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その音色は夏の夜風に乗って

二人を結びつけたのは、あるひとつの音色だった。

 主人公、長田悠一は、父親が営んでいるラーメン屋台の手伝いをさせられていた。  不平を並べたてながらも仕事をこなしていく彼の心の支えとなっていたのが、夜の十時になると聴こえてくるバイオリンの音色。鼠の断末魔のように酷い演奏だったそれは日を追うごとに上達していき、けれど、必ず同じ箇所で躓くのだった──。  主人公と、「バイオリンの君」こと同級生、城山真妃との交流を描いた物語。  クラスで特段仲が良かったわけでもなかった二人の関係が、ある夜の出会いから劇的に変化していく様が丁寧に描かれています。 「そんな演奏で大丈夫なのか?」と、コンテストに挑む真妃に軽率な言葉をかけてしまう主人公。しかし、彼の後悔を他所に、彼女はしっかり結果を出すのです。  彼女の演奏が変わった理由は、意外にも彼が行ったとある「軽率な行動」が引き金となっていて?    意図せず、互いが互いを助けていたという人と人の繋がりや運命やらを感じずにはいられない爽やかな結末に、じわっと胸の奥が熱くなりました。主人公の心情を表現した「夢」のシーンも、よいアクセントになっていると感じます。  熱く燃え上がり、そしていままさに次のステージに向かおうとする彼らの物語を、是非見届けてください。  場面構成にいっさいの無駄がなく、しっとりとした展開が持ち味の短編です。

5.0
1
木立花音(こだちかのん)

狐のお面を被った女の子に、僕は救われた。

嗜虐性の裏に見える、人間の可能性

 物語は、終始狐のお面をつけたままで、決して外すことのない転校生、乙顔がやってくるところから始まります。  明らかに異質な容姿と、クラスの誰とも交わろうとしない態度。  存在そのものが浮いて見えることから、次第に彼女は、クラスのなかで孤立を強めていくのですが──?  本作の魅力は、よくも悪くも人間らしい汚さと、主人公の成長が描かれているところでしょうか。  周囲と馴染もうともせず、淡々と日々を送っている主人公。  クラスを平穏にまとめるため、マニュアル通りの対応を見せる教師や級長。  妙な言動を繰り返す転校生に反発し、排除しようとたくらむ問題児たち。  様々な登場人物たちの行動を通じて、人間が本来持っている嗜虐性であったり、慣れ合うだけでは解決しないイジメ問題の本質が見えてきます。  クラス内の軋みが臨界点に達したそのとき、乙顔がついに立ち上がるのです。彼女がお面を外したその時、いったい何が起こるのか?  そして、彼女の目的とは?  物語の結末は、是非あなたの目で確かめてほしい。  お勧めの、ヒューマンドラマです。

5.0
1
木立花音(こだちかのん)

僕らのらんど

コミカルな現代ファンタジーだと思った? ざーんねん。

 ベッドから落ちたと思い目が覚めると、主人公は、見知らぬ森の中に居た……。これは夢か幻か? 頬をつねっても記憶がない。  突然警告音を奏でるスマートフォン。襲って来るモンスターと救出に現れた女性との出会い。スマホには『LAND』という覚えのないアプリが何時の間にかインストールされていて?   現代日本のようで、いや、しかしちょっと違う。そんな不思議なゲーム世界に突如迷い込んでしまった主人公アキラが、続けて襲ってきたゴブリンから自分を逃がすために犠牲になった親友、トシヤと別れるという衝撃的なシーンで物語の幕は開けます。  つまりこれは、シリアス寄りの現代ファンタジー? それとも、VRMMO寄りのSF? といった第一印象を受けますが、ご安心ください。意外にも? コメディタッチで物語は進行していきます。  そんな本作の魅力であり特徴は、個性的な登場人物、でしょうか。  例えば……。  何故か服を着ていない、当然の如く大切な何かをブラさげた格好の老人、そらじじい。 ※いや、せめて穿けよ。  主人公の顔を見て、意味深に顔を赤らめる月影。 ※男性です。むろん、主人公も。  愛すべきもふもふ、不思議生物のうさぴょん。 ※兎なの? 人間なの? 兎人間なの?  登場人物だけではありません、怒濤の勢いで押し寄せてくる「お約束」の数々に、否が応でもクスリとさせられてしまうことでしょう。  が、ギャグ小説だと油断してはいけません。  基本コミカル時々シリアスで進行していく物語は、中盤以降に本性を現します。  何故、主人公は、こんなゲームのような世界に迷い込んでしまったのか?  何故、こんな、ゲームのような世界が存在しているのか?  そもそも、主人公は”何者”なのか?  段階的に明かされていく真相に、思わず「うわ、意外とすげーな (失礼)」と堪らず唸ってしまいました。  なんでしょうね。プロットを作ることの大切さを、教えられた心地でした。  オススメできるターゲット層は、現代ファンタジーが好きな方と、ラブコメが好きな方、でしょうか? やや会話文多めのライトノベル風味な上に一エピソードの文字数が実に適切なので、ごく自然にページを捲っていくことができる思います。  完結した今こそ、本作の良さに触れる時。最後はちょっとビター風味ながら、清々しい気持ちで結末の余韻に浸れることでしょう。  気になりましたら、お手に取って頂けると幸いです。

5.0
1
木立花音(こだちかのん)

【本編完結】幼神はまだ夜明けを知らない ―終末を招いた男の息子、歴代最弱の救世主になって異世界救済でリトライする―

チートなし。ステータス・オープンなし。だがそこに、ヒューマンドラマあり。

 父親が遺した謎のウイルスによって、ゾンビが蔓延し荒廃した地球。日本で必死に生き抜いてきた彼は、抵抗虚しくゾンビに噛まれ、薬を呑んで死んだ。  だが、その先で待っていたのは管理者と名乗る不思議な少女。彼女は異世界にまでゾンビが召喚されてしまった事を語り、倒して欲しいと告げてくる。こうして貴族の一人息子・ウェスティンとして転生した彼は、異世界でまで父親の尻拭いをすることに……?  舞台はゾンビが召還されてしまった異世界、エリス国。  その地に神に選ばれし勇者──神託者として転生したウェスティンでしたが、五歳という年齢のせいか勇者としての力はまったく開眼しておらず、冒頭から苦悩を重ねます。  いわゆる異世界転生系ファンタジーなのですが、昨今よく見られる作品とはまったく趣が異なります。  チートなし。(むしろ弱い)  ステータスの概念なし。(冒険者のランク表示はあり)  所々ほのぼのとした展開もありますが、シリアス・ファンタジーといえば雰囲気が上手く伝わるでしょうか?    作品の魅力はなんといっても豊富な登場人物と、各々がしっかりとした意思を持って動くヒューマンドラマ作品であることです。  また、筆者の文章力、表現力が非常に巧みで、ウェスティンの心情と時々一体化してしまうほど。  多くの出会いと別れ。様々な困難を乗り越えた末に冒険者となったウェスティンが遭遇する「聖クレスタット編」におけるラストバトルでは、思わず「頑張れ!」と拳を握り締めてしまいました。  その後で訪れる辛い別れ……。  ゾンビ化という現象を、作品のテーマとして上手く落とし込んだ展開と、「兄」としての役割をウェスが託される結末に、じんわりと涙しました。  この先もまだまだ続くウェスティンの冒険活劇を、見届けてみませんか? 五歳とは思えぬ (まあ中身は青年なので笑)彼の人間臭い魅力と、個性的なサブキャラクターたちの虜に、きっとなってしまうことでしょう。

5.0
1
木立花音(こだちかのん)

僕とばーちゃんと、時々彼女の島 ~僕の穏やかな島暮らしが終末を迎えるまで~

読了したその後で、もう一度読み返してもらいたい物語。

 船が見えるまで、あと十秒。いや、五秒。サン、ニ、イチ──。  僕とばーちゃんと、二人だけが暮らしている島に、度々やってくる少女──アカリが、荷物を満載したクルーザー船で接岸するシーンから、物語は幕を開けます。  二人プラス時々一人の、平穏な日常が続くはずだった毎日は、ある日、島に船ごと流れついた漂流者の存在で、少しずつ壊れ始める……。  この物語に登場してくる主要人物は僅か四人。主人公のハジメと、ばーちゃんと、時々島にやってくる少女アカリ。そして、中盤から登場してくる謎の男。  舞台も実にシンプルで、僕とばーちゃんが暮らしている島だけで物語は進行し、そして完結します。  しかしながら、描かれるテーマは実に壮大。  物語の中に紛れ込んだ”異物”により日々は変貌を遂げ、やがて世界の構造にまで及ぶ話に発展していくのです。  もしかしたらこの先の未来、本当にこんなことが起こり得るんじゃなかろうか? と薄っすら考えさせられる結末。そんな結末まで辿り着いた後で、是非、もう一度冒頭部分を読み返して欲しいですね。  きっと、なにか違う見え方があると思いますよ?  さて、筆者の卓越した筆力で丁寧に描かれる本作は、短編でありながらも読み応えは十分。  純文学好き。SF好きの双方に、自信を持ってオススメできるタイトルです。  また、筆者の代表作を知っている方なら、『ああ、何処かで見たような』という既視感を覚えるかもしれません。実際、私もそうでした。  ですが、それが『筆者の意図的なもの』だと聞かされてから、すとんと腑に落ちたものです。  気になった方は、お手に取っていただけると幸いです。

5.0
1
木立花音(こだちかのん)

ヴィシュタイン・コピーライト

二つの曲が交差するとき、物語は鮮烈に動き出す

 時は20世紀初頭。  イングレス連合王国の首都ロンドンにあるピアノバーで専属ピアニストをしていた十七歳の少女、アンジェラは、ある日ピアノバーにやってきたイケメン調律師アドニスと出会う。  彼のレッスンを受けて超絶技巧のピアノ演奏曲『右手のためのピアノ独奏曲』をマスターし、ロンドンピアノコンペティションで優勝しなければならなくなったアンジェラだったが──?  この作品の魅力は、冒頭から登場してくる馬車や蒸気自動車など、時代背景を色濃く伝えてくる描写の巧みさ。  アンジェラなど魅力的なヒロインが見せる細やかな仕草。  アンジェラがアドニスからピアノのレッスンを受けるさいに描かれる、ピアノに対する作者の知識量。  等々といったところでしょうが、一番の魅力は、理詰めされた物語の設定、構成と、巧みに張り巡らされた伏線でしょうか。  ここで、私が特に大好きなエピソードをふたつ紹介します。 ※1─4 ピアノステージ  アドニスとアンジェラがピアノ連弾で対決するシーンなのですが、とにかく疾走感と躍動感が凄い! 私が自作の中で戦闘シーンの参考にさせて頂いた回です。  ピアノなのに戦闘シーンの参考になるの? と疑問に思うかもしれませんが、百聞は一見に如かず。まあ、見てみなさいって。 ※5─3 期待以上の演奏を  アンジェラが得意としている『鎮魂歌』  マスターしなければならない『右手のためのピアノ独奏曲』に隠された秘密。  そしてタイトルに隠されているヒント。  何故、ヴィシュタインなのか?  何故、コピーライトなのか?  所々に配置されたこれらの情報がひとつに繋がったとき、鳥肌もののタイトル回収劇がやってきます。それがこの「期待以上の演奏を」の回なのです。ここから先はもうノンストップ。ページを捲る手が止まらなくなるでしょう。  さあ、今こそあなたも、音楽×冒険×スチームパンクの世界へ!

5.0
1
木立花音(こだちかのん)

花束

繋がる夢と現実、僕と俺。彼らの進む先は?

1 読む前の印象や予想など(表紙やあらすじなどから想像したこと) あらすじからでは、どんな物語なのかは想像できないが、どんな夢なのかとても気になる。過去と現在や僕と俺など、対になる何かをテーマにした物語なのではないかと想像する。いろんなものを通して”僕”というものを表現しようとしているのだろうか? 2 物語は(どのように始まっていくのか?) 分に”。”がない為、詩的な感じのする物語である。物語のキーワードにはいくつか気になるワードがある。それは”悲恋や夢、音楽”などである。これらは一体どう繋がっていくのだろうか? 物語は詩的な情景と心情から始まっていく。危険の迫る中、それに気づかないほど気分が高揚していたようだ。一体主人公はどうなってしまうのだろうか? 3 良かったところ。印象に残ったところ。好きなセリフなど。 ・情景描写がとても綺麗である。 ・登場人物それぞれが活き活きしている。 ・夢と現実の繋がりがとてもホラー。真実は一体? ・主人公の不安が伝わって来る。 ・主人公の真実を知った時の彼女の反応が印象的。 ・タイトルとの繋がり。 ・彼らは今を生きているんだなと感じた。 4 自分が主人公の立場だったら 今を生きるということを考えさせられる物語。もし自分が主人公の立場だったなら、選べないかもしれないと感じた。主人公の彼女は前向きであり、主人公にとって必要な存在であることが伝わって来る。彼女が信じているからこそ、主人公も”今”を選び、”今”を生きることができるのだと感じた。 ただやはり、自分であったなら未練は残ると思った。彼らには強さを感じた。 5 物語のその先を想像して この物語は、ある夢から始まっていく。その夢が何であるか分からず主人公が不安になったり、真実に気づいた時感情があふれ出す様だったりに臨場感や人間らしさを感じた。 彼は自分たちの道を見つけ、それに向かって歩き出したところだと言える。成功もしているが、それは長い道の途中なのだと思う。彼らの音楽が、今度はいろんな人に感動や希望、憧れなどを誰かに齎していくのではないだろうか? そんな未来を想像した。 あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか? 主人公の夢の真実。そして選択。自分が主人公だったなら、どう選択したのか。そんなことを考えさせられる物語。おススメです。

5.0
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crazy's7

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