう言ってもらえたような気がするのです。 ではこの作品がどう素晴らしいのか、それを語るのはやはり難しくあります。圧倒的な小説の巧さでしょうか、散りばめられていく小さな違和感とその全てを回収する手腕でしょうか、思春期の些か若過ぎる男女の性を生々しさとどうしようもなく匂い立ついい意味での”いやらしさ”をもって描いていることでしょうか、物語の語り手たる主人公が後々まで重要なことを語らぬことによって謎を残しつつ彼の持つ罪悪感を描写していることでしょうか、波留の恐ろしいまでの感情が迫って来るあの圧巻のラストでしょうか、そうして物語を読んだ人間があまりに早く咲く梅を見た時のように、美しいとは思いつつ密かにそして確かに心に不安なものを持たされてしまうことでしょうか。 私はこうして羅列して語れた気にはならないのです。私の好きな作家さんの言うことには、「ある小説を本当に語るためには同じだけの文字数を費やすか、小説を一本書くしかない」ということらしいのですが、果たして私は11,081文字費やしたとしてこの作品を語り得るのでしょうか。恐らく答は「否」であろうと思います。そのことに呆然としつつ、そこまでの作品に出会えたことに得難い幸福感を覚えます。 どうぞ皆さんも読んでくださいと、そう白旗を上げる文言を残して締めといたします。

5.0
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辰井圭斗

夕望

物語が求めるかたち

黒い浴衣でも着ているような文章だなと思いました。以前縋さんとある人の文章について瀟洒ですねという話をしたんですが、縋さんは縋さんで縋十夏の文章をしているなと。黒い少し薄手の光を透す浴衣でも着ているような文章です。それに惚れ惚れとしているのは言うまでもないことかもしれません。 さて、冒頭五行ばかりを読んでこれは最後まで読んでしまうなと思ったのですが、なぜかなと少し考えて。別にとりたてて華やかだったわけでもないのです。「久方振りに筆を執った」ですし。それで読み返して感じたのは少し重みのある落ち着きで、さてと考えてみてヒントは文中にあったなと思いました。 「書きたい物語を書いている人間というのはゴマンといるが、物語に筆を執らされ、書かされている人間というのはどれだけいる事か」 私はその部分を読んでいる時に、「全て大理石の塊の中には予め像が内包されている。彫刻家の仕事はそれを発見する事」というミケランジェロの言葉を想起して、そういうことかもしれないと。小説を書いたことがある人はご存知だと思いますが、物語冒頭なんてやることが沢山あるんです。だけどこの作品はそれを”処理”している感じがなかった。物語が求めているものを自然と書いているような感じがしたんです(実際のところ計算と意図に満ちているのかもしれませんが)。それは――読んでしまうよねと。 全体を読んでみて初読では二つの話がやや分離している印象でした。書き手である彼の話と、頭すら下げることができなくなった彼の話。ただ、その二人の彼が繋がっているのは間違いない。辞書とハードカバーを積み上げ彼岸花の花瓶を置く彼の動きには最初から何か背負うものがあるのですから。それに些か分離して見えるのも当たり前と言えば当たり前なのです。彼は窓を閉めていたはずなので。 ”なぜか”窓が開いているのは文学的ですね。閉めたはずなのに書いている内にいつの間にか半開きになってしまった窓。風が吹いて室内のものを散らす、それだけのことが物語のターニングポイントとして機能しているのは素晴らしいですし、渋くて大変好みです。あの時、落ちて跳ねる万年筆から散るインクの僅かな飛沫や風の姿まで見えた。お見事でした。

5.0
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辰井圭斗

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