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ジャンル:歴史・時代

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鵺 (第八稿)

答えは自分の中にある。

【物語は】 ある若い層が、自由闊達に描いた絵を高値で買う者が現れたことにより、天狗になり堕落し、禅師に悟省と改名するように言われるところから展開されていく。この物語で重要なのは”顧みる”ではなく”省みる”というところにあり、二つの違いは”顧みる”とは思いめぐらすなどどちらかと言うと、回想などの記憶に対しての意味合いがあるものであり、それに対して”省みる”とは、自分自身と向き合い、己の行いを振り返る、反省するなどの意味合いを持つものだと思われる。すなわち”省みる”ところから”悟”までが描かれているのではないかと解釈した。 【物語の魅力】 物語に惹きこんでいく文体、表現、言葉選び展開、構成に至るまで、拘り抜かれているのは一目瞭然である。もちろんそれらが巧みであることも素晴らしいが、一番の魅力は物語自体にあり、主人公を通して読者が悟りを開くことにあると思われる。この語りでは”本物の鵺”を描いてみろという、無理難題を言い渡される。鵺とは妖怪であり、実際に見ることは出来ないが”本物”とは実際のものを描けという事を言っているわけではない。では鵺は何を象徴しているのか?それは『得体の知れないもの』であり、『恐怖』を指しているのではないかと思う。したがって”本物の鵺”とは、自分なりの答えを見つけろという意味なのではないだろうか? 【禅師と悟省】 禅師が悟省を通し見たかったものと、悟省が導いた答えは必ずしも一致しないのではないかと思う。悟省は原点(母との記憶)に帰ることで、悟りを開いていく。その過程には、鵺とは何かを追い続け”これだ”というものが見つからないという答えに辿り着いている。禅師は兄に似た悟省に、兄が何だったのか答えを見つけてくれるのではないか、と期待を寄せていた。 鵺とは己自身であり、己と向き合うことにより悟りは開かれるという作者からの、メッセージなのではないかと想像する。とても深い物語であり、様々なことを考えさせられました。この答えもまた、合ってはいないのかも知れません。

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crazy's7

【完結】朔の風

月に焦がれ、風を想う。数奇なさだめに抗う二人の古代浪漫・幻想譚。

 繊細な描写と緻密な調査が光る、古代日本を舞台とした歴史ファンタジー。邪馬台国という名は誰もが聞いたことあると思いますが、それが九州にあったという説をベースに、日本神話の神々の末裔である人物たちが描かれてゆきます。  風読の力を持つ夕星は、彼女の能力を欲した者たちの襲撃により故郷と許婚を奪われてしまいます。許婚の青年が彼女の護りにと託してくれたのは、姿のない近衛・葉隠。途中、海を越え、悪漢に襲われ、道なき道を進み、辿り着いたのは日向大王の統べる大きな国でした。  先見の力を持つ大王に迎え入れられた夕星は、そこに身を寄せることになりますが、やがて熊襲国との戦いに巻き込まれてゆくことに――。  日本神話と史実、九州地方の風土特色などが巧みに織り込まれており、邪馬台国と熊襲国(人によっては狗奴国という名称に馴染みがあるかも?)の戦いや、神々の末裔が持つ不思議な能力が、オリジナリティ豊かに編みあげられています。  軸になる夕星姫と葉隠の、多くの制約に縛られた関係性も、非常に胸を揺さぶるものとなっており、二人の想いの先を見届けたいと思わせられます。  風読の姫に科せられた呪いとは何か、葉隠の「姿がない」とはどういうことなのか。  ぜひとも本作を読んで、確かめてください。

5.0
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眞城白歌

アクナテン

隠された幻想歴史秘話と、宗教の談義が興味深い

古代の宗教観がリアルだった世界観を舞台にした歴史ファンタジー。 とりあえず僕は、エジプトの歴史に関して、あまり知識がある方ではないけど、いろいろ丁寧な説明などあるので、普通に楽しめてます 単に古代のエジプトの話というだけでなく、それと古くから関わりのある部族や文明の伝説や歴史なども、世界設定に含まれていて、昔の「世界」の中でのある地域の話という印象がかなりはっきりしてます。 例えばエジプトに興味がないという人でも、ユダヤの伝説(旧約聖書)とかに関心のある人とかなら、それはそれで楽しめるんじゃないかと思います。 エジプト王家の起源がシュメール王家にある可能性など、興味深い説も時々示唆されてます。 また、特別な王子が有していた霊感能力などが実在してる設定な感じで、そこは普通にファンタジーぽくもあります。しかしだからこそ、単に歴史好きだけでなく、いろんな人に楽しめる作品になっていると思います。 それと、(実際にそれは当時のリアルだったのかもしれないが)本当の神が存在していて、しかし各地でいろいろな信仰のされ方をしている、様々な説があるというような世界観でもあり、時々ある、神や、あるいは人間や魂に関する議論なども、とても面白く興味深いかもです。 例えば多神教の神々は、多面的な一柱の神を、面ごとに別の存在と解釈している説とか。あるいはユダヤ教とかの世界観における、異端の宗教の立場から見た、一神教の世界観への反発とか。 昔ながらのファンタジーが好きという人にはすごくオススメできる作品と思います

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シーフラン

黒ダイヤ、地底からの叫び、ガスと炎に襲われた炭鉱夫たちの命。

未来の礎となった人々のドキュメンタリー

炭鉱夫が主人公の小説、と聞いて「わあ面白そう!」という人はあまりいないと思います。ましてや、エネルギーが石炭から石油へ移り変わる時代が舞台、なんて聞いたら「なんか暗そう」と敬遠してしまう人も多いのではないでしょうか。 どうかその気持ちのまま、ページを開いてみて下さい。決して明るく楽しいお話ではありませんが、ウィットに富んだ丁寧な文章によって、炭鉱町での暮らしやそこで生きる人々の苦悩が目の前に迫ってきて、気がつけば物語に没入していると思います。 小説の後半部分を占める坑道内での大事故については、作者様と浅からぬ縁のある町で実際にあった出来事のようです。非常にリアルで、ラストの展開には涙を堪えられないと思います。読み終わった後も物語のことが頭から離れなくなってしまうかもしれません。それでも、戦後の復興や高度経済成長を支え、私たちの日常の礎となった人々のドキュメンタリーをぜひ読んでいただきたいと思います。 (蛇足ですが、炭鉱や炭鉱町に関する描写がとても興味深いです。たとえば昭和なのにある程度キャッシュレスで生活できたとか。炭鉱会社指定の店を利用し代金をツケにして、後日給与から天引きされるシステムがあったらしいです。そういった小ネタや歴史が大好きな私はめちゃくちゃ前のめりになってしまいました。同志におすすめしたいです)

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mu

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