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(ただいま、休止しています)ギーグ

彼は一匹のゴブリンだ。一人と呼ぶには、まだ、足りない。

 恐るべき作品である。 主人公の「ギーグ」――彼の事を、一匹と表記すべきか一人と表記すべきか、少々逡巡したが、この場では一匹と表すに留めておく。私が読んでいる物語の現時点(11話)で、ギーグは未だ己を人と認めていないからだ。  この物語は、英雄豪傑の物語ではない。ただ一匹のゴブリンが、人であることを目指して足掻く物語だ。彼が人を目指す道程の足元に広がる、土や泥を丹念に丹念に描いていく物語だ。  多くのファンタジー作品で、十把一絡の雑魚として扱われる魔物、ゴブリン。この物語の主人公であるギーグも、世界の趨勢には何の影響も与えない、ただ一匹の雑魚だ。そのゴブリンが、己を人たらしめようと足掻いていく。  『ギーグ』という、ただ主人公の名前を記したのみの直球の題名も実に良い。竹で割ったような潔さがあり、この作品を象徴しているようだ。  人を目指して足掻いていくギーグ――だが、彼は、本当に人とは何かを理解しているのだろうか? 作中では、未だ彼の人間観の全ては開示されていない。彼が人間をどのように理解し、どのような存在へと変わっていくのか。私には、それが楽しみでならない。  物語は極めて高い文章力で綴られ、ギーグが蹲う土の香、受けた暴力の痛み迄伝わるような作風だ。勇者や英雄の冒険譚に飽きた貴方。ただ一匹のゴブリンの足跡を辿ってみるのは如何だろうか?

4.0
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竹尾練治