トンネルを~や、いや、雨にも負けず~なんかの作品がパッと頭を駆け抜けますね。(と、別作家さんを引き合いにしてしまってすみません)
雪解けの水はさらさら、ちろちろと流れていく。作品を一通り読むと「あぁ、このじんわりとした人肌のような目覚めはなんだろうな」という気持ちになりますが、物語の彼は凶器を持っている。
では作者様の凶器は。(作者と作品の融合というのが“小説”という形の芸術だとしよう)
はじめから毎ページ「刺さるな」と思える表現は散らばっているのですが紹介にあたりじゃぁ…大体皆様3ページくらいが「作品の入り口」なのでしょうか。では、まず1ページ目の「私的刺さった表現」を引用します。
遠い波を聞くように、雪子という静寂を新は己の胸のうちの心音を聞く。(引用)
では、3ページを過ぎ4ページ目。
時とは、手の平で丸めてしまえるものとして、彼の元に届いてくる。(からの文が凄く刺さりました)
ぱたっと本を読み終わるとまず頭で何かを考えると思います。私は何を考えたか。
彼女は彼の雪解けだったのかもしれないな。ここは、ただの自分の部屋なのに、なんだかとても静かだ。
でした。
表現、感性がとても綺麗な作者様です。是非一度手に取っていただきたい作品です。
登録:2021/8/15 16:54
更新:2021/8/16 06:51