ユーザー登録・ログイン

新規登録

ログイン

作品

レビュー

登録/ログイン

その他

オノログについてFAQ利用規約プライバシーポリシー問い合わせユーザー管理者Twitter
レビューを投稿
書籍化
コミカライズ原作
ジャンル別
サイト別
サイト関連
運営している人

@オノログ

検索条件

ジャンル:ファンタジー

Page55

条件をリセット
詳細条件で探す

友士灯―ともしび― 探求編

人と妖の狭間に生まれて——『妖雛』の少女は心に灯火を得られるか

物の怪の蔓延る世に、人を護るため生み出された妖雛。 彼らは長じれば人妖となり、道具としてただ物の怪を倒すことを求められる。 夜蝶の志乃こと花居志乃もまた、そのような生を歩むはずだったが……数々の出逢い、経験、想いが彼女の心を育んでいく。 腰を据えて読める、本格派和風ファンタジーです。 特に優れているのが、人でもなければ妖怪でもない主人公・志乃の難しい心情を、逃げることなく丁寧に描かれている点です。 我々人間とは違った感性の彼女が、物事をどう捉えて何を思うかは、想像で補うのもなかなか難しいことだと思いますが、こちらの作品ではその全てが説得力があると言いますか、納得できる形で描き出されています。 少しずつ、でも着実に人の心に寄り添おうとしていく志乃。いつの間にか、彼女を応援したくて堪らなくなっている自分に気づかされます。 そして彼女を取り巻く人物たちも、皆魅力的で。 特に同年代の妖雛である芳親、そして治療術の使い手である茉白——志乃にとって初めての友達となる二人とのやり取りは必見です。 丁寧な筆致で描かれる、濃密な和風ファンタジー。 描かれた世界を心ごと旅できる素敵なお話で、大変お勧めできる一作です。

5.0
0
If

マリオネットインテグレーター

全てが一つの交わりを持ち、繋りをみせた時、物語は大きく動き始める。

【簡単なあらすじ】 ジャンル:異世界ファンタジー 精霊の言葉を聞き、平和を守る国で、それはある変化をもたらした。本人も知らずに。ゆっくりと変わり始める、内情。それに気づかぬ人々。主人公は、精霊のいいなりになっている国や民に疑問を抱き始める。そしてかつての幼馴染みのヘイグとピアはそれぞれ、異変を感じ取っていた。果たしてこの国はどうなってしまうのだろうか? 次々と消されていく魔導士たちとその目的とは? 【物語の始まりは】 騎士団長の息子、ヘイグがある石を拾った経緯から始まっていく。幼馴染みと秘密基地へ向かった帰り、彼はある不思議な意思を拾う。だがその石は、父への届け物をしに城へ行った際、宰相にぶつかり失くしてしまう。彼はその石に特別な思い入れがなかったのか、その後忘れてしまうが石を拾った宰相に変化が訪れる。普段ならば理性のある宰相が、女王に対しとんでもないことをしてしまうのであった。 【舞台や世界観、方向性】 インテグレーターとは? ……統合・集約するという意味。 精霊国ラザフォード……精霊が、平和のための言葉を紡ぐ国(あらすじより) 女王は世襲制ではない。数百年もの間、先代が亡くなると時期女王として、貴族の十八歳の令嬢の中から精霊の声を聞く事の出来た者が選出される。 女王がグリエルマに変わってからは、次々と新しい政策が出され、国に変化が起きている。 【主人公と登場人物について】 〈幼馴染みたち〉 ヘイグ……のちに騎士団員長となる。(騎士団長の息子) ピア……のちに魔導士となる。ヘイグたちの幼馴染み。 グリエルマ……のちに新女王となる。女王になりたくないと思っていた少女であるが、五年後女王としての評判は良いようである。 〈主人公〉 カート・サージアント……五話から登場。父親が不明であり、酒場で育つ。 【物語について】 ヘイグが拾った石に何か特別な力があるのかは現時点では分らないが、宰相の行動は彼らのその先の運命に、間接的ではあるが関わっている。 彼の起こした行動が発端となり、彼女は引きこもってしまう。信頼関係にあった侍女が一年で辞めてしまうなど謎が多く、この時の女王は最終的に盲目による転落死とはなっているが、不可解な点が多いまま。いずれ謎の部分については明かされるのかも知れない。 時期女王選定の日、ヘイグは騎士団員として護衛を行っていた。普段なら強固な防御の魔法陣がしかれているはずの場所であるのに、突如魔物の襲撃に遭ってしまう。魔物たちが狙っているのは、明かに女王候補の娘たちであった。混乱の最中、加勢に来てくれたのが幼馴染みの魔導士。女王候補の一人に子供の頃一緒に秘密基地へ行った、主人公の親戚であり幼馴染みの少女もいたが、攻撃は免れたものの壁際で蹲っていたのである。何とか彼女を助けようとする二人は、魔物の様子が何かおかしいことに気づく。魔物を退けた後の惨状は悲惨であり、女性候補の中で生き残ったのは幼馴染みの少女だけであった。こうして、選ばれることなく女王となった新女王の時代は幕を開ける。 それから五年。酒場で暮らしていた少年は、父のように面倒を見てくれていた主人に家を出るように促される。この酒場で働いていた母が亡くなり、自分も兵士として働くことになれば店の手伝いができなくなるためである。しかし彼は14歳。兵士となれるのは15歳からのようで、それまでの猶予を貰うことにしたのだが……。 【良い点(箇条書き)】 ・この物語では、貴族と庶民の差がはっきりしており、待遇の理由も理解できる部分が多い。 ・主人公と酒場の主人がすれ違う場面でのリアリティ。 人の顔いろを伺いながら生きている彼には、それを察することは難しいと思われる。これはあくまでも私見でしかないが、母のしつけのせいだけではなく、肩身の狭い想いをしている彼には、労働なくして甘えることは性格上難しいと思われる。そんな理由からも、彼が酒場の主人に甘えられないというのは、とても理解できる。そんな理由により、すれ違ったことに対してリアリティを持たせていると感じた。 ・この物語には、”良い人”が多い。善人という意味であるが。しかし、それだけでなく、主人公に対して嫌がらせをする人もいる。貴族が人として落ちたという部分もしっかりと描かれている為、兵士の気持ちにも共感が産まれる。 ・伏線が回収される部分が見事である。(これはその部分では、明確には記載されてはいないが) 【備考(補足)】第三章三話まで拝読 【見どころ】 一章は、プロローグ編となるようである。この国がどんな国であるのか、女王の代替わりの経緯、そして主人公が庶民であるにも関わらず、騎士として選ばれた経緯などが語られていく。冒頭での幼馴染み三人は、後にそれぞれ国に何らかの形で関わっており、主人公との関りもあるようだ。 主人公は、生前母の働いていた酒場で世話になっていたが、14歳のある日いつまでもここへは居られないことを悟る。(直接言われるわけではあるが)しかし、酒場の主人は追い出したいわけではなかった。その主人の想いは彼に伝わることはないまま、彼は騎士として巣立つことになった。騎士になった経緯については、青天の霹靂といってもいいのではないだろうか? 恐らく庶民にとってこの事例は異例であり、本来なら光栄なのであろうが15になったら出て行かなくてはならない彼にとっては、有難くないものであった。その後、家のない彼は宿直室に泊まる許可を団長より貰うこととなる。 住むところのなくなった彼にとって、転機が訪れたのは身分の高い貴族からの嫌がらせに気づいている団長の計らい、あるお使いによるものであった。そこで彼は魔物に襲われている少女にをみつけるのだ。彼女を救ったことがきっかけで、主人公はその後と一緒に暮らすことになる。 主人公は騎士になってすぐに色んな経験をしていく。貴族には庶民として嫌がらせを受けるが、周りの大人にはその立ち居振る舞いから好印象を与えていくのだ。つまり、彼は周りに何にかしらの影響を与えていく人物なのではないだろうか? と推測してしまう。彼自身の成長も見られるが、それによって何かが変わり始めるのではないだろうか? 全てが繋がり始め、なるほどと感じ始めるのは第三章に入ってから。人によって感じ方は違うだろうが、それは核心に変わるかもしれない。さて、彼らはどう動いて行くのだろうか? そして物語の結末とは? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
0
crazy's7

滅亡間際の異世界へ〜オリジナル戦国スキルで異世界無双英雄伝〜

まるで、主人公の為に作られたのではないか? と思ってしまうような異世界で彼が楽しみながらその世界を攻略していく。

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ハイファンタジー 前世で死亡してしまった主人公は生前、”なんか面白いことないかな~”と呟いたことがきっかけで創造神から異世界での第二の人生を与えられる。それはよくある異世界もののような状況ではあるが、彼独自のアイデアにより楽しみのプラスされた世界だった。自ら学び、閃き、身も心も成長していく主人公。果たしてこの先どんな出会いと、戦いが待ち受けているのだろうか?  【物語の始まりは】 歴史とゲームが好きな主人公が、ある夢を見るところから始まっていく。可もなく不可もなく、それなりに人生を楽しんでいた主人公だったが、ある日通勤途中で事故に遭い、亡くなってしまう。そして気がついたら、何もない真っ白な空間に居た。永遠にこのままなのか? と思われた時、不意に主人公に声をかける者がいた。 【舞台や世界観、方向性(箇条書き)】 創造神クラムの作った世界では、魔王と人類が戦争しており、魔獣や魔法、スキルが存在する。魔王軍が圧倒的に有利な状況にあり、そのバランス調整役として主人公はこの世界に呼ばれた。 舞台はエルフや竜族なども存在するファンタジー世界。 だが戦い方は、どちらかと言うとゲーム寄り。 成長型のスキルなどが今後、勝敗の鍵となりそうである。 可児才蔵……ってどんな人? 強いことで有名だったが、そのほかに主君を何度も変えるということでも有名だったようだ。そして、自分の思ったことや意見は主君だろうがハッキリ言う性格だったらしい。60まで生きたということから、頭が良く論理的であり、無謀なことはしなかったのではないか? という印象を受けた。 【主人公と登場人物について】 主人公は自身でも口にしている通り、熱血派ではなく頭脳派。創造神とのやり取りから慎重派という面も伺える。ゲームで例えるならアクションRPGよりも、戦略シミュレーションに向いているという印象。本編に入っていくと、閃きや知識により、目の前の問題と向き合っていくという印象も受ける。 創造神と主人公には似た部分を持ちわせているようだ。 【物語について】 彼をこの世界に呼んだのは、自分を創造神と名乗る少年。何故ここに呼ばれたのが自分だったのか? それは生前彼が何気なく呟いた言葉にあったようである。ここでこの物語オリジナルと感じられるのは、彼を異世界に呼んだ創造神とどんなスキルを貰うかを話し合い、吟味するという部分にある。その中で、主人公がどんな戦い方を想像しているのかも明かされ、これからどんなことが起きるのかワクワクしてしまう。 簡単な説明を受けた主人公はいよいよ異世界へ送り出される。そこで最初にあったのは狼であった。攻撃されるかと思いきや、懐かれる。まずは状況把握し、スキルや自分の見た目などを確認した彼だったが、何もない川の近くにいた。町が近くにあるのかもわからず、何とか狩りで勝った一角ウサギを原始的な方法で、狼こと蘭丸と食すのであった。果たしてこれからどんな生活が待ち受けているのだろうか? 【良い点(箇条書き)】 ・主人公が異世界に馴染んでいく、自分で道を見つけていく前向きな姿勢がとても良い。(一部、神の恩恵もあるが、チートレベルではない) ・冒険と探索、閃きなどのバランスが良い。 ・戦いは実際にアクションを行うものではあるが、戦略や閃きによって主人公が色んな技(切り抜け方)をあみ出していく。スキル自体はあるが、どう戦うかに自由度があり、アイデアなどによってピンチを切り抜けていくのがハラハラドキドキする。 ・楽ではないからこその面白さがある。物語にはダンジョンがあり、ダンジョンと外ではシステムが異なる。創造神が作った世界ということもあり、不思議に感じる部分に違和感はない。ダンジョンにはゲームでなら一番ワクワクするであろう、宝箱も存在。罠があったりしないのだろうか? と序盤ではハラハラする場面もあるが、主人公の楽しそうだったり嬉しそうな様子に、読み手としてもウキウキしてしまう。(物語を読んでウキウキするのは珍しいケース) ・主人公は順応性が高く、とにかく前向き。生き生きとしており、読んでいるだけで楽しくなってくる。 ・タイトルは暗そうに感じるが、キャンプ、ダンジョン探索、お宝発見、仲間ゲット! 特殊な設定による成長システムなど、全体的に明るく進んでいく。(だんだん暗くなるのかも知れないが、現時点では楽しそう!) 【備考(補足)】12ページ目まで拝読。 【見どころ】 この物語は、今まで読んだことのある異世界ものとは、少し毛色や方向性の違う物語だなと感じた。そこが魅力でもある。彼が創造神に選ばれた理由が、物語に反映されているのである。 彼は生前”なんか面白いことないかな~”と何気なく呟いている。そして、おまけの人生を楽しんでくると言って、異世界に旅立った。まさしく彼の飛び込んだ世界は”主人公が楽しむ、楽しめるため”の世界なのだ。 そもそも楽しいとは何なのか? それは自分の想い通りになることでも、無敵になることでもないと思う。 彼が好きなのは戦国武将である”可児才蔵”。彼の思想や戦い方、生き方などに感銘を受けており、憧れや尊敬の念を抱いていたと思われる。ファンタジー世界×戦国、上手くできた世界観だと思う。ダンジョンなども存在し、報酬の宝箱から出てくるものがかなり粋だ。戦略を立て、知恵を使い、計画を立てて道を切り開いてくのが実に楽しそうである。そして宝箱を空けた時に出て来る者に対しての喜びが伝わって来る。主人公のとても生き生きとした作品。 この先、隠し要素も沢山ありそうな印象。例えるなら、ゲーム実況を見ているようなワクワク感も得られる物語だ。世界ありきで、主人公が世界を救うという作品は沢山あるが、主人公ありきで世界が構築されているスタイルは、少ないのではないだろうか。そのうえ、主人公もそのことを知らないのだ。だからこそ、ワクワクしながら冒険をすることができるのだろう。 彼の目的は、この世界のバランスを変えること。もしくは人類の勝利。読了部分はまだ冒険の序盤であり、目的までは程遠い。しかしこれからどんな出会いや新しい発見があるのか実に楽しみである。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
0
crazy's7

子どもたちの逆襲 大人が不老不死の世界、魔王城で子どもを守る保育士兼魔王 始めました。

単に子供たちを救おうという物語ではなく、社会問題や問題提起も含まれ、本当の幸せとは何か? について考えさせられる物語。

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ハイファンタジー 主人公はある日気がついたら、子供の姿で異世界の魔王城に居た。前世の記憶を取り戻したものの、この世界については無知な彼女。一緒に住んでいた少し年上の子供たちからこの世界について学んでいく。すると驚くべきことを耳にするのである。大人だけが不老不死の出界で、大人に不要とされた子供たちが幼い子供たちを育てながら、大人たちに逆襲を誓う?! 【物語の始まりは】 主人公が何故異世界にて保育士を始めたのか? その経緯から始まっていく。子供が子供の面倒を見る。しかも、ここには子供しかいないようだ。一体何があってこんなことになっているのだろうか? 【舞台や世界観、方向性】 魔王を倒した勇者の願いで、この世界に生きる”大人(成人)”は不老不死となった。しかし不老不死なのは成人だけ。子供のうちはその恩恵が受けられず、自らが望むだけ生きられる大人たちは子供を必要としなくなった。 この世界には”子供に人権がない”。 子供たちは不老不死ではなく、飢えと渇きで死ぬことはないが、食事をしないと身体の完成は遅れるらしい。 この世界では、子供にしかない”ギフト”と呼ばれる能力があるようだ。 【主人公と登場人物について】 彼らの話によると、主人公は元々話もできない子供であったが、前世の記憶を取り戻し、まるで別人のように。 主人公は、この世界ではある貴族の下働きをさせられていた8歳の子供。ある日意識を失い、気づいたら魔王城にいた。 この城へは沢山の子供がいるが、”おじい”と呼ばれる人物が連れてくるらしい。 【物語について】 本編に入ると、主人公が倒れるまでの経緯と、この世界がどんな世界なのかについて明かされていく。主人公は、前世では恐らく過労死してしまった保育士。異世界で転生し、8歳のある日まで貴族の元で下働きをさせられていた。しかしある時、意識を失い気がついたら魔王城に居たのである。それまで大人のいいなりになっていた彼女は、自分で考えることが出来なかったのかも知れない。この場所には、三人の自分の意志で動くことのできる子供たちがいたが、彼らに話しかけられても言葉を発することが出来なかったようだ。それでも、彼らの手伝いを始めた彼女に、彼らは声をかけてくれた。その上、名前のなかった主人公に名前を付けてくれた。その事がきっかけで倒れ、名前が関係したのか、前世の記憶を思い出すのである。 主人公は、彼らに自分の前世のことなどを話す。突然前世の話などをしたら、普通は信じて貰えないものだが、倒れた主人公の前後では全く言動が異なっており、その働きなどから信じる要素は沢山あった。彼らも彼女の行動には納得のようだ。そして彼らは、彼女の力があれば自分たちの夢が叶うかも知れないと言い出すのである。 かくして彼らの、大人たちへの逆襲がここに幕を開けるのであった。 【良い点(箇条書き)】 ・些細なことが、本当はとても大切であるということが学べる物語。 ・名前とは個体などを識別するものである。それは自分が存在していると認められているという意味でもあり、親とは子供に幸せになって欲しいと願い授けるものである。名前を持つことの大切さを改めて考えさせられた。 ・日本の便利さと保育現場の過酷さが分かる。 一般家庭で、一人から三人程度の子育てを平均だと考えたら、いくらプロとは いえ一人で、三歳児を二十人も見なければならない現場と言うのは過酷である。そもそも自分で何かをすることができないから面倒を見る必要があるのだ。一般人ならせいぜ二人で音を上げそうである。 ・日本の利便さについて。これは常々思うことである。道具についてもそうだし、種類や価格、そして時短。いろんな意味で楽の出来る、そして手ごろな価格で便利なものを手に入れることのできる環境が日本だと思う。しかも丈夫なものも多い。 ・主人公のギフトはまるで、れ……(ネタバレになるので略)。これは便利! 【備考(補足)】12ページ目まで拝読 【見どころ】 この作品は現代社会に対しての問題提起作品でもある。単に不老不死の世界で、その恩恵を得られない子供たちを救おう、育てるという話ではないのだ。 特に保育の環境、現場の過酷さについては痛いほど伝わって来る。経験がなければ書けない物語だと思う。世の中、働き方改革が促進され、確かに残業などが減った会社もあるかも知れないが、そもそも昭和、平成の働き方がおかしかっただけなのである。日本は賃金が低く休みが少ない上に、残業ばかりの国であった。文明が進み業務が楽になっても、未だに物流関係では人手が足りず、過酷な輸送などを行っているところも多い。 どんなに時間が短縮されようとも、人手が足りているわけではなく、場所によっては賃金の関係で人が雇えないのではなく”働き手”自体が不足している場合もあるのだ。保育の場合は資格も必要となる。 海外ではベビーシッターがいる環境が普通だったり、お手伝いさんを雇うのが普通だったりする国もあるだろう。しかし、現在の日本では待機児童がいる状況。圧倒的に、保育の為の場所と人材が不足しているといえるのではないだろうか? この物語の主人公は過労死しており、現場の過酷さを語っている。ただこれに関しては、簡単に解消されるものでもないのが現実である。 主人公達が暮らしている魔王城。この物語では社会問題を取り上げつつ、ファンタジーとして楽しめる部分も多くある。ただそれは必ずしも楽しい、明るいというものではない。不老不死は本当に幸せなのか? ということを考えさせられるのである。何故ここが魔王城と呼ばれているのか? そもそも魔王とはどんな人だったのか? 徐々に明かされていくこの世界のことやこの城の主のことなど。魅力の詰まった物語だと感じます。あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
0
crazy's7

大烏~カラスと娘と旅する世界~

父と娘の旅、その目的とは? 娘に隠された秘密とは? この先、二人にどんな苦難が待ち受けるのか⁈

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ハイファンタジー 山賊に襲われたと思われる集落跡地の外れで、主人公は瀕死の母親から赤子を託される。彼は周りの反対を押し切り自分が育てることに。それは赤子の境遇がかつての自分と重なったからである。それから10年後。すくすくと育った娘と父は、仲良く旅をしていた。彼にはこの旅に何か目的があるようなのだが? 【物語の始まりは】 ある赤ん坊を引き取る経緯から始まっていく。山賊に襲われたと思われる集落跡地に主人公たちはいた。赤ん坊の泣き声が聞こえた主人公はある洞窟へ様子を見に行く。そこにいたのは瀕死の母親と赤子であった。母親に託され、赤子の境遇が自分と重なった主人公は、父親として赤子を育てる決意をする。 それから10年の月日がたった……。 【舞台や世界観、方向性】 『大烏』は憲兵隊に一目置かれるほど有名であり強いようである。 魔物や魔法の存在するファンタジー世界が舞台。 通信水晶という通信手段などもあるようだ。(現代でいう所の電話のようなものかな?) 他にも特殊な設定などがあり、不思議な石の存在がある。(詳しくは作中にて) 冒険ギルドではランク付けがあり、高ランクになると宿の割引など良い待遇を受けることができるようだ。 この物語はW主人公のようである。 (このレビュー内では便宜上、父の方を主人公と記載しております) 13ページにて、作品の世界の説明などもあり。 【主人公と登場人物について】 定宿を持たず各地を転々としている主人公には子育ては、不向きだと思われたが、十年後の二人をみると娘は父に懐いており、主人公もまた血の繋がらない 娘を溺愛しているようである。 物語が進むと、二人の仲の良さや、面倒見の良さ、娘の賢さなども伺える。 【物語について】 赤子を託され、自分で育てると覚悟(宣言)してから十年後、娘を連れた主人公はある大きな町へ向かっていた。娘を順調に育てることができたのは、家族同然の人々の助けがあったからでもある。和やかに微笑ましい会話をしながら 次の町へ向かう二人であったが、主人公が異変に気づき事態は一変する。 愛馬を急かし、急いで町に着いた主人公たちが目にしたのは、逃げ惑う人々と市壁に空いた大穴であった。逃げる中の一人に事情を聴くと、主人公は娘をその場に残し、加勢に向かうのだった。 主人公の加勢により何とか敵襲を退けた憲兵隊だったが、町はとても市場など開ける状況になかった。主人公は、娘を迎えに行くと再び正門で彼らの出迎えに遭う。そこで歓迎され、詰所へ案内されるのであった。 主人公はこの後ある石を貰い受ける。そして西へ旅立つ前、ある人物と遭遇。徐々に不穏な空気が漂い始める。 【良い点(箇条書き)】 ・主人公も娘も実の母を失ってはいるが、とても明るく楽しい雰囲気で物語は進んでいく。 ・子供を連れている雰囲気というのがとても良く出ている。 ・光と影を持つ物語だと感じた。例えば、娘にも見せている部分と、大人だけの話など。伏線と感じる部分もあり、明るいだけではなくゾクリとする展開もある。 ・冒険者と言うのは、依頼を受けてこなし信頼を得ていく職業だと思う。主人公は高ランクの冒険者であるが、奢ったところもなく人に好かれる印象。しかし物語が進むと人から恨まれているのでは? と感じる展開もある。恐らく、赤子を引き取る前と後では大きな変化があったのではないだろうか? 【備考(補足)】13ページ目まで拝読 【見どころ】 物語は破壊の限りを尽くされたような集落跡地で、赤子を見つけた経緯から始まっていく。主人公は自分にその赤子を重ね、周りの反対を押し切って自分が育てることにした。冒頭での母の言葉には恐らく意味がある。その意味の伏線と感じる部分があるのは、もう少し後の方になるがこの少女には何か他の人間と違うものがあるようだ。それが何かは、読了部分ではまだ明かされてはいない。 この父娘に訪れるターニングポイントは、ある大きな町に向かったことだと思われる。ここで彼はある人物から、不思議な石をもらい受ける。そしてその名前には深い意味があった。何故、その石にその名がつけられたのか。どのように作用するのかは、この時点ではまだ謎だ。彼らが目指しているのは西であり、この町を出発する頃には、不穏な空気を感じ取ることがきる。ここからが、彼らに訪れる試練の始まりなのだと思える。その石は彼らにとって幸運をもたらすものなのだろうか? 主人公の旅の目的とは? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 彼らの旅の結末をその目で是非確かめてみてくださいね。お奨めです。

5.0
0
crazy's7

PEACE KEEPER

友情、兄弟愛、国や民を守るために任務をこなす騎士団たち。複雑に絡み合う、それぞれの運命と想い。彼らが守りたかったものとは?

【簡単なあらすじ】 ジャンル:ハイファンタジー 主人公は”何代にも渡り英雄を輩出してきた”名門の家に生まれるも、何の希望もなくダラダラと過ごしていた。しかしある日、事態は一変する。何年も家に帰ることのなかった兄が突然帰って来たのである。兄から暴力を受け友人の家に泊まった日、一夜にして別人のように変わってしまう。彼が心を入れ替えたきっかけとは? 【物語の始まりは】 ある衝撃的な場面から始まる。何故こんなことになったのか?  本編に入ると主人公のいつも日常から、非日常になった経緯が語られていく。その中で主人公の不思議な力に着目する者たちがいた。主人公に隠された秘密とは? 【舞台や世界観、方向性】 ピースキーパー家は何代にも渡り英雄を輩出してきた名門。 『城塞都市ゼレスティア』一万人以上の国民が暮らしている。 城郭の建造に使用されている石には魔族などが触れることすら出来ない物質?が含まれており、この中にいる限りは安全。(現実世界でいう所の虫よけのような効果があるようだ)この城郭はゲートと呼ばれており、中には四つの都市が存在する。 アーカム市には『学武術園』があり、6歳から15歳まで教育を受ける。 この物語は群像劇である。色んな視点からこの世界や人間関係、主人公について明かされていく。 【主人公と登場人物について】 初期の時点においての主人公は、名門の家に産まれながら楽観的であり授業中に居眠りをするなど、あまり真面目とは言えない。友人との会話から、成績が良いとも言えず、落ちこぼれであった。 珍しく家に帰宅した兄に、暴力を受ける場面があるが、兄は優れていても努力を怠らず、名門に相応しい人物であった。それに引き換え弟の努力の見えない姿勢は彼の逆鱗に触れても仕方がないと思える。(だからと言って暴力は良くないが)しかしこの後、彼にはある転機が訪れる。恐らく彼はその気づきによって、大きく成長していくのだと思われる。 友人ライカ。彼の家は、一言でいうなら昭和の家庭のような感じである。父が息子に灰皿を投げるシーンには驚く。(現代なら虐待だが……) 喧嘩するほど仲が良いという印象の家庭。そして何でも言い合えるようだ。 ある出来事をきっかけに、主人公と親友の関係にも変化が訪れる。彼らは確かに仲の良い親友の関係ではあったが、それまでは互いに依存していた部分もあったと思う。その出来事以降、二人は互いを認め合った関係という印象を持つ。 【物語について】 久々に帰宅した兄と遭遇してしまった主人公は、彼から暴力を受け必死で逃げ出した。それほどまでに、加減のない暴力であり彼からの怒りを感じていたと思われる。街を歩いていたところ、兄も所属している親衛士団の二人と出逢う。そこで主人公は怪我の治療をして貰うものの、彼らに不思議な力を見られてしまう。だが主人公にとってはそれが当たり前のことであり(幼いころからそうだったのであろう)、隠している様子もない。それとは反対に、彼らは主人公の本人も知らないであろう秘密に気づくのであった。 家に帰りたくない主人公は友人に頼り、一晩泊めてもらうことになる。この時、友人の家族を見て憧れを抱く。自分が求めていたのはきっと、このような家庭だったのだろうと。 その夜、主人公は友人に家に帰りたくない理由問われ、彼の優しさや気遣いなども踏まえ、自身に起こったことを話す。すると事態は思わぬ方向へ。 眠れなくなった主人公は手近な本を取り、やり過ごそうとするのだが料理の本ばかりであった。何か他にないかと探していたところ、ある一冊のノートを見つけてしまう。それは自分と同じように努力をせず楽観的な考えをしていると思い込んでいた友人の努力の結晶だったのである。そこで彼は気づくのだ。自分が本当の意味で努力を怠っていたということを。そこからの変貌ぶりは、周りが唖然とするほどであった。 【良い点(箇条書き)】 ・主人公の心を入れ替える前と後との差の表現がとても巧いと感じた。親友のノートを目にするまでは、確かに主人公は自他ともに認める楽観主義であり、努力を怠っていたように思える。読者を納得させる技術は凄いなと感じた。 ・主人公が心を入れ替えた経緯、理由に感動を覚えた。それは素晴らしい先生でもなければ有名人の言葉でもない。身近な人物から受けた影響だからこそ、心に刺さるものもあるだろうし、頑張らないとという実感がわくと思う。とてもリアリティを持たせていると感じた。心に染みる物語である。 ・真実が明かされていく過程が凄いと思う。主人公に対する印象もガラリと変わる。兄弟共に、抱えているものが明かされていく部分は切ない。 ・兄と弟の関係の変化が素敵である。しかし、冒頭のシーンを考えると切ない気持ちにもなる。 【備考(補足)】25話まで拝読 【見どころ】 最大の見どころは、主人公の成長と変化にあると思われる。この物語では主人公の考え方が変わるまでが丁寧に描かれており、その変化も友人のある記録によってもたらされる。とても身近に感じていた人間への尊敬は、影響力が大きいと思われる。そして変化の後も彼の元々持っている、良い部分は変わっていないのが良いと思う。 徐々に明かされていくが、主人公は五歳の時に母を失っており、忙しい父は兄にしか構うことなく、兄からは虐待を受けていた。主人公は孤独ながらも一人の生活に慣れていたと思われる。父にも兄にも見向きされなかった彼は、落ちこぼれであることを受け入れ、諦めの気持ちも持っていたのかも知れない。自分に暴力を振るう兄であっが、畏怖だけではなく尊敬もしていたようだ。そしてそんなことをされてもなお、仲良くしたいと願っていた。そんな彼の本当の姿はあることをきっかけに明かされていく。 兄も心境や本音もまた、物語が進むと明かされていくため、すれ違う彼らの思いに切なさを感じる。父の期待、名門を守らなければならなかった兄は、何故自分だけが、と思っていたのだろう。厳しくとも、父に目を向けられていた兄。何も期待されず背負わされることがなくとも、目を向けられない弟。どちらも幸せとは言い難い。 一方で、騎士団の方にも問題が発生していた。同時進行していく彼らの日常。知らず知らずに近づいてくる魔の手。果たして平和は守られるのであろうか? あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? お奨めです。

5.0
0
crazy's7

最近の「いいね!」

小説家になろう恋愛連載:119話完結

美醜あべこべ世界で異形の王子と結婚したい!

男性のみ美醜逆転の異世界に美少女イケメンハンター出陣します!

前世で喪女だった後悔からイケメンにガツガツの肉食系女子となった美少女主人公。前世含めて一目ぼれした異形と言われるほどの美少年(前世観)にアプローチをしてさっさと婚約者候補に収まり、誰も寄せ付けないいちゃらぶカップルになります。 外面もよく美少年に目がないですが、自分主観で醜いからと嫌うことはありません。恋愛対象ではなくてもちゃんと人として接する、人として優しい女の子だからこそ素直にその恋路を応援することができます。美少年と付き合うためにしていた善人の外面がよすぎてまわりからは誤解されてもいますが、そこも美醜逆転独特の笑いポイントとして楽しめます。 義理の弟を可愛がったり、不遇なイケメンも多数出てきて、乙女げー系小説っぽい世界観な感じですのでさくさく読めて最後まで一気に楽しめます。 ヒーローにも秘密がありちゃんと後々秘密を打ち明け合って、主人公が面食いなのも全部わかってもらって思いあうラブラブ小説です。 最後までぶっとんだ美醜観によるドタバタギャグが楽しいですし、完結済みなので一気に最後まで楽しめます。 世界観も楽しくもたくさんのキャラクターもそれぞれ個性がありいい人が多く、美醜逆転好きだけではなく乙女ゲー系の愛され主人公恋愛物が好きな人にもおすすめです。

小説家になろうコメディ短編完結

俺がパーティーから追放したひよこ鑑定士が、SSSランクになって復讐しにくるらしい

アイデアは面白い。

でも、ひよこ鑑定士、全然関係なかった。。。

小説家になろうヒューマンドラマ連載:88話完結

目的は生き延びること

展開は重めだが、『物語』として面白くて一気に読み終えた。 最終的にヒロインに想いを寄せる相手が、半分血のつながりのある義弟と、そうとは意図しないままヒロインを追い込んで、心と体に傷を負わせる原因を作った婚約者の王子の2人なのが、ああーーー……という気持ちに。 恋愛ものではないので、二人とヒロインがどうなるかは描写されないまま終わるが、個人的には義弟派。