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@オノログ

愛した人たちがいた。

5.0
1

主人公はある時余命宣告を受けるが、それは余命が30000文字きっかりという不思議なものだった。少しでも長生きするべく彼女は、できるだけ何もない人生を歩もうとするが……


余命30000文字という不思議な余命宣告を受けた女性が、愛した男性との間に生まれてきた子供を立派に育てようとする様子が読み手の心を強く揺さぶる。気づくと、子供のリヒトの成長していく様子に感動しているのは、きっと、この作品に優しい空気が流れているからだろう。


村崎羯諦さんの代表作『余命3000文字』をオマージュした当作は、残りの字数を使って見ず知らずの子供を助けた『余命3000文字』に対して、生まれてきた息子のリヒトの成長を見守り抜いた主人公を確かな文章と構成で描き切った。どちらもとても高い完成度なので、二つを並べて読み比べてみるのも良いと思う。


主人公には愛した人たちがいた。その人たちと余命30000文字の人生を共に生きられたのは、主人公にとってどれだけ嬉しことだったのだろうか。主人公の人生と当作の作者のつこさん。さん、それから、オマージュ元の『余命3000文字』の作者である村崎羯諦さんに敬意を表したい。


素敵な一作でした。

石嶋ユウ

登録:2021/7/14 17:30

更新:2021/7/23 17:15

こちらは石嶋ユウさんが読んだ当時の個人の感想です。詳細な事実については対象作品をご確認ください。