魔王が守っていた扉の奥で、勇者は赤子を見つけた。 返り血に紅く染まった勇者に、無垢な瞳が手を伸ばす。 勇者は己の運命を呪った。 赤子の親の血に濡れた手で、勇者は赤子を抱き上げた。 力を籠めれば握りつぶしてしまえそうな赤子、殺すのは容易い。 それでも、そうする気には到底なれないでいた。 それは憐れみでも、慈愛でもなく。己の運命という不条理への怒りだった。 勇者は決断する。その赤子を我が子として育むことを。 それは、己の運命への明確な宣戦布告だった。 それから10年の歳月が流れる――。 これは一人の男と娘の親子の物語。 これは壊れてしまった勇者と、仇に育てられた魔王の娘の運命への反逆の物語。
更新:2018/3/3
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