復讐の価値 ~法の下の不平等。私刑による断罪と、それがもたらすもの~
最終更新:2022/2/10
作品紹介
轢き逃げ事故により、婚約者を突然失ってしまった「唯野誠一郎」 失意に沈み、生ける屍と化した彼に手を差し伸べたのは、人材派遣などで有名な会社、プレシャス・スタッフであった。 本人の手で仇が討てる。 その悪魔のような誘いは、唯野にとっては、まさに天使の手に見えた。 かの誘いに乗り、復讐を果たした唯野は、新たな一歩を踏み出す。 新しい環境、新しい仕事、そして暖かく迎えてくれる人たち。 しかし、悪夢のような復讐は、未だ唯野を解放してはいなかった。 突然姿を見せた、もう一人の自分と名乗る粗野な男は、勝手に唯野の中に入り込んでしまう 唯野の中に巣食った【オレ】。 時に助言をし、時に力を貸す、この男の目的は何か。 新たな人との出会いを経て、変わって行く唯野。 復讐は是か非か。 法は常に正しいのか。 正義とは何か。 自らの答えを出した唯野を待ち受ける先は、安息か、それとも破滅か。
評価・レビュー
騰成
狂気が産みし狂気は何を呑み込もうというのか?
恋人を失った『僕』は、ただ一人部屋で狂っていた。 そんな『僕』に届く、さらなる狂気へと誘う一通のメール。 『僕』は復讐心、金、血、さまざまなモノが入り乱れる狂気の宴に身を委ねる。 白昼夢を見たかのように、唐突に終わっていた狂気の宴。 だが、狂気の宴の終演は、新たなる狂気『オレ』との出会いの始まりでしかなかった。 巧みな物語の構成力によって、知らぬ間に物語の中に引き込まれ、いつの間にか自分自身の中に狂気が住み着いたかのように背筋がぞくりとする作品なのよ! 是非御一読してもらいたいわ。 貴方は経験したことのないスリルと、向かい合うことができるだろうからね♥
宇治津 千夜狐