思えば、お師匠様は全て端からお見通しだったのだろう。 「未熟者のお前にはこれくらいが妥当だろ」と言い、無造作を装って手渡された『最上級』の魔法杖。ほうき星の如く空を駆ける『最高速』の遣い鴉。高位魔族ですら一滴で怯む『最純度』の聖水。やたらと『高性能』な異空間。 その上、何より、頭の上。 ありふれた栗色のネコっ毛を僅かながらも隠すように、存在感あふれる黒いシルエット。 知るものぞ知る、魔女の黒帽子だ。 譲られた当時こそ、『絶対防御』以外に取り柄などないと思っていたその帽子が、いつの間にやらパックリと横一文字に裂けた時。 そこから、全ては変化し始めたのだと思う。 平穏だった日常然り。 平凡だった運命然り。 ――これは、一人の魔女を巡る『奇縁』によって紡がれる物語。
更新:2017/5/21
評価
レビュー
読んだ
気になる
読んでる
※作品の評価点について
登録数が少ない期間は単純平均点で表示します。
より多くの作品数・レビュー数になったら新評価式を適用します。
書籍化/コミカライズのタグについて
該当作品の書籍化・コミカライズ判定は、プログラムによる自動判断です。厳密な確認事項でないことをご了承ください。