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【全48話】ゲル状生物に生まれ、這いずり泥を啜って生きた物語 / 続章【全534話】戦百華 / +外伝と真焉

同一世界で繰り広げられる、二つで一つの物語。

 胸が熱くなり心揺さぶられる、群像劇ダークファンタジー戦記。  そして種族の垣根を超えた親子の愛情を知る物語です。  ゲル状の生物に人外転生した男主人公。  彼は終始一貫、人化はしません。  動きは鈍く、発声もできず、とても弱く生まれた魔物です。  1作目はめちゃくちゃざっくりいうと、主人公が『清廊族』という人間に虐げられている『異種族の少女』とともに生きる話です。  こちらには百合要素がないので、苦手な方でも安心して読めると思います。  弱肉強食の世界も、その場にいるようなジメッとした空気感も、もちろん登場人物も、みんな魅力的でした。  ゲル状の特性を活かして苦境に負けず、試行錯誤して生きる姿には応援する気持ちが強くなります。  魔物が少女に対して少しずつ愛情を覚えて、甲斐甲斐しく世話をする姿は愛おしくて穏やかな気持ちになりました。  2作目は『清廊族の少女』を中心に、より激しい戦記になります。  色濃い百合も数多く含まれます。  読み進めるたび、つらく苦しいのにみんなが愛おしくなり涙が溢れ出ました。  過去も後悔も葛藤も全部ひっくるめて立ち止まることなく歩み続ける女性たちの姿はとても眩しいです。  伏線や魅せ方も上手く、胸が熱くなる活劇、愛があり、世界観も丁寧に作られています。  群像劇ならではの人物描写のおかげで、よりこの世界に没入できました。  作品のあらすじからはどんな物語か読み取りにくいですが、私は丁寧に作り上げられる世界観に惹きつけられました。 ◆  すでに「小説家になろう」では2つとも完結しています。  現在は『加筆修正・合併版』として「カクヨム」で連載中です。  話の軸となる主人公は変わりますが、ぜひ続けて読んでほしいです。  とても大切なものが深く繋がってるニコイチ作品です。 ・1作目 全48話(約12万字) 「ゲル状生物に生まれ、這いずり泥を啜って生きた物語」 ・2作目 第六幕が連載中(現在約130万字) 「戦禍の大地に咲く百華」  個人的には『異種族間交流』『人外転生』『百合』『呪い』『葛藤』『暗躍』『ジャイアントキリング』といったキーワードがお好きな方にオススメしたいです。  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ※ここから下は、各作品への感想を交えたレビューです。  お時間のある方はぜひお読みください。  とても長いですが、作品への愛を込めています。  ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼1作目「ゲル状生物に生まれ、這いずり泥を啜って生きた物語」  序盤は人外転生した男主人公が『ゲル状生物』としての特性を理解し、どのようにして生きていくのかという過程がしっかりと描かれます。  この物語で大切なことは『主人公が一切人化しない』ということです。彼は言葉を介したコミュニケーションができません。  そして人間に虐げられる『清廊族』の少女と出逢ってからが本番です。  ここまではじっくり下ごしらえをしていたのです。  凄惨な過去を持つ少女はゲル状生物を『母さん』と呼び慕い、彼もまた絆されるようにして少女に愛情をそそいでいきます。  二人は会話こそできないものの、互いを思いやり穏やかな日々を過ごします。  しかし彼らの住処に、強大な力を持つ人間たちがやってきたことで物語は急転します。 ◆  文庫本1冊ほどの文量なので、夜のお供にいかがでしょうか。  部屋を少し暗くして、ジメッとした洞窟の中にいるような気分で読んでみると面白いかもしれません。  もしくは、夜空が綺麗な日でも良いかもしれません。  私は寝る前に少しだけ読もう……と、深夜に手を出したため眠れませんでした。あれは雨の日で、物語とどこかシンクロするような環境だったことをよく覚えています。  あと私はこういう異種族間の愛情を垣間見られる物語がとても好きです。  ━━━━━━━━━━ ▼2作目「戦禍の大地に咲く百華」  物語の中心となる『清廊族』は、自然や魔物たちと共生する長命な種族です。  あるとき別大陸からやってきた人間たちに呪術を用いた『絶対服従の首輪』を嵌められ、100年以上にわたり奴隷として扱われ続けます。  自死することすらできず、まるで家畜のように繁殖させられ、尊厳を傷つけられてきた彼ら彼女らに明日への希望はありません。  しかし魔物とともにあった少女が『人間を殺すことで強くなれる』特異な力を得たことで、細く険しい道が拓けます。  この大地から人間を消し去ると決意した少女は、少しずつ仲間を増やしながらその力を分け与え、ともに旅を続けます。  故郷を、自由を、誇りを取り戻すために、幾度も困難を打ち破っていく清廊族。  憎しみから戦場へ身を投じた少女ですが、その終着点は復讐を果たすことではありません。  愛しいとはなにか。  求めたものはなんだったのか。  これは知るための物語です。 ◆  いきなり百合キスシーンから始まります。  人によっては驚き怯むかもしれませんが、これは大切なシーンなので引いて帰らないでください。お願いします。  メインの登場人物は女性ばかりで、男性は敵にしかいません。  これは清廊族が人間、特に男性からひどい仕打ちを受けてきた背景があるため、同族であっても男性に忌避感を持っているという納得の理由があります。  なので仲間になるのは女性だけです。  女性しかいないとなれば、そこで成り立つ関係に百合の香りがただようのは致し方ないことです。  群像劇ならではの視点から、実にさまざまな百合が描かれます。百合は良いものです。  とある少女は地獄に等しい場所から救ってくれた人にとても依存し、自分のものにしたいと暗躍します。  いびつで熾烈な愛情は、この物語のトリックスターとして際立っています。  さらに、人間に捕まって隷属させられた少女たちや、生まれたときから虐げられてきた少女たちの歪みが、いろんな仄暗い百合につながっていきます。  もちろん敵サイドにも百合があります。  百合だけではない、多種多様な愛情も随所に見られます。 ◆  しかしそればかりが注目点ではありません。  この物語は群像劇で、ダークファンタジーで、戦記なのです。  戦闘シーンは白熱し、手に汗握る展開が数多くありました。  少数の弱者がいかにして強者を打ち破るのか。  知恵を絞り連携を取り、ときには天候さえも味方につけ、そして成し遂げるジャイアントキリングは爽快感があります。  群像劇であるため、清廊族も人間もどんなことを考えて行動しているかがよく分かります。  敵である人間は、別大陸のいろいろな国家の思惑で新大陸を開拓し自分たちの領土にしようと画策しています。  同じ種族だからといって一枚岩ではないことがよく伺えますし、誰もが『主人公』になれるだけの人物だということが丁寧に描かれています。  いろんな立場の人の考えや背景を知ることで、私はよりこの世界観に没入できました。  そしてダークファンタジーゆえの重苦しさ。  人によっては強いストレスを感じる展開が序盤から続きますし、つらく苦しいことは最初から最後まで何かしらあります。  しかし清廊族の少女たちは、どんなときも決して生きることを諦めません。  選んできた選択肢が最善のものばかりではなくても、後悔することがあったとしても。  清廊族が人間に虐げられることなく、誰もが自由に幸せに生きられる大地を取り戻すために。  そして一人ひとりが求め、願った未来を手にするその日まで。  少女たちは立ち止まることなく戦い続けます。  ━━━━━━━━━━ ▼最後に  個人的に好きなシーン。 「ゲル状生物」は、はじめて二人で見上げた夜空。 「戦禍の大地」は、第一幕ラストの見下ろす大地。  どちらも印象的で、情景を思い浮かべられて好きです。  思い返してみると一番印象に残っているものが対照的で驚きました。  余談ですが、私の推しは敵として登場する二人です。  マルセナとイリアの、歪んでいてどこか切ない関係性から目が離せず、最初から最後まで私の心を掴んで離しませんでした。  百合はよいものです。  ━━━━━━━━━━ ※2021/07/14 投稿 ※2021/07/18 更新(微修正)

5.0
1
mochi*(読み専)

ヴァーサスリアル -Versus REAL-

圧倒的な描写力に翻弄”させて下さい”と土下座した作品

VRMMOゲーム作品です。 ゲームメイキングってワクワクしますよね? 物語の最初は七月と七夕2人のキャラメイクから始まります。 そして画面にバッと出てくるタイトル。めちゃくちゃカッコイイです。 街を移動する時なんかもそうですね。いちいちゲームと錯覚させられます……くっ! 小説なのにゲームより高揚感がすごいんです! 何が言いたいかというと、作者さんの魅せ方が上手すぎるんです。文字だけなのに。 オカシイ……オカシイ……リアルでゲームやってた時よりオラワクワクすっぞ!? 戦闘描写も凄いんです!(語彙力)私は戦闘描写が書けないので残念ながらそれを表現する言葉を持ち合わせていません(笑) こんな駄文レビューを読んでいる暇があったら1話へGOです! 謎に包まれた七月と七夕はゲーム内で5年ぶりに再会します。 そして七月の正体はきっと…… ◆]警告。   現実に悪影響を及ぼす行動意思あり[◆ ◆]プレイヤーロストの恐れがあります[◆ ◆]直ちに真実の追窮を中断して下さい[◆ ◆]あなたには真実を閲覧する       権限が付与されていません[◆ 待って……まダ……伝えタいことガ……。 ◆]強制ログアウト施行……[◆ ◆]……強制ログアウト完了[◆

5.0
0
つーちゃん「まおホス!」@小説家になろうノベプラたいあっぷ

僕と彼女の、繰り返される夏

タイムリープ青春SF。こういう夏が過ごしたいなぁ…

タイムリープSFと青春・恋愛って相性よすぎですね。しかも季節は夏。 このフォーマリズムは「時かけ」以来長く愛されてきたもののひとつだと思いますが、この作品はそのど真ん中を突いて、ぎゅうぎゅう胸を締め付けてきます。 物語は、主人公の智也が2年前に亡くした彼女「藤堂栞」とそっくりの「柚木栞」に出会うところからスタート。この時点ですでに甘ずっぱい感満載なのですが、舞台は藤堂栞が亡くなる前の世界にタイプスリップ。当然、彼が取った行動は、彼女の死を避けたいわけなのだが、当の栞のほうも記憶と違う行動ばかり。 はっとする夏の描写や、鍵となる小物の使い方。運命に翻弄される2人の切ない心理も直接的に描かないで行動から匂わせたりと、上手いです。 後半からは息を呑む展開で、ほんと読ませられました。ほとんど忘れかけていた頃に「あ! この人!」という展開もうなりました。時間の異なる平行世界ができるので頭がこんがらがりましたが、タイムリープものなのであまりそこは考えても仕方ない感じですね。辻褄はあってます。 智也の行動と成長、2人の「栞」の想いも、くぅうと最高に惹かれるものがありました。

5.0
1
嶌田あき

最近の「いいね!」

小説家になろうファンタジー短編完結

魔法少女になるからわたしと契約してよ

法律ヤクザな魔法少女

オチにニヤッとするが、私もこんな魔法少女はイヤだ。 短編小説に定評のある燦々SUN氏の作品で、安定した文章と構成は安心して読める。 「わたし、魔法少女コントラクターまりん! 父は弁護士母は詐欺師。愛読書は六法全書! 今日も、無法地帯出身の蛮族達に契約の恐ろしさを教えちゃうゾ☆」(本文より引用)

小説家になろう恋愛連載:119話完結

美醜あべこべ世界で異形の王子と結婚したい!

男性のみ美醜逆転の異世界に美少女イケメンハンター出陣します!

前世で喪女だった後悔からイケメンにガツガツの肉食系女子となった美少女主人公。前世含めて一目ぼれした異形と言われるほどの美少年(前世観)にアプローチをしてさっさと婚約者候補に収まり、誰も寄せ付けないいちゃらぶカップルになります。 外面もよく美少年に目がないですが、自分主観で醜いからと嫌うことはありません。恋愛対象ではなくてもちゃんと人として接する、人として優しい女の子だからこそ素直にその恋路を応援することができます。美少年と付き合うためにしていた善人の外面がよすぎてまわりからは誤解されてもいますが、そこも美醜逆転独特の笑いポイントとして楽しめます。 義理の弟を可愛がったり、不遇なイケメンも多数出てきて、乙女げー系小説っぽい世界観な感じですのでさくさく読めて最後まで一気に楽しめます。 ヒーローにも秘密がありちゃんと後々秘密を打ち明け合って、主人公が面食いなのも全部わかってもらって思いあうラブラブ小説です。 最後までぶっとんだ美醜観によるドタバタギャグが楽しいですし、完結済みなので一気に最後まで楽しめます。 世界観も楽しくもたくさんのキャラクターもそれぞれ個性がありいい人が多く、美醜逆転好きだけではなく乙女ゲー系の愛され主人公恋愛物が好きな人にもおすすめです。

小説家になろうヒューマンドラマ連載:88話完結

目的は生き延びること

展開は重めだが、『物語』として面白くて一気に読み終えた。 最終的にヒロインに想いを寄せる相手が、半分血のつながりのある義弟と、そうとは意図しないままヒロインを追い込んで、心と体に傷を負わせる原因を作った婚約者の王子の2人なのが、ああーーー……という気持ちに。 恋愛ものではないので、二人とヒロインがどうなるかは描写されないまま終わるが、個人的には義弟派。