サイトさんでもレビューを書かせていただきましたが、何より「それは流れるような当たり前」と書くのが非常に上手な作家さんです。大賞取られたのですね、本当におめでとうございます。
擬音にも惹かれました。中原中也のように奇抜だ。しかし凄くわかりやすい。想像が出来る、頭の中に琵琶が鳴るのです。
琵琶というのは一見地味でいて、しかし持ち手が(ギターでいうところのネック)非常に狭いため、1音もそれほど鋭さがないんです。
大抵の弦楽器等、ギターでいうところのドラムではないような楽器は、一度五線譜音階に音を拾い直すのではないかと思う。この作品は、その音階では現せない。
どうして琵琶だったんだろうか、というのもきっと、それらを踏まえると答えになるのかな、と思ったのでネタバレレビューとしました。
演奏の後の余韻、どうしてだろうかあれらはピタッと止まるはずなのに、空気の振動が胸に来る。そしてそれは恍惚なのか…寂しさなのか、晴れた日なのか曇った日なのか。けれど、音は目に見えない。サイトさんレビューでも触れたが「黒い水」って果たしてなんだろうか。
読後の光のようなものは汗なのか涙なのか、私には見えなかった、わからなかった。ただ、呆然がそこには広がっていたように思う。
登録:2021/7/19 07:12
更新:2021/8/15 02:49