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@オノログ
作:常盤しのぶ
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最終更新:2020/9/21
見るからに呪われている(喋る)剣を装備してしまったドジっ子女勇者のハートフルコメディ ※第一回神ひな川短編小説大賞応募作です。
魔王や勇者のいるファンタジー世界、旅の途中でうっかり呪われた剣を装備してしまった勇者の、その後の奮闘と苦悩のお話。 コメディです。舞台設定としては異世界ファンタジー、それもかなりテンプレート的というか、まるで古典的なゲームの中に転生したかのような世界設定。加えて完全に「攻略」と意識しての冒険、さらに主人公が先の展開を知っているようなふしさえあって、つまりタイトルは本当に「そういう意味」です。 ゲームでおなじみ呪いの武具。一度装備したら外すことができず、教会での解呪が必要になる。タイトル見た瞬間、誰もがうっすら想像したであろうその設定を、そのまま下敷きにしたドタバタ劇。言い換えるならある種の予定調和の世界で、そういう意味で本当に肩の力を抜いて読めます。余計な重さや冗長な説明がないため、軽いコメディとしての軸だけに集中できる。 お話の筋、というか全体の流れとしては、なぜか解くことのできない呪いに勇者が振り回されるというもの。つまりはスラップスティックなのですけれど、面白いのが当の呪いの剣当人。おどろおどろしいナリのわりには可愛いというか、なんとこいつ喋るんです。なんだか邪悪なような、ただふてぶてしいだけのような、この彼(?)のキャラクターが妙に可愛らしく、つまり掛け合いの面白味のようなものもある……というか、むしろそっちがメインです。 対話劇、というか、登場人物のキャラクター性に魅力のあるお話。それもこのふたり(勇者と呪いの剣)だけでなく、終盤に登場するもうひとりの人物なんかは、もうその設定(来歴)からしていろいろ脱力感があります。 誰も彼もなんだか憎めない人物ばかりで、そんな彼らがわちゃわちゃするのを眺めるお話。クスッときたりほんわかしたりと、その読みやすさ(というか受け止めやすさ)がとても心地いい。リラックスしてのんびり読める、ふんわり優しい手触りの小品でした。なんだか四コマみたいな空気感。勇者さんも好きだけど、やっぱり呪いの剣さんが一番好きです。
和田島イサキ
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