鵺という妖怪は見る人により形を変えるというのはわりと有名になってきた伝説なのかなと思いますが、なるほど。
私はこの物語を読みながら「即身成仏」という教えがぱんっと頭に思い浮かんだ。これもさぞ気が狂いそうになるのではないかと私は思っている。
禅の問答とは、という点と、敵対する「妖怪」という概念の絡め方が非常に秀逸。読んですぐ「なるほど」と一人で呟いてしまった。
頗る上手い。第八稿ということですが果敢に挑戦されたのですね。確かにそうだ、禅問答のような。あれには答えなど実質無い、だから「無」であり(気になった方は般若心経をついでに読解していただければ)返答はやはり自分に戻ってくる、これを坊主は「悟」と呼ぶのだろうとして……いやぁ、語るのは野暮だ。是非読み解いて頂きたいところです。
文体的にはどうだろう「ハードボイルド文体」に分類されるのかな(ちょっと純文好きでないとピンと来ないかしら。かっこいいおじさんが~ていうあれじゃないです。説明難しいのでググってください)。なので、淡と読みやすいです。だからこその深みを生む文体の使い方。本当に上手い。
純文学好きな方は是非。短編ですが読みごたえありです。
登録:2021/8/15 06:14
更新:2021/8/15 06:14