「気に入らないところなんてないよ。嫌いなところもないし、悪いところも何一つとしてない。 でも好きなところもないんだ。君は平々凡々、何一つ秀でるところがなくてつまらないんだ」 とロッド子爵家の息子フィンペシアに結婚話を白紙にされたモニカ=カークスビル伯爵令嬢。 彼女は平然とそれを受け入れた後で、この経緯を両親に一緒に説明して欲しいと、傍に立っていた若者に声をかけた。 「わかった」 地を這うような不機嫌な声を出し振り向いた若者の顔を見て、フィンペシアはサァーッと青褪めた。 その若者はオーランド侯爵家の次男のキール。王都学院の一つ下の後輩で、学院長でさえ一目置くハイスペックなクールビューティな男だった。
更新:2021/5/31
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