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小説家になろう冒険・バトル連載:111話

当世退魔抜刀伝

 この作品は、武術エッセンスを取り込んだ現代怪奇ファンタジーである。漫画で言うなら、「スプリガン」などを好んで読んでいた方々には良く刺さるだろうか。  それにしても、これ程までの正統派の現代ファンタジーは久方ぶりに読んだ。武術の技で言うなら、腰を据えての真向正拳突きを喰らったような気分である。  この作品には、作者様の武術に対する深い造詣が端々に見られ、舌を巻く思いだ。歴史や武術史の中の逸話を、さりげなく物語に溶け込ませるセンスが素晴らしい。それも、知識に淫するのではなく、軽妙なテンポで進行する物語の中でさりげなく混ぜ込まれるので、知識の無い読者でも楽しめ、武道武術に感心のある読者は更に倍楽しめるという、心憎いつくりとなっている。  アクションシーンは一挙手一投足まで気を配られているのが感じられ、しかもその技は実在のものを下敷きに昇華されている。今後の展開が非常に楽しみな一作である。

4.0
  • 作品更新日:2021/7/27
  • 投稿日:2021/7/10
ノベルアップ+ファンタジー連載:32話

漢検準一級は異世界で無双の夢を見るか?

 この物語の最もユニークな所は、やはり題してある通り、主人公の異能が「漢字」を媒体にする点だろう。  漢字の字義に従って魔法が発動する。  漢字は熟語として使用すれば効果を拡張できるが、反面魔力消費は激しくなる。  至極シンプルで分かり易いルール。しかし、無限の拡張性を秘める興味深い能力である。  この能力設定からは、作者様の自信のようなものを感じる。  漢字を使用する能力というのは、汎用性・拡張性が高すぎて、ともすれば無秩序な万能へと変わりかねない危険性を秘めている。  しかし、物語の中のパワーバランスは絶妙に保たれ、主人公は能力を御しつつも、未だ多くの可能性を残している。  このバランス感覚の精妙さには唸らされた。  異世界に転移してきた主人公の大和健吾。そして出会った銀髪の少女ミコ。  彼らは出会い、そして共に歩み出した。  コミカルな掛け合いの中にも、確かな文章力を感じる作品である。  物語は現在一章を終え、二章の序盤に差し掛かった塩梅――主人公達が出会った村から旅立ち、冒険が始まったばかりの頃合いだ。  貴方も、始まったばかりのケンゴとミコの冒険を追いかけてみてはいかがだろうか。  この物語は、きっと素晴らしい大作になる。

4.0
  • 作品更新日:2021/6/2
  • 投稿日:2021/7/10
小説家になろうファンタジー連載:172話完結

父上が死んだらしい ~魔王復刻記~

『父上が死んだらしい ~魔王復刻記~』  このタイトルを目にした時、私は現在流行のライトなファンタジーかと軽く見積もった。  それは大きな誤算であった。  主人公は勇者一行に駆逐されつつあった魔王の息子とその傍仕。無双ができるスキルやチートなど存在しない。  全てを失った主人公達は「足とコネ」という最もな堅実な手段から初めて、魔族復権への糸口を探していく。だが、同胞たる魔族達ですら一枚岩ではなく、肚の探り合いを繰り返しながら、真に信用できる味方を増やしていく――これはそんな物語だ。  腹にずしんと来る重厚なファンタジーをお望みの方には是非ともお勧めしたい名作です。

3.5
  • 作品更新日:2021/2/3
  • 投稿日:2021/7/10
小説家になろう純文学連載:23話完結

私のオカズは今日も君

 一話を読んで、この物語が「純文学」に分類されていることに頭を捻った読者も多いだろう。ラノベのテンポのような会話劇。コメディチックな進行。「そして神崎さんをオカズにオナニーをして一日を終えた」と〆られる下劣さ。  主人公は品の無いサイコパスにしか見えないし、ヒロインはどうせテンプレの高慢系ツンデレしか見えない。しかし、会話劇に終始する一話の中でも、その軽妙洒脱な会話の駆け引き、ギャグセンスは目を見張るものがあり、カデゴリ―エラーの作品かな、と思いつつも私は読み続けることにした。  私は驚愕した。お約束を繰り返すラブコメ調の進行を繰り返しながら、慇懃無礼にサイコパス気味の発言をする主人公の海老村君が話を追う毎に厚みを増し、その内面の揺るぎの繊細さ、少年らしい人間味を獲得してくるではないか。  骨が肉をつけ人の形になる様を見せられるような、独特のキャラの膨らみ。これは確かに純文学だ。

3.5
  • 作品更新日:2020/12/25
  • 投稿日:2021/7/10
小説家になろうファンタジー連載:257話

幻想再帰のアリュージョニスト

シェイクスピアはその戯曲『ハムレット』の中で、 「芝居というものは、昔もいまも、いわば自然に対して鏡をかかげ、善はその美点を、悪はその愚かさを示し、時代の様相をあるがままにくっきりと映し出すことを目指しているのだ」 と語った。 幻想再帰のアリュージョニストは異世界転生ものではあるが、その物語は単なる空想活劇ではない。 この物語を支えるのは、徹底したリアリズムだ。 作者の最近氏の該博な知識と、圧倒的な文章力によって描き出されるアリュージョニストの世界を支配するのは、呪術という異界のシステムである。 だが、この呪術を通して明らかになるのは、普遍的な人と社会の営みだ。 この物語で描かれる世界と人間は、そのタイトルの通り私達の現実世界の引喩(アリュージョン)なのである。 シェイクスピアが語ったように、鏡のようにくっきりと読者である私達の時代の様相を映し出す。 この最高の思弁小説をどうぞ御一読あれ。

5.0
  • 作品更新日:2024/4/1
  • 投稿日:2021/7/10
小説家になろうヒューマンドラマ短編完結

return

 彼女には、消し去りたい過ちと、失いたくない宝物があった。    DV被害者の女性がタイムリープして物語は始まる。眼前には魅力的な恋人だった頃の若い夫の姿。  物語を彩るのは、鮮烈な描写の生々しさだ。  指先から乳房の張りまでの容赦ない内省。刻印された恐怖への心情描写のリアリティ。  作者の瞳の解像度の高さには賞賛を惜しまない。  まず、夫の卑劣さを描き出すに筆致に圧倒され、視野狭窄していく女性の懊悩に対する解像度の高さに唸らされる。  抑圧に晒された人間の諦観を学習性無力感と呼ぶが、可能性を得た希望と無力感の綱引き。  人間の相反する価値観の鬩ぎ合いを見事な筆致で描き出している。    パンドラの匣の底には、希望が残されていた。厄災の匣になぜ希望が入っていたのか? 一説では、希望こそ最大の厄災だからだという。  主人公も、希望に縋って二度目の人生を繰り返す。その終着点を見届けて頂きたい。

5.0
  • 作品更新日:2020/6/23
  • 投稿日:2021/7/10
小説家になろうファンタジー非公開

(ただいま、休止しています)ギーグ

 恐るべき作品である。 主人公の「ギーグ」――彼の事を、一匹と表記すべきか一人と表記すべきか、少々逡巡したが、この場では一匹と表すに留めておく。私が読んでいる物語の現時点(11話)で、ギーグは未だ己を人と認めていないからだ。  この物語は、英雄豪傑の物語ではない。ただ一匹のゴブリンが、人であることを目指して足掻く物語だ。彼が人を目指す道程の足元に広がる、土や泥を丹念に丹念に描いていく物語だ。  多くのファンタジー作品で、十把一絡の雑魚として扱われる魔物、ゴブリン。この物語の主人公であるギーグも、世界の趨勢には何の影響も与えない、ただ一匹の雑魚だ。そのゴブリンが、己を人たらしめようと足掻いていく。  『ギーグ』という、ただ主人公の名前を記したのみの直球の題名も実に良い。竹で割ったような潔さがあり、この作品を象徴しているようだ。  人を目指して足掻いていくギーグ――だが、彼は、本当に人とは何かを理解しているのだろうか? 作中では、未だ彼の人間観の全ては開示されていない。彼が人間をどのように理解し、どのような存在へと変わっていくのか。私には、それが楽しみでならない。  物語は極めて高い文章力で綴られ、ギーグが蹲う土の香、受けた暴力の痛み迄伝わるような作風だ。勇者や英雄の冒険譚に飽きた貴方。ただ一匹のゴブリンの足跡を辿ってみるのは如何だろうか?

4.0
  • 作品更新日:2018/11/2
  • 投稿日:2021/7/10
ノベルアップ+ファンタジー連載:1453話

ハニーローズ ~ 『予知夢』から始まった未来変革 ~

 『役者は、己の役を愛している限り、舞台の上では自由である』  エピクテトス派のそんな言葉が残っているが、それは且に、この物語の主人公、アンナリーゼの如くだ。  この物語は、主人公であるアンナが、己が産む子『ハニーローズ』が国の未来を救うことを告げる予知夢を見ることから始まる。  アンナリーゼは、未来の事象節となるまだ見ぬ子の為に、己の人生をデザインし、歩み始める。  しかし、彼女は己の運命に縛られているわけではない。  天真爛漫な彼女は、天命に沿いながらも、友人達との交友を、家族との親愛を、婚約者との恋を、楽しみながら小気味良い足取りで人生を歩んでいく。  彼女は、全く自由に、人生を謳歌しながら、天命を果たそうと挑戦する。  繊細で柔らかな筆致で描かれたこの作品を、どうか楽しんで頂きたい。  

4.5
  • 作品更新日:2024/5/6
  • 投稿日:2021/7/10