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タグ:ゲーム風異世界

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作:みれにあむ

冒険者になるのです冒険者になるのです私は冒険者になって自由に生きていくのです。

 産まれた時の事は憶えていません。きっとそれは殆どの人が同じなのではと思っています。ですけど物心付いたのは相当に早かったらしくて、憶えている一番昔の想い出は、既に家の中の本棚を漁って見付けた本を一人で読み耽っていた想い出です。  母様に聞いても絵本の読み聞かせをしたのは初めの一月か二月ぐらいで、後は寝落ちするまで母様所蔵の紀行物を一人で読んでいたみたいですから、私の本好きはその頃に形作られたのかも知れません。  もしかしたら、そこに自由や冒険と言った響きを見付けてのめり込んだのかも知れませんが、冒険という言葉に特別な憧れを持つ様になったのは、いつの事からでしたでしょうか。  四歳の頃、家の中に有った本を読み尽くしてしまった私が、母様にねだって街の貸本屋へと連れて行って貰った先で見付けたのは、街の中を闊歩する戦う人達の姿でした。  父様も戦う人である事は知っています。兄様達に剣の稽古を付けているのですから。  ですけど街で出会った戦う人は、父様とは何処か違っていたのです。 「ん~、ディルバは騎士で、あそこの人達は冒険者だよ?」 「冒険者? 冒険する人なのですか?」  この時初めて私の住む街が冒険者の街なのだと知って、私の中で何かがカチリと噛み合ったのです。  後になって考えれば其処には記憶持ちの宿業が含まれていたのでしょうけれど、それが無くても結局の所私は同じ道を選んだのでしょう。それに、殆ど憶えていないとは言え、記憶持ちの記憶に助けられた事も多いのですから、そこに思う所は無いのです。  それからも色々と有って、結局私が冒険者として出発出来たのは、十二歳になった春の足音が聞こえてくる頃。  その日の光景を、きっと私は忘れる事は無いでしょう。  その日の朝、六番目の南門から街の外へと出ようとした私は、門兵のお兄さんから軽い調子で話し掛けられました。 「おや? 今日は何処まで行くつもりかな?」 「成り立ての冒険者が森で初めて行くのですから、花畑ですよ?」 「ははは、そうか。しかし一人で行くなら慎重にな。少しでも不調が有れば直ぐに帰って来る事だ」 「はい! 行って来ます!」  門兵のお兄さんの御蔭で、少し緊張が解れたのです。  この時の気持ちは、今も私の胸の中に。  ええ、冒険者になるのです。冒険者になるのです。私は冒険者になって自由に生きていくのです。

更新:2022/6/5

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