繰り返されるさよならの先に ――三十分間の追走曲(カノン)――
最終更新:2022/1/2
作品紹介
隆史は幼い頃に助けた妖精から、三十分だけ時間を巻き戻す事が出来るという不思議な力をもらっていた。 だけどせいぜい唐揚げとフランクフルトのどちらを食べれば当たりかだったり、ちょっと忘れ物を取りに帰ったり、そのくらいに使うくらいで、隆史は有効に力を使っているとは言い切れない状況が続いていた。 だけどそんなある日、幼なじみで片思いの相手でもある穂花を見送った後に、突然猛スピードで突っ込んできた車によって事故に遭うところを目撃してしまう。 隆史は時間を戻して穂花を救おうとする。 だけど何回繰り返しても、穂花は同じ車にひかれてしまう。何回繰り返しても。何度時間を戻しても。 三十分間の中を繰り返しても、どうしても救えない。隆史はついにその事を悟る。 そんな中、妖精から三十分以上時間を戻す方法がある事を教えられる。 そしてそれには代償を伴う事も……。 隆史は穂花を救う事が出来るのか。そのために何を失ってしまうのか。 そして迎える結末は―― ちょっと不思議な青春ストーリーです。 ※この作品はノベルアップ+さん、カクヨムさんにもアップしています。 ※事故描写が少しあるため、念のため残酷な描写ありにチェックを入れていますが、それほど激しい描写はありません。
評価・レビュー
騰成
もし、大切な物が二つあって、どちらかしか救えないとしたら、あなたはどうしますか。
妖精フェルとの出会いにより、時間を巻き戻す能力を使えるようになった主人公、隆史(たかし)。 もっともそれは、彼が使える能力というよりも、フェルが叶えてくれる「願い」のようなものなのですが。 ラブコメ調の、ほんわかしか始まりを見せる本作ですが、そこはいつもの筆者の持ち味。中盤以降、事態は急展開します。 恋する相手、穂花(ほのか)が、自動車事故に遭ってしまうのです。 当然事故をなかったことにするため、時間を戻す隆史ですが、事態はまったく好転しないのでした。 時間を戻すことに、もし制約があるのなら。 制約が大きくなる、条件があるとしたら。 どんどん事態が悪化していく中で、隆史が選んだ選択とは? ここから先は語りません。繰り返されるさよならの先に待っている感動の結末は、ぜひあなたの目で見届けてください。
木立花音(こだちかのん)