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完結:あり

Page436

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囁くヴァニタス

どうか、物語の語りかける囁きに耳を傾けて

ヴァニタス──寓意画。それは人生の虚しさや、世の儚さをキャンバスに落とし込んだ、静物画のジャンルの一種を言います。 物語の舞台は学問と芸術の都・ヴェレス。 裏通りでひっそりと文具店を営む主人公・ライルのもとを、生真面目な少年・ルドルフが客として訪ねてきます。 曰く、「贋作屋」としてのライルに仕事を依頼したいと。 実直なルドルフに対し、人気サロン「火曜会」嫌いを豪語するライルは少々ひねくれ者。さらにある大きな秘密を抱えています。 そんなライルに度々振り回されるルドルフですが、絵画への熱量が並々ならぬものであるのは彼も認めるところ。 読者はライルの解説を通じ、芸術にまつわる見識や理解を深め、ルドルフの目を通じて、ライルという謎深き人物と、「火曜会」という豪奢なヴェールに隠されたほの暗い真実を知ることになります。 作者様は複数の書籍化作品をお持ちですが、この作品はいつまでも忘れられません。 文章の巧みさもさることながら、魅力的な登場人物たちの軽妙な掛け合い、芸術にまつわるシーンの説得力、キャラクターがほんとうに「生きている」と思わせる力が素晴らしい。そんな中にヤンデレもひょっこりいたりする。 何より、最初から計算され尽くした物語の構成が素晴らしいの一言。最後の最後までたどり着いたとき、「ここに繋がるか!」と膝を打ちました。 幕引きも見事で、あまりに鮮やかな結末の描きっぷりに、私たち読者も物語という一つのうつくしい「絵画」を鑑賞していたかのような、そんな錯覚に陥ります。 無駄な描写は一切ありません。最初から最後まで物語が語りかけてくる囁きを聞きこぼさず、見落とさず、見逃さず、ぜひライルとルドルフのたどり着く結末をご覧ください。

5.0
1
バケタ

春を告げる花

感情の機微を丁寧に描いたBL

ストレートだったはずなのに、男友だちから告白されたことによって揺れ動き出す主人公の感情が、とても丁寧に描かれた作品です。 ちょっとした感情の機微から感じられる気づきや不安やときめきが、ゆっくりと変化していくこころ模様を表していて、読みながら主人公の内面へ入っていくことができます。 植え付けられた常識から、最初は同性愛に対する嫌悪感に駆られてまうけれど、それが変化していく様がとても丁寧に綴られていました。 孝弘が将来の夢を語る場面は、とても感じ入るものがあります。 主人公が漠然と考えていた「将来」と孝弘が語る「将来」。 全然ちがうけれど、後者の幸せな未来を想像できてしまう。 けれど、読み手には、前者は簡単に手に入れることができるけれど(彼の場合縁談がうまく行きそうなので)、後者は決してそうではないと分かっているので、そこに大きな切なさを感じました。 常識的な「将来」とそうではない「将来」の間で揺れる感情のリアルな感じがとても良かったです。 主人公いたしかたがないの弱さ、ずるさというのがきちんと描かれていたのも好きでした。 恋人になるのは怖いけれど、親友は失いたくない。 大切なものを守るためと思い込もうとしつつ、本当は常識から逸脱するのが怖かっただけ。 そういうところに、しっかりとした洞察があって、読んでいてハッとさせられます。 とても素敵な作品です。

5.0
0
ぞーいー

再生 ~過去からの手紙~

【完結】心情描写巧みな短編作。心穏やかな一時間を過ごしたい方にオススメ。

全18話 31,615字 読了まで約1時間 文章力はかなり高いです。文芸寄りの文体です。 活き活きとした心情描写に引き込まれます。 現代人的な苦悩をじっくりと描いていますが、読み口は爽やか。 人称すらも効果的に使ってみせた、配慮の行き届いた作品です。 以下、詳細をレビューしていきます。 舞台は現代日本。主人公は何をやってもうまくいかず、そんな自分を卑下し続けている男性です。彼は小学生の時に起きた悲劇の影響で、人生の歯車を狂わされてしまいました。 本作は断片的にしたためられた主人公の未来、現在、過去のピースを眺めながら、彼の境遇と苦悩に思いを馳せる作品です。都会と田舎、現在と過去、現状と憧憬、これらの対比が温度感を伴って表現されており、主人公の心情にすんなりと近づけます。 主人公は卑屈であるものの、善良な人物であり、自然と応援したくなるキャラクターです。悩み事を克明に描いていますが、そんな主人公が嫌で読書が止まるということは無いと思います。 反面、全てが整然として美しく、読み物としての起伏には乏しいです。もちろん、これは優れた美点でもあり、ある一人の人間を純粋に描き切っていると言えます。 文章力も非常に高く、引っかかりがほとんどありません。個人的には"蚊"のくだりと、反復表現のうまさにぞくりときました。 この作品では時折一人称と三人称が入れ替わるのですが、いつかの三人称には羨望を、いまの三人称には希望を感じて心に響きます。この表現は素晴らしかったです。 多分、誤字脱字はありません。ですが、改行が少なすぎて見辛いところが多く、せっかくの文章が単調に感じられて残念です。 以上、しみじみと読書に勤しみたい方に強くオススメできる作品です。心穏やかな一時間を過ごせるうえ、清々しい読後感も得られると思います。

4.5
0
tatsukichi

まつかひをんな

【完結】読了まで先が気になる長編作。ミステリーらしさを求める方は要注意。

完結作品 37話 224,511字 読了まで約7時間 文章力はそれなり。文芸寄りの文体です。 キャラの掛け合いは好み。万人が楽しめると思います。 ミステリー的な面白味は薄く、別ジャンルであるかのような印象。 設定や謎の開示は非常に上手く、常にワクワクしていられます。 以下、詳細をレビューしていきます。 舞台は現代日本。現実と変わりない世界に、超常の力を持つ存在"魔女"が溶け込んで生活している、という設定です。 主人公の青年は、"魔女"の一人である女性と協力して超常的な事件に挑みます。いわゆる男女バディもの。陰惨な場面もあります。 本作は現代ミステリーのお決まりと言える導入から、ミステリーとしては破天荒な最後を迎える、豊かなダイナミクスが魅力の作品だと思います。 幻想怪奇的な描写も綺麗に書けていて、雰囲気ある世界にすんなりと入り込むことができました。 ミステリー的な展開の妙に乏しく、各章にもう一捻りほしいと思わせる反面、ミステリー風ライト文芸として見ればテンポよく、だれることなく結末へ向かいます。 キャラクターはかなり良く、正義感が強く前のめりなヒーローと、ミステリアスでひねた性格のヒロインが好相性です。二人共気持ちの良い性分なので、結末まで読んで満足感がありました。取り巻く人々も個性的。 掛け合いも軽妙で面白いのですが、時折地の文に寄った説明口調になってしまい残念。おかげで話の流れが分かりやすいとも言えますので、一長一短です。 ヒーローとヒロインには深刻な悩みがあり、それが物語のキー、かつスパイスとなっています。この点は見せ方が非常に上手く、最後まで興味を持っていられました。 誤字脱字は少なく、ルビ等の設定ミスか何かが見受けられるだけです。 以上、刺激的な幻想怪奇譚を求める方、キャラクターの絡みを重視する方にはオススメの作品です。私も楽しく読めました。

3.5
0
tatsukichi

巫女と忌神の神統記

少女たちが紡ぐ、暗黒神話との向き合い方 ~あるいは引き裂かれそうな心の保ち方~

クトゥルフ神話の一ページとして、現代を生きる少年少女が譲れないもののために、必死で頑張るヘヴィノベルとでもいうべき傑作。  旧きよきゼロ年代のノベルゲームの重厚な味わいを残しつつ、約束された結末に向かって突き進むスピード感がたまらない。  いくつかの物語が相互に作用するアンソロジー的な性質を持っているこの作品だが、一つ一つの物語が秀逸であり、また出色が鮮やかに違うため、何処までも読者を飽きさせない作りになっている。  クトゥルフ神話といえば狂気の物語として有名だが、安易に狂う人間など存在せず、登場人物はみな大切なもののために最後まで足掻ききってみせてくれる。  そういった意味では、生命賛歌としても楽しむことができ、個人的には大変嬉しかった。  こんな作品を読みたかったという思いと、書きたかったなぁという痛痒に支配される不思議な読み心地である。  とくに少女同士の関係性の描写は白眉であり、胸がキュンとしたりキュッとする。  暗黒神話として楽しむもよし。  青春エンターテイメントとしてワクワクするもよし。  あるいは不吉な影に怯えるのもよい。  じつに多種多様な楽しみ方のある、素敵な小説である。

5.0
0
雪車町地蔵(そりまち じぞう)@きっとモノを書く人

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