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【完結】朔の風

淡く儚く、時にドキッとさせられる濃さを内包した大河ファンタジー

日本神話、古代日本を舞台に、混ざり合う人間模様と美しい情景を見事に書き出したファンタジー。第一部は故郷を追われた姫君と、彼女を守る姿なき護衛を。第二部は孤独を恐れ、居場所を求める青年を主役に据えて、物語が進んでいきます。 第一部では、故郷を失いながらも屹然と立つ姫君・夕星と、彼女の護衛である姿なき寡黙な青年・葉隠が、新天地で国同士の争いに巻き込まれていきます。この二人の関係性とすれ違いが、とにかく切ない。兄の許婚だった夕星に惹かれながらも想いを秘する葉隠と、許婚を忘れないでいつつも葉隠に惹かれていく夕星。戦乱の中でも凛々しく、健気に咲く花のような二人の結末は、しかし夕星の儚く悲しい散り様にて幕を閉じてしまいます。 第二部では、夕星を喪った葉隠こと鷹彦と、拠り所だった家族を喪い、孤独を恐れる不器用な青年・騒速が主役。尊敬する鷹彦について行きながら、自分の居場所を求め、徐々に孤独を溶かしていく騒速の若々しさにニヤける反面、癒えようのない孤独を独り抱える鷹彦の淋しさに、胸を締め付けられます。暗い思惑も蠢く中、孤独を抱える者同士はどんな結末にたどり着くのか、必見です。 夕星、葉隠/鷹彦、騒速と三者の名前を挙げてきましたが、彼女たち以外の登場人物もとにかく魅力的です。男性にも女性にも、惚れてしまうようなカッコよさを持つキャラ(もちろん、たおやかだったり可愛らしかったりするキャラや、油断ならないキャラもいます)が多く、一人一人紹介すると長くなるので、控えなければならないのが残念なくらいです。 古代日本の風や匂いを感じる、美しい情景描写もさることながら、濃淡も色合いも様々に渦巻く心理描写も見所の、上質な大河ファンタジー。読んでいる最中は没頭状態、読了後は放心状態になりかねませんので、そこだけ気をつけてお読みください!

5.0
0
葉霜雁景

【改訂版】乙女の海上護衛戦記

調べ上げられ丁寧に描かれたIFの世界。彼女たちの行く先は───?

【物語は】 ある一隻の『帝国』海軍所属の潜水艦が、撃沈されるまでの経緯から始まっていく。前日譚では、王国海軍側の視点で物語は進んでいくようだ。バスで首都に降り立った二人。どうやら彼らに出頭命令があったらしく、その理由について憶測している。何故ならば、”いち士官の人事手続きに際して、首都まで来るように命じるのは珍しい”ことだったから。ここで、首都の様子について語られている。会話の内容などから、戦時中であることが伺える。 (””内は引用である) 【補足:個人的に分からなくて調べた用語】 哨戒(しょうかい) 敵襲に対して見張りをして警戒すること。 緒戦(しょせん) 戦争が始まったばかりのころの戦闘。 【舞台・物語の魅力】 本編に入り物語を追っていくと、主人公が首都に呼ばれた本当の理由が明かされていく。タグを見ると架空戦記とある。ことから架空の物語なのだと推測できるが、リアルさを感じる為、現実なのか架空なのか判断しづらい。それほどまでに詳しく調べ、作品にその事が活かされていると感じた。 参考資料については、あらすじの部分に記載されている。 女性採用までの経緯について。 二人の会話から、色んな背景が見えてくる。話しの流れなどが巧く、とても論理的で理解しやすい。この物語は疑問を残さないように、丁寧に描かれていると感じた。 【彼女たちの覚悟】 指揮官の覚悟。戦争というのは人と人の殺し合いである。女性であっても戦場に出れば、負傷する可能性もあるし死に至るケースもある。無傷である保証は何処にもないのだ。そして、この戦艦に乗っている指揮官は女性。共にここまで歩んできた部下たちが、これから危険な目に合うかも知れない。そう考えた時、きっと迷いが招じるに違いない。 だが戦場では、そんな甘えた考え方は許されないのである。 そして志願した以上、そうなることも考慮しているはずなのだ。 戦争は多くの犠牲を払うものであり、得るものはないように感じた。 【この物語は何故、女性の運用する駆逐艦にスポットをあてているのか?】 この物語は、単なる戦時中の一コマではない。 何故女性の運用する駆逐艦が舞台であり、そこにスポットを当てたのか? ここが一番重要だと思われる。 女性が戦争に駆り出される理由については、誰しもなんとなく想像がつくのではないだろうか? そう、人手不足である。しかしこの物語で描かれているように、”以前から女性が戦争に駆り出されることは珍しくはなかった”とある。 つまり駆り出されるそのものではなく、”特殊な条件で集められた者”(引用)というところが重要なのではないだろうか? 【特殊な条件とは】 (ソナーに感あり   同日 一二二四時)まで読了。 この物語で一番気になったのは、特殊な条件が何を指しているのか? と、言うことである。 **この点について作者様から補足の解説をいただきました。 ”以前から女性が戦争に駆り出されることは珍しくはなかった” ★引用許可をいただいております。 ────文面引用 作中における女性の軍務はあくまで後方勤務にかぎられております。これは史実の二次大戦における、(ソ連を除いた)連合国側での様子を参考にした描写です。女性たちに軍が与える仕事は、補給関係や技術職といったあくまで補助的な業務でした。前線へおもむき、銃を手に取って戦うことは原則として認められておりません。だからこそ第101戦隊を編制するさいに、『特殊な条件を付与』して将兵を募ったと作中で言及しているわけです。(また史実をみてみると……すくなくとも20世紀前後の価値観では、こういった形でも女性が軍にくわわる事は異例とみられた節があります。たとえば作中でわずかに触れた、軍に勤務する女性にたいする偏見じみたゴシップ記事は資料でみたものを参考にしました) ────上記の補足をいただく以前の自分の解釈 指定の職業を集めたのではないかと推測した。 しかしここ(ソナーに感あり   同日 一二二四時)まで拝読して感じたのは、女性であることそのものが特殊な条件なのではないかということ。 いただいた解説により、女性が全戦に出ること自体が”異例”であったことを知りました。これが特殊なこととと感じなかったのは、自分が歴史をよく知らないことに加え、女性が戦うことを当たり前に感じていたからではないかと。ゲームや映画などのイメージから、その考えに至らなかったのだと思われる。 つまりこの物語では、もし女性のみで運用される駆逐艦があったなら。というIFの世界を描いているのだと感じた。 作中には女性であるが故の難点と、良い点が描かれている。ある一点においては、一概にこうとは言えない部分もあるが、女性ならではの気遣いや人間関係が、描かれているのではないだろうか? と感じた。 【物語の見どころ】 臨場感があり、ハラハラドキドキする物語である。全体的に丁寧に描かれているところは見どころの一つ。 そしてこの作品からは、いろんなことを考えさせられた。 人は意志の疎通ができるにも関わらず、思想や宗教の違いにより簡単に殺し合う生き物である。戦争は自分たちに害が及ぶ恐怖から、逃れるために始まるものではないのだろうか? と感じた。共存し合う道もあるにもかかわらず、人間は不安や恐怖からは逃れられないのだ。 そうやって男手の減った国で、彼女たちは何を想い志願兵となったのだろうか? 自分を守るため、家族を守るため、国を守るため。あるいは、愛する人を奪われた復讐かも知れない。しかし一度兵となってなったなら甘ったれたことを言いうことはできないし、生半可な気持ちで務まるものでもない。 彼女たちは、男性には劣るものの一人一人が誇りを持ち、任務にあたっている印象である。確かに、男性のみの艦とは雰囲気が違うように思う。 (乗ったことはないので、はっきりとは言えないが) 果たして彼女たちは、どのようにして道を切り開いていくのだろうか? あなたもお手に取られてみませんか? 女性だからこその戦い方が一番の見どころだと感じました。 彼女たちの行く先を、その目で是非確かめてみてくださいね。 お奨めです。

5.0
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crazy's7

人間のアシェイムド

強制的に日常から非日常へ。果たしてその目的とは?

【物語は】 恐らく平成生まれの主人公が平成ではない場所におり、”働かせてくれ”とある店主に懇願しているところから始まる。しかも、お金の必要な理由は自分の為ではない。一体何があってこんな事態に陥っているのだろか? 【登場人物・物語の魅力】 本編に入ると、どうやら主人公は怒っているようだ。行き場のない怒りというのが適切なのだろうか。せっかくスケジュールの調整をし、遥々友人に会いに来たのにドタキャンされてしまい、相手にも自分にも怒りが収まらないといった印象。しかし、どうすることもできない。 これは偏ったイメージであるが、若いうちは恋人を優先し、結婚してしばらく経つと友人を優先する。人にもよるだろうが、恋愛を優先する人ほどこんなイメージがある。 主人公は意図せずして”一人での観光”になってしまい、地元の友人に助けを求めるが、自分に持たれていたイメージに落胆する。随分と偏ったイメージであり、友人がどんな人なのか知りたくなる。その友人から勧められた場所に不満を感じたものの、主人公は行ってみることにしたのである。 しかし、目的地に着くどころか変な人に絡まれてしまう。 日常から非日常へ。不思議な体験をした主人公は、高い場所から突き落とされ死を覚悟したが、気づいたら見知らぬ街にいたのである。 【世界観・舞台】 現代から過去へ。2018年・東京から過去へと飛ばされてしまう。手にはある植物を持って。ここで救いとなるのは、自分自身の目的が分かっていることである。(それは少し後でわかるのだが) 過去に着き、暫く困っていた主人公に、突然救いの手が差し伸べられる。全体的にユーモアの混ざった、笑いどころもある作品ではあるが、タイムスリップ先で、ある人物に出逢ってからが面白さが増す。 ここで、あらすじからは想像できない展開へとなっていく。ネタバレになるので詳しいことは言えないが、希望が現れるのだ。 そこで希望となる彼から、詳しい話を聞く。自分が持っている花の意味。彼の身に起きたことなど。ただ一点”記憶が失われて”いくのは何故なのかが気になる。これは主人公だけに起こったことなのであろうか。 主人公は不思議な体験をしながらも、言われたことを考え、ここにいる目的を見つけていく。目的が分かれば、何をしたら良いのかも見えてくるだろうし、戻る方法も分かるかも知れない。 目的が分かった主人公は、どうやってターゲットに近づいて行くのだろうか。とても興味深い。 【物語の見どころ】 この物語は謎な部分が多い。その謎を解きながら、自分が為すべきことを探っていくという意味合いなのだろう。タイムスリップの経緯にも謎の部分があり、まずあの人は一体誰で、なぜこんなことが出来るのか分からないままである。もしかしたら、その部分はいずれ解明されるのかも知れない。 そして、過去で出逢った人。彼についても謎な部分がある。目的を達成できたのだろうか。もし失敗だとしても、どうしてなのかなど。序盤ではまだ明かされていないことが多く、いろんな想像もしてしまう。 彼女は、自分を助けてくれた人物の助言を受け、見た目を変え、自分が為すべきことを成そうとする。その途中でどんなことをしなければならないのかも明かされていき、とても興味深い。細かいルールもあるようだ。 あなたもお手に取られてみませんか? 主人公は無事任務を終え、現代に帰れるのだろうか? この物語の結末をその目で是非、確かめてみてくださいね。 お奨めです。

5.0
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crazy's7

月詠の鏡と劔 大江戸月想奇譚 第一部

江戸とファンタジーが融合。月詠の元へ、まるで運命的に引き寄せられた彼ら。そこから始まる壮大な物語。

【物語は】 浅草寺の参道にて、人々が口々に不安の声を漏らすところから展開されていく。人々の不安の元凶は、一か月前には点ほどの大きさだったはずの月のようなものである。今では、元の月よりも大きくなってしまった。それほどに近づいてきており、落ちてくるのではないかと人々の不安を煽っていた。 それを忌々しいと感じる主人公の一人、”伊賀の天才忍者”である才蔵。 その理由は、二つ目の月が出て来てからというもの、自身の商売に影響が出ている為だと思われる。 才蔵はある事情から追われていた。この時、彼は自分に向けられている二つの視線に気づく。その片方に、彼は目を付け利用することにしたのだった。ある、目的の為に。 注:この物語は多視点で展開されている。なので群像劇の可能性がある為、”才蔵”を主人公の一人と表記させていただいております。 群像劇は全員が主人公の時と、主人公と取り巻く人々の場合がある為。 (十九話まで読了にての解釈です) 【世界観・舞台・物語の魅力】 まず江戸らしさを感じさせる表現がふんだんに使われており、タイムスリップしたような錯覚に陥る。表現に拘りを持たせていると感じるが、地の文、会話文ともに読みやすく、解釈や内容が難しいと感じることが無い。とても不思議なバランスの物語だと感じる。表現には古語を使用しているが、それ以外の部分は現代文で書かれている為だと思われる。 才蔵はわざと騒ぎを起こし、ある侍と接触している。このことが後にどう関係してくるのだろうか。侍のほうはこの時、主人公が自分を訪ねてくると予見している。何故予見できたのか、この時点では分らない。その予見はまもなく現実のものとなる。 侍と別れた後、才蔵は一人茶屋に寄る。そこで耳にした声は幻聴だったのだろうか。彼の素性が声とともに回想によって明かされていく。 一体、この声の主は何者なのか。この後、才蔵は追手によって命を奪われそうになるり、声の主が何者なのかも判明する。 ここで江戸とファンタジーという組み合わせが、どんなものなのか見えてくるのだ。とても面白い展開であり、意外性を感じた。 声の主と才蔵たちの繋がりが分かるのは、ある夢。そこで才蔵らは、自分たちの使命を見いだすこととなるのだ。夢は彼らとどう関係していくのだろうか。とても興味深い展開である。 【登場人物の魅力】 夢によって彼らの繋が判明するまでは、それぞれが事情を抱えており、どう繋がるのか分からない状態である。しかし”声”という伏線がある。主人公の一人である才蔵は、その声に気を取られ追手に見つかってしまうのだ。 結果として、声の主である”月詠”に助けられ、浅草寺の参道にて出逢った侍の屋敷に連れていかれることとなるのだが。 ここで侍側の視点となり、彼らの事情も分かって来る。 月詠と彼らの関係は一体なんだろうか。 不思議に思いながら読み進めると、才蔵は生死を彷徨う中、ある夢を見る。それはとても不思議な夢であり、月詠の素性とも言えるものであった。それにより、この三人は出逢うべくして出逢い、運命に導かれたように集まっているのだと感じた。 立場も身分も違う彼ら。夢の内容により、当然四人目もここに集まるのは予想できる。時期は分からずとも。彼らは、月より生まれた月詠を中心として集まったのだ。 月詠の素性と共に明かされる四人と、月詠を中心に集まった四人には何らかの繋がりが持たされている。そして主要四人の背景についても、丁寧に描かれている為、物語に厚みがあると感じた。事情と現状が複雑に絡み合い、今後どのように展開されていくのかとても楽しみである。 【物語のみどころ】 まずは江戸らしさを醸し出すための工夫がなされているところが見どころの一つ。古語が使われているものの、現代文との組み合わせにより絶妙なバランスが保たれている。表現には江戸らしさを感じるのにとても読みやすく、理解し易いのである。そして。物語自体にも工夫がなされている。 身分などが分かりやすく、主要な四人 (十九話時点での主要人物の人数である)は立場が違う。身分なども違い、性格も違う為に覚えやすいという特徴を持つ。そして彼らは美しい月詠に魅了されており、自ら彼女を守ろうとするのだ。竹取物語のかぐや姫をイメージさせるものの、内容は全く違う。ただし、イメージを持たせることが出来るため、とても分かりやすいと言えるのではないだろうか。 主要人物の背景が分かるところも、見どころの一つ。月詠に出逢う前の彼らには、それぞれ抱える問題があったという事である。彼らは、その問題をどう解決していくのだろうか。そして、この先どうなっていくのだろうか。 あなたもお手に取られてみませんか? 月から生まれた少女、月詠を巡る物語の結末を、ぜひその目で確かめてみてくださいね。この先彼らに、一体何が待ち受けているのだろうか? お奨めです。

5.0
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crazy's7

タイムスリップ❗️ 歴女コスプレイヤーはじめさん

コスプレイヤーだからこそ設定が活きた、タイムスリップ物語

【物語は】 この物語にはお試し読書が用意されていて、どんな物語なのか先にチラッと流れに触れることが出来ます。 大見出しを見るだけで、興味深い内容であることが分かる物語。タイムスリップものというと、”現在を変える為に過去を変える”というストーリーが多いが、この物語での主人公の目的は何だろうか。 あらすじからの想像するに、ある日何らかの事情により何処かに飛ばされ、元の世界に帰れなくなったのではないだろうかと思われる。 お試し読書の部分を拝読すると、自分の意志でタイムスリップをするのではなく、ある目的を達成すると何処かへ飛ばされてしまうというシステムであることが分かる。斬新だなと感じた。 主人公は一体、どんな物語を紡いでいくのだろうか? 【登場人物の魅力】 主人公はコスプレイヤーである。本編に入ってから、彼女の考え方を知ることが出来るのだが、その考え方がとても好きである。 なんのためにコスプレをするのか。これは小説を書く理由と同じく、二種に分けられると思う。自分がコスプレをしたいからする。もう一つは注目されたいからである。人間は、常に選択を迫られているのかも知れない。 自分の好きを優先するのか、注目を集める(商業なら売る為など)ためなのか。この物語の主人公は前者。注目は集めたいが、自分の主義に反して露出の高い服を着たりせず、自分の着たいものを着る。自分をしっかり持っている人物であると感じた。 そんな主人公が、自分の意志に反し運命に振り回されることになる。 (どうやら、任意でタイムスリップするわけではないという事) 主人公の性格では、不満も起きるだろう。それについては、お試し版でもチラッと出てくる。 ただ、この物語の主人公は性格が陽の方向。小タイトル一覧や、あらすじの内容からは決して明るい楽しいことばかり起こるのではないと想像がつく。だからこそ、主人公の性格が明るいのは物語のバランスとしても、とてもマッチしていると感じた。 【特殊要素コスプレについて補足】 時空を越えると毎度必ず衣服は消し飛びます。これは映画ターミネーターと同じ。そこで主人公の服飾趣味が生きるのです。時には世を欺きあるいは忍び、レイヤーだからこその窮地の切り抜けをお届けします。 (こちらは、物語の魅力を充分にお届けするために、作家さんの言葉をそのまま引用しております) 【物語の魅力】 主人公の意志とは関係なくタイムスリップさせられる。これはある意味運命に、振り回されるということ。 序盤では、父の一回忌のことが出てくる。コスプレにお金がかかり、貧乏生活を余儀なくされている主人公。物語が進むと、その父について描かれており、主人公は淡々と語っているように見えるが、本人が自分でも気づいていない深層心理部分に泣けた。 人が人を嫌いになるのは、元は好きだったからだと思う。これはあくまでも憶測でしかないが。彼女の父への気持ちは、いつかどこかで変わるのではないかと思う。 ここで一つ、作家の作品や読者への想いに気づき、なるほどと感じる部分がある。それは、こういったことだ。 平穏な毎日は幸せである。だが、幸せだから楽しいとは限らない。しかし、物語は人の心に新しさを感じさせることができる。作家の読者への想いの詰まった作品であることは間違いない。 この後、主人公は初めてのタイムスリップをするのだが、そこまでの話がとてもナチュラルでり、”ああ、これ伏線だったのか”と、気づくこともある。彼女が最初に知ることになるのは、愛情なのかもしれない。 【物語の見どころ】 主人公は、コスプレが好きな女性。都会へは漠然とした理由で移り住んだ。その理由は、地方の若者にありがちな理由であると思われる。漠然とした夢や希望を持ち、夢と現実の差に落胆する。しかし、冷静に考えたら当たり前のことである。どんなに企業がたくさんあろうとも、自分に能力がなければ働き口がない。結果、働き口がなく底辺という事もあり得る。東京で夢が掴めるはずだったのに、気づいてみれば地元にいた友人の方が出世しているということも少なくはない。 この物語はタイムスリップという、現実には起こりえない要素は含んでいるものの、ヒューマンドラマが主体の物語である。現代ドラマとしてのリアリティを持ち、共感できるところも多い。コスプレはあくまでもモチーフの一つに過ぎないと感じた。都会に憧れたが、日々節約しながら自分の好きなことに情熱を注いでいた主人公。 だが2020年という年は、人類にとって未曾有の危機と言わざる状況になってしまった。彼女もその影響を受けてしまう。 この年に彼女を襲ったのは、何も不況の煽りだけではなかった。不思議な現象と運命が彼女を待ち受けていたのだ。 あなたもお手に取られてみませんか? この物語を通して彼女が手にしたものとは何のだろう。 ぜひその目で確かめてみてくださいね。おススメです。

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crazy's7

アクナテン

オペラにもなったイクナートン

人類最古の一神教へ宗教改革を断行した有名なファラオのお話。 よくこれを題材にしようと思ったよね、調べるだけで禿げそう……と思いながら読んでみたら、嬉しいことにアクナテンもネフェルティティも等身大の十代で書かれてて、親しみやすいことと言ったらもう、目から鱗でしたよ。 筆者のエジプト創作はエブリスタで幾つか読みましたが、第一にとっつきやすい ・小難しい講釈や知識の羅列を極力排除している ・知らない人が読んでも、うへぇってならないように、わかりやすい言葉で「心情」を表す ・史実、世界観に逸れる描写は省く 以上の三つの点に注力されておられるのでなからうかと推測しております。 アクナテンって何? ツタンカーメン知ってるけど、調べるのいやーって人にはおすすめです。 ともすれば、暗君の汚名を着せられるアクナテンですが、彼が何を目指し「一神教」を目指したのか? これは諸説色々あるんですが、本作では等身大の迷いながら道を模索する一人の青年として書かれています。 アクナテンをこういう風に解釈するのかと驚きつつ、読ませていただいております。 歴史好きな人にはもちろん、ファンタジー好きにもおすすめです。 筆者が非常に勤勉な方で、参考資料も山盛り調べて挑んでおられるでしょうが、その苦労をにじませない作風もお気に入りです。 出来たら、参考文献一覧が欲しいです→わがまま

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海乃 眞

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