空を嫌う人たち
最終更新:2021/10/30
作品紹介
空には、何があるだろうか。 西暦二〇〇〇年から少し経ったある日、地球を大災害群が襲い、ほとんどの歴史の証は消え去った。選ばれた少数の人々は宇宙基地に逃れて六〇〇年間の冬眠につき、その間に地上に残った人々は巨大に進化し翼を得た。旧人類は集団で降下してくると、進化した現人類に科学技術を授け、空神様と敬われながら文明を発展させていった。 地熱発電設備とそれを保守する人々の街を内包した洞窟。過去の体験から空と空虚な自分自身を嫌っていた現人類の青年アコウギは、集団から三〇年遅れて降ってきた旧人類の少女レーグルと出会い、配管工のヘンダーソンや州政府参与のシルダリアと共に、彼女の記憶の欠落を取り戻すため旅をすることになる。 美術館や劇場を巡り、天体観測や祭りを経て、人々と交流を重ねた旅の果てに、彼らはこの世界の真実と、自分たち、そして空神様たちの正体に気付くのだった。